20年経っても未だに愛され続けている『耳をすませば』。
作品のロケ地とされる聖蹟桜ヶ丘では、劇中に登場する『地球屋』をモチーフとしたポストが駅前に設置されたり、主人公である雫を演じられた本名陽子さんの歌う主題歌『カントリーロード』が列車の発着音になるなど話題が尽きませんね。
今回はそんな『耳をすませば』の中でも続々と商品化され続けているバロングッズから、限定フィギュア2種の違いをご紹介したいと思います。
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バロンフィギュア比較
初期造型のバロンフィギュアは地球屋に飾られているリアルタイプのもので、シリアルナンバー入りの限定500体が発売されました。後の2002年、『耳をすませば』の主人公である雫が書いたという位置づけの作品である『猫の恩返し』の公開もあってか、関連作品である『耳をすませば』に登場するアニメタッチのバロンの置物(お辞儀タイプ)を発売。それに合わせ、過去に発売したバロンの置物(立像タイプ)も復刻して発売されました。
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初期版のシリアルナンバー
さて、パッと見のフィギュア造型に違いはほとんど感じられないのですが、実は二つを並べて細かく見ていくとその違いが見えてきます。まず明らかに違うのはスーツの色味。復刻版(左)が黄緑かかった色味に対して初期版(右)はベージュになっています。台座の高さにも若干の違いがあり、復刻版は台座が高くて初期版は低いです。
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台座高さ比較
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側面からディティール比較
しかしそれでも初期版の方が背が高いということは、初期版に比べて復刻版の方が若干小さめに作られている証明にもなりますね。そして人形の命である顔ですが、ハンドメイドであるが故、瞳のハイライトなどの個体差はあれど復刻版より初期版の方が輪郭線が若干細く、服のシワなどのディティールの彫りが深いですね。
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初期バロン
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復刻バロン
そして作品名のプレートの有無。「片方のフィギュアのプレート無くしちゃった~」とか、そんなオチではありませんので悪しからず(笑)初期のバロンフィギュアにはプレートは初めから無く、再販されたものにのみ新しく付けられました。そしてもう一つ決定的な違いはというと、初期のバロンにはシリアルナンバーが台座底面にあり、且つ発売元が『ベネリック』ではなく『ヒューリック』名義になっていること。←ココ重要!
この『ヒューリック』というのは現『ベネリック株式会社』の前身会社であり、正確に言うとフィギュア造型を得意としていた『株式会社ヒューリック』とトトロのリース(花や葉で作られた装飾用の輪)をメインに販売していた『ハンドベル株式会社』が1997年5月にお互いの卸売部門を統合し、商号を『ベネリック株式会社』に変更しました。そんなこともあって『ヒューリック』名義のフィギュアは、今ではちょっと珍しい部類に入るというわけなんです。
二体のフィギュアから2つの会社の歴史が垣間見られるというとても面白い事例でしたね。集めてコンプリートする事がグッズ収集の醍醐味の一つでもありますが、一つのグッズをトコトン調べて知識を深めていくというのもまた楽しみの一つではないでしょうか。
夏の暑さも落ち着き、気候的に過ごしやすくなった今日この頃。日暮れも早まった秋の夜長に、興味のあることの調べ物なんてのも良いかもしれませんね。
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当時のチラシより
それではまた次回をお楽しみに~。
(連載名:週刊!?ジブリグッズコレクション 文:くろすけ/@kurosuke4313)