1997年に公開され、興行収入193億円を記録。当時の日本映画の興行記録を塗り替えたスタジオジブリの代表作の1つ『もののけ姫』がイギリスの若手劇団『Whole Hog Theatre』(ホール・ホグ・シアター)により舞台化され、『Princess MONONOKE~もののけ姫~』として2013年5月のゴールデンウィークに来日公演が行われることが決定した。
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3月5日(火)に開催された記者発表会ではまず、ホール・ホグ・シアターの創設者であるアレクサンドラ・ルターさんが、もののけ姫の舞台化を考えた理由についてコメント。「まず最初に映画を見た時に、なんて美しい映画なんだろうと感銘を受けた。そして二回目に見た時に、『ナゴの守』が祟り神になるシーンをパペットで表現したら素晴らしいと感じ、これを舞台でやったらぴったりと思い舞台化を考えた」と話した。
宮崎駿作品が舞台化されるのは今回が初めてのことで、このことに対してジブリの鈴木敏夫さんは「本当に初めて。宮崎駿作品はハリウッドで映画にしたいですとか、日本のいろいろな劇団からも舞台化したいというお話をいただいていたが、これまでは全部断っていた」とコメント。
また、これまで映画化や舞台化を断っていたジブリが今回の舞台化を許諾した理由について鈴木さんは「僕らの友人に、『ウォレスとグルミット』を作ったニック・パークさんという方がいる。その人の会社はイギリスのブリストルにあり、ジブリと友人関係にあるアニメーションスタジオ。とある日に彼からメールがきて、もののけ姫を舞台化したいという話をもらったのがきっかけだった。彼からは、『舞台化を考えているのは若い劇団だが、非常に信頼ができる。テスト映像をぜひ見てほしい』と連絡があった。それで、宮崎駿といっしょにテスト映像を見たら、ものの3秒くらい見たところで、宮崎駿は『いいよ!やろう!』となった。直感だったと思う。テスト映像のダンスが素晴らしく、ニックの紹介でもあるし、これならやろうと許諾をした次第です」と話した。
太古の日本を舞台にしたアニメ作品「もののけ姫」を舞台化するにあたって、一番注目される点はやはり、もののけたちをいかに舞台で表現するかというところ。実際の舞台ではパペットを使ってもののけを表現するといい、アレクサンドラさんは「シシ神、祟り神、動物は、すべてパペットで表現しようと考えている。大きなものは、三人~四人の人間でひとつのパペットを操る。
パペットと役者が入り交じり、生き生きとした命の吹き込まれたステージになると信じている」とコメントした。
「舞台化についてジブリがどれだけ関わるのか?」という質問が飛ぶと、鈴木さんは「舞台化を許諾するというのは相手を100%信頼することだと思う。
途中でシナリオを見せてくれというのは信頼じゃない、全部任せるという意味」と話し、ホール・ホグ・シアターに対する信頼感を示した。
発表会の最後にメッセージを求められると、アレクサンドラさんは「宮崎さん、鈴木さん、100%私たちのことを信頼していただいてありがとう。
品格のある公演を目指します」と意気込みを述べた。
また、鈴木さんは「誤解を恐れずに言うと、変なもののけ姫を見てみたい。
それは、イギリスの人たちがもののけ姫をみてどう思ったのか、それをそっくりそのまま舞台で示してほしい。国の文化交流は本当におもしろいので、こじんまりとまとまったものではなくて、破綻をきたしてもいいからおもしろい舞台を見たいです」と締めくくった。
発表会後のフォトセッションでは、パペットなどの舞台美術を担当するポリー・クレア・ブーンさんも登場し、製作途中という「コダマ」のパペットを披露した。
――舞台「Princess MONONOKE~もののけ姫~」記者発表会
▼登壇者:
アレクサンドラ・ルター(Whole Hog Theatre 創設者、アートディレクター)
鈴木敏夫(株式会社スタジオジブリ代表取締役プロデューサー)
川上量生(株式会社スタジオジブリプロデューサー見習い/株式会社ドワンゴ代表取締役会長)
奥田誠治(日本テレビ放送網株式会社コンテンツ事業局長代理兼映画事業部長)