Xは6月4日、アップデート情報などを報告するアカウントを通して、「アダルトコンテンツと暴力的なコンテンツに関するポリシーを発足しました」と発表。これまでXでは、「センシティブメディア」と「暴力的な表現」に関するポリシーはあったものの、アダルトコンテンツに対するルールがやや曖昧でした。

 今回の発表では「ルールを明確化し、これらの分野の取り締まりを透明化しました」とのこと。正直なところ、ようやくの明確化でしたが、ユーザーの反応を見ると賛否両論寄せられているようです。今回のポリシー制定に対する反応をまとめてみました。

■ X側としてはアダルトコンテンツを認める

 まず、そもそも今回のポリシー制定の内容はどういった意味を持つものなのでしょうか。

 Xにおけるアダルトコンテンツの定義は「ポルノまたは性的興奮を引き起こすことを意図した成人のヌードや性行為を描写した、合意に基づいて制作および配布された素材」で、「漫画、ゲーム、アニメなどの AI生成、写真、アニメーション コンテンツにも適用されます」とされています。

 今回のポリシーによると、これらについて「適切なラベルが付けられ、目立つように表示されていない場合に限り、合意に基づいて制作および配布された成人のヌードや性行為を共有できます」とのこと。

 続く説明には「性的テーマに関連する素材を、合意に基づいて制作および配布される限り、作成、配布、消費できるべきだと考えています」とあり、X側としてはアダルトコンテンツを認める方針であるようです。

■ アダルトコンテンツを見たい人と見たくない人の棲み分けを明確化

 ただし「成人向けコンテンツを見たくない子どもや成人ユーザーへの公開を制限することで、この自由のバランスを取っています」とあり、性的な内容を含む投稿を行う場合は「センシティブな内容を含む」と設定を行う必要があります。

 これに違反していると判断された場合は、これまで通り違反報告を行うことができます。こうしたポリシーが明文化された以上、違反に対する対応や、いわゆるシャドウバンやアカウント停止に至るまでの内部フローにも何らかの変更が加えられると考えられます。

■ 禁止条件もある

 また、「搾取、不同意、客体化、未成年者への性的対象化または危害、わいせつな行為を助長するコンテンツ」「プロフィール写真やバナーなど、目立つ場所での成人向けコンテンツの共有」についても禁止と明記。

 つまり、これまで同様にアダルトコンテンツの投稿はOKとするが、その場合はラベル付けを行って、見たくない人には表示させないようにしますよ、違反した場合は遠慮なく罰を与えていきますよ、ということ。

 今までほぼルールが設けられていなかった状態から、明確なルールを設けることで、Xをより安全に使いやすくするために制定したのが今回のポリシーでしょう。見たくないコンテンツが、不意に表示されてしまうのを防ぐためのもの、と解釈できます。

■ ユーザーには意図が正しく伝わっていない?相次ぐ賛否両論の声

 しかしながら、今回の発表に対し、ユーザーからは「Xがエロ許可SNSになるとは驚いた」「アダルトコンテンツが蔓延しそう」といった心配や不安の声が多数。今回の発表はむしろその逆で、「明確な棲み分けを行っていきます」というものなのですが……英語表記であるためか、上手く意図が伝わっていないのが現状であるようです。

 もちろん「ラベルのあるコンテンツは表示しない、とか選択出来るようにするのかしら。これなら歓迎」「年齢認証や個々で表示制限するって書いてあるじゃん」と、正しく理解し賛成の意を示している方も。賛成派の中には「アダルトOK」と解釈し喜ぶ声も見られますが……違う、そうじゃない。

 先述の通り、Xがこれまで曖昧だったアダルトコンテンツの取り扱いに対して、明確なポリシーを設けたというのが今回の主旨。どこまで本腰を入れて対応するのかについては、Xの運営側次第ではありますが、今後SNSとしての評価が分かれる分岐点になりそう。

 更新の度に何かと使いづらさが指摘されてしまうXですが、世界中の多くのユーザーにとって、より安全で便利なSNSになっていってほしいものです。

<参考・引用>
Safety(@Safety
Xヘルプセンター「Adult Content
※掲載画像はXヘルプセンターのスクリーンショットです。

(山口弘剛)