今回は1984年に放送されたテレビCMより、宮崎駿監督がデザインを手がけた飛行船「ワンダー・シップ号」のペーパークラフトをご紹介。
1984年9月、製作:萩原英雄 飛行船デザイン:宮崎駿 音楽:坂本龍一らにより、マクセルビデオカセットテープのCMとして放映されました。昔のSF映画に出てくるようなものをイメージに宮崎駿がデザインし、そのデザインを元に従来のフィルム合成ではなく当時としては画期的なブルーマット使用したウルチマット合成を駆使しての映像化。
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飛行船のスペックは、全長2メートル、重量50キロ(モーター2台、照明ユニット、バッテリーに電池20本が内臓されている)という巨大なもので、製作費用は当時の金額で約500万円!
アクリル板の真空プレス成型で中心を作り、外装の金属部分の表現にアルミ箔(約6×7センチ)を一枚一枚貼り付けていくという気の遠くなるような製作過程を経た製作期間は1ヶ月。ライティングだけでも4日間かかったとか。
外装がアルミ箔なのにパッケージの船体がゴールドに見えるのは黄色のフィルターをかけたライトを照射しているためで、アルミの地を生かしてライティングするという拘りよう。背景はオーストラリアのシドニーの夕日をロングショットで撮影したものを合成しています。撮影した場所が今はなき松竹大船撮影所というのも時代を感じさせますね。撮影に使われた船体は今もマクセル京都工場にある史料館に展示されているのですが、残念ながら一般開放はしていないとのこと。実際にはその雄姿を拝むことはできません。
この頃の宮崎駿監督のデザインワークの特徴の一つが「立体化」。このマクセルのCM以降では、工藤夕貴さんが出演していたMSXパソコンH2のCMに登場する「ポシェット竜」のデザイン(風の谷のナウシカに出てくるテトのようなデザイン)や1986年に放送された味の素ラピュタのCMに登場する「フラップター」が実写の特撮によって映像化されています。
ペーパークラフトは紙に厚みがあまりなく、作りづらいのが正直なところ。もうちょっと紙に厚みがあって強度もあったらよかったんですけどネ。と、もったいなくて作ることすらできないでいるんですけど。
パーツ台紙は4枚で、パーツはほとんで切込が入っているという親切設計。ただ、保管状態に気を使わないと、パーツが湿気で反ってしまったりカビの原因になったりと大変!デリケートなものなので保管にも気を使わなければいけません。
いつもならこのペーパークラフトの当時の入手方法や出回った数量の詳細などを記載しているのですが、この記事を書いている時点では全くもって有力な情報がございません。
このペーパークラフトの詳細についてご存知の方や、情報をお持ちの方がいらっしゃりましたらツイッターなどで「くろすけ」までご連絡をいただければとっても幸いです。教ーえてーおじいーさんー教ーえてーおじいーさんー教えてーマニアーなーひーとーたーちーよー。
それではまた次回をお楽しみに~。
(連載名:週刊!?ジブリグッズコレクション 文:くろすけ/@kurosuke4313)