「週刊少年ジャンプ」連載中の人気コミック『黒子のバスケ』に関連して、作者の藤巻忠俊さん本人や母校など、関連する団体やイベントに対して次々と脅迫状が送付されている事件だが、年末の一大イベント「コミックマーケット83」(12月29日〜30日・東京ビッグサイト)にもその影響が及んだ。
準備会に脅迫状が届き、その対処として会場・警察と協議の結果、『黒子のバスケ』サークルの参加見合わせ、同じく他のスペースにおける『黒子のバスケ』関連の同人誌・グッズの頒布見合わせが決定され、サークルを含む各参加者に発表されたのだ。
準備会からのリリースによれば、コミックマーケット準備会には10月29日、「『黒子のバスケ』サークルを参加させない」ことを要求する脅迫状が届き、当初は2008年夏のコミックマーケット74開催時の脅迫事件同様、参加者への手荷物確認等の警備強化で安全を確保する方向で、会場である東京ビッグサイトや警察と調整を行ったという。
しかし、11月21日に開催予定だった『黒子のバスケ』オンリーの同人誌即売会(他団体主催)、そして翌22日の「ジャンプフェスタ」における『黒子のバスケ』関連イベントが中止になったことを受け、会場側からコミックマーケット自体の開催を見合わせるか、『黒子のバスケ』サークルに参加を見合わせてもらって開催するよう、今までにないレベルでの強い要請を受けることになった。あわせて警察からも『黒子のバスケ』サークルの参加見合わせ、『黒子のバスケ』関連の同人・グッズの頒布見合わせを強く要請されたとのこと。
準備会側は、卑劣な要求に屈する悪しき前例を残さないため、そしてコミックマーケットのポリシーである「法に反するものを除く、あらゆる表現の自由を保障し、許容する」を貫くために、更なる警備強化を行った上での全サークル参加での通常開催を模索したという。しかし、既に様々な場所や団体に脅迫状が送付され、コミックマーケットと会場だけの問題ではなくなっていること、実際に事件が起きた場合、参加者の混乱と会場周辺への危険が懸念されること、そして犯人を刺激する可能性が高いことが会場・警察側との協議の席で問題となり、最悪今後の会場確保に支障が出る可能性を示唆されたために、やむなく「当該サークル・同人誌・グッズ等の参加見合わせ」という結論に至った。
これに伴い、コミックマーケット83の2日目(12月30日)において、東地区の『黒子のバスケ』ジャンル、すなわち
Aブロック 01~36・44・45
Bブロック 01~52
Cブロック 01~60
Dブロック 01~60
Eブロック 01~60
Fブロック 01~60
Gブロック 01~60
Hブロック 01~60
に配置された計900サークルに対して、参加の見合わせが要請された。これは東1ホールのおよそ3分の2に当たる。これ以外のスペースにおいても、『黒子のバスケ』に関する同人誌・グッズ等の頒布は見合わせるよう要請されている。なお、現在のところコスプレについての自粛要請はなされていない。
これとあわせ、参加者に対しては入場前に手荷物確認を行い、法律・条例に反するもの、コミックマーケットにおいて持ち込みが禁止されているものは、一時預かりではなく、所有権を放棄してもらう(応じられない場合は入場できない)、という強い措置が採られる。また、会場内の警備も今まで以上に強化される予定だ。
また、当該スペースに配置されたサークルに対しては、1月に参加費を返還する予定となっている。
脅迫している人物(単独か複数かも不明)が、どのような動機で一連の行為を行っているかは不明だが、参加するイベントはコミックマーケットだけ、というサークル、一般参加者もいるだけにファンに与える影響は大きい。そして卑劣な脅迫に屈さざるを得なかったという事実は、同人誌をはじめとするファンコミュニティにも大きな影を落とすことになるだろう。
犯人を自称する「喪服の死神」なる人物が2ちゃんねるの上智大学スレッドなどに登場し、警察も捜査を進めているが、犯行場所が複数の警察の管轄にまたがり、広域捜査になっている為か、進展についての情報はまだ得られない。早期の犯人検挙、そして事態の沈静化が望まれる。
『黒子のバスケ』サークル・頒布物対応に関する緊急のお知らせ
http://www.comiket.co.jp/info-a/C83/C83Notice1.html
コミックマーケット83における警備強化に関する緊急のお知らせ
http://www.comiket.co.jp/info-a/C83/C83Notice2.html
(文:咲村珠樹)