現代社会はとかく生き辛さを感じさせる事も多くあります。昔は良かったとは言わずとも、今は大らかさがなくなってきて息苦しさを感じる人も多くいることでしょう。

そんな昨今だからか、ツイッター上で5万回以上リツイートされている円山まどかさん(@maruyamadoka)の「とりあえず、鬱っぽいときは • 飲みすぎない • 食べすぎない • 無理になにかをしようとしない • 夜ふかしをしない • 無理に眠ろうとしない •「–ねばならない」といわない • 口座の残高を気にしない • 清潔を保つ をテーマに行動すればそのうちいなくなる」という8項目が人々の共感を呼んでいます。

ちなみに「夜ふかしをしない」「無理に眠ろうとしない」は矛盾しているように思われますが、基本夜ふかしはしない方がいいけど、どうしても寝付けないときは気にしすぎが今度はストレスになるから、もし眠れないなら眠ろうとしなくてもいいんだよ。ということだそうです。またこの項目、無理に守ろうとはせずに「守れなかったら守れなかったでいいや」ぐらいの気持ちで考えるとちょうどよいのだとか。

■うつって辛い。

生きていると何らかトラブルに巻き込まれたり起こしてしまったり、上手くいかなかったりで気分が沈んでしまう事もあるかと思います。人との関わり方が上手く行かずに自分の殻に閉じこもってしまったり、どうコミュニケーションを取っていいのか距離感がつかめない人もいますよね。抗うつ剤を飲みながら仕事をこなしていたり、眠れずに睡眠薬が手放せないという人も結構いるかと思います。(実は筆者も家庭の問題やら色々あって安定剤と抗うつ剤のお世話になっています。)
うつっぽい時って、気持ちだけが不安定なまま体は思うように動かないししんどさが強くて何も手につかないしで悲観的になってしまい、自暴自棄に陥ってしまう事も少なくありません。駅を通過する電車にふらりと飛び込んでしまいたくなる衝動すら出てしまいます。
とにかく、こんな気持ちが沈んで荒れている時は辛く悲観的になりやすいものです。

■そもそもうつって?

「眠れない、食欲がない、一日中気分が落ち込んでいる、何をしても楽しめないといったことが続いている場合、うつ病の可能性があります。うつ病は、精神的ストレスや身体的ストレスが重なることなど、様々な理由から脳の機能障害が起きている状態です。脳がうまく働いてくれないので、ものの見方が否定的になり、自分がダメな人間だと感じてしまいます。そのため普段なら乗り越えられるストレスも、よりつらく感じられるという、悪循環が起きてきます。
薬による治療とあわせて、認知行動療法も、うつ病に効果が高いことがわかってきています。早めに治療を始めるほど、回復も早いといわれていますので、無理せず早めに専門機関に相談すること、そしてゆっくり休養をとることが大切です。」
(厚生労働省HP みんなのメンタルヘルス総合サイト「うつ病」より引用)

ここに記載されているように、うつは「ストレスなどによる脳の機能障害」なのです。体の病気は症状が出やすいので分かりやすいですよね。風邪を引いて呼吸機能の障害が出ると喉の腫れや咳が出るなど、見た目で判断できてしまいます。

しかし、脳の機能障害は一見して分かりません。そしてこの様な状態に陥りやすい人はまじめで人当たりがよく、責任感が強いタイプであると言われています。まじめで頑張り屋さんな人ほど自分の精神力の容量をオーバーしてまで頑張ってしまいがちになり、うつに陥りやすいのです。

「~しなければならない」というのが口癖になっている人、気を付けてください。その「~ならない」というのが自分に強迫観念を植え付けてしまっているのです。自分で必要以上に自分を追い込んでしまいがちになり、自分の許容量をオーバーして心がパンクしてしまうのです。

「ゆっくり休養するようにったって、そんなんできないよ!」「眠れないのに良く寝ろとか無理ゲー」という声も聞かれます。風邪を引いて熱が出ている人に働けって言うの、酷な話ですよね。それと同じでうつの時も風邪引いて休養取る様に休んだほうがいいのです。

脳はまだその全様が解明し切れていないところもある、デリケートな謎の多い器官。そこが故障してしまったならとにかく休ませてオーバーホールするのが一番です。脳を休ませるには眠るのが一番。ではどうしたら少しでも眠りを良くできるのでしょうか。

■うつと眠り

うつ状態に陥ってしまうと眠ることが困難になったり眠りが浅くなったり早朝に目が覚めてしまい睡眠不足になったりと、眠る事が難しいと感じるようになります。
ひどく脳が疲れている場合、神経が高ぶってしまって余計に眠れない経験をした事がある人も多くいるかと思います。そのため脳の疲れがなかなか取れず、悪循環に陥ってしまいます。
こういう状態のときに無理に眠ろうとしても頭の中に余計な言葉が色々浮かんでしまってさらに眠れなくなってしまいます。考え事は頭の中で独り言を言っているようなもので、頭の中に浮かんだ言葉を追いかけていると脳が動いてしまい休まりません。

そこで、眠りの工夫をしてみましょう。

1.まずは決まった時間に起きて朝日を浴びる。
朝日を浴びることで脳の時計機能がリセットされ、体のリズムもオフからオンに切り替わります。寝る時の服から普段着に着替えることもオンオフを切り替える有効な行動です。

2.日中は何でもいいので軽くでも体を動かす。
無理に体を疲れさせる必要はありませんが、日中の活動ができていると夜の睡眠サイクルが作りやすくなります。少しずつ活動量を増やし、体の疲労感を感じられるくらいに活動できるようになると眠りの質も良くなってきます。

3.眠るときの行動を決めてみる。
筆者も眠りの質が悪く四苦八苦していましたが、寝る前2時間は飲み物だけにして眠るときは心地いいと思う音楽などを流しながら寝ることにしました。音楽を流す時間も色々変えてみた結果、1時間半くらい歌詞のない曲を流し続ける事で眠りが良くなったと感じることができました。逆に、朝まで流しっ放しにしたときは全く熟睡した感覚がなくかなり辛かったです。寝る30分前のストレッチやヨガなども、程よく血流を良くし体の疲れと一緒に心もほぐれやすくなるのでおすすめです。

それでも眠れない!という時もあるかと思います。そんな時は無理して布団に入っていても眠れないだけなので、一度布団から出て軽く体を動かしてみたりホットミルクを飲んでみたりテレビを流し見してみたりとリラックスできる事をしてみるのも良いです。眠くなったら布団に入ればいいのです。寝なきゃダメと思うと強迫観念で余計に眠れなくなる悪循環を作りやすくなってしまいますので、寝ようという気分に自然になるまで身を任せるのもひとつの方法です。

色々やったけどどうしてもダメ、って人は、心療内科でも普通の内科でもいいので診察を受けてみましょう。特に心療内科はまだ敷居が高い、というイメージもあるかもしれませんが、ちゃんとした心療内科は眠りについてしっかりとアセスメントし、患者さん一人ひとりの状態にあった薬を処方してくれます。一口に睡眠薬といっても超短時間で切れて入眠を補助するだけのものから、朝方目が覚めにくくなるように長く効くものまで種類も様々です。睡眠薬だけでかなりの種類がありますので、試してみてダメなら他の種類に変えてみることがしやすいですから、自分の睡眠がどんな状態であるかを医師に相談してみましょう。
スマホのアプリにも睡眠導入・睡眠状態の記録ができるものがあるのでそういったものを活用してみるものいいかと思います。(私も使っています)

■早めの手当てで軽く済まそう

うつになりかけの状態のまま放置するとひどくなってしまいます。風邪引いて放置すると肺炎になってしまうのと同じですね。
本格的にうつになって寝込んでしまう前に、ご紹介したことを思い出して実践してみると自然に回復することも多くあります。時間薬という言葉もありますが、環境と自身の性格を変えることでうつから抜け出せる事も多いので自分の気持ちや行動を多角的に、俯瞰的に見てみることも心がけてみてください。世界が今までと違って見えるかもしれません。そしてその世界は色んな色に彩られている事に気がつくと思います。

<記事化協力>
円山まどかさん(@maruyamadoka)

<参考・引用>
厚生労働省 みんなのメンタルヘルス総合サイト
こころの陽だまり
うつ病 こころとからだ

(看護師ライター・梓川みいな)