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土方歳三の恋の句ブックカバーが話題 これは草葉の陰で再度死ねる……

 幕末の京都を駆け抜けた新選組。この中でも局長・近藤勇の右腕として恐れられた鬼の副長こと「土方歳三」ですが、剣術だけにとどまらず、俳諧も特技のひとつだったそうです。ちなみにどうでもいいことですが、つい先日電車に乗っていたところ歴史をお勉強中のある学生グループの一人が「“どかたとしぞう”ってイケメンじゃない?」という話をしていて、ん?となりました。このため一応ふりがなをつけておくと「土方歳三」さんは、「ひじかた・としぞう」さん読みです。ドカタさんじゃないよ!

  •  さて、その土方歳三が詠ったとされる「豊玉発句集」。中には、恋のことについて詠まれた句もあり「しれば迷いしなければ迷わぬ恋の道」と、鬼の副長という異名からは想像がつかないほど繊細な句に感じられます。

     そんな土方歳三の恋の句が、ブックカバーのデザインになっているとネットで話題をよんでいました。実際は豊玉発句集の作品の一つとして他の句とともに掲載されていますが、「しれば迷いしなければ迷わぬ恋の道」は丸で見せ消ち(修正マークのようなもの)が施されています。あぁ、これ土方さん的にはなかったことにした作品だ……。そしてその横にある修正後の作品では「しれば迷いしらねば迷ふ法の道」となっていました。恋で詠んでみたものの恥ずかしくなって「法」にしてみたってところでしょうか?

     ネットではこの商品について「本人どう思うんだろうw」「恥ずかしすぎる」や「やめてあげてーー」など同情する声がもっぱら。確かに一回なかったことにした作品がよりによって死後に堂々商品化されちゃったわけですから。

     もしも土方歳三が生きていたら2018年5月31日で183歳を迎えますが、どんな気持ちで受け止めているのかインタビューしてみたいものです。とはいえ、実際にはできないので商品名『「土方歳三」ブックカバー ~豊玉発句集編~』(税別800円)を取り扱う、株式会社コミュニティネットさんに、どのようなきっかけで土方歳三のブックカバーが誕生したのか聞いてみました。

    ――どういう意図でブックカバー ~豊玉発句集編~を作られたのですか?

    土方歳三の遺品類は少なく、その中でも「豊玉発句集」は土方歳三が浪士組として上洛する前の多摩時代に詠んだ作品集ということで、等身大の土方歳三がうかがえる貴重な資料。これを土方歳三ファンが身近に接することができれば、きっと喜んでもらえるのはないかとの思いから、土方歳三資料館様にご協力を仰いで商品化しました。

    ――今までにどのぐらい売れましたか? 反響を教えてください。

    販売から4年ほど経過していますが、これまで3,000枚以上を売り上げており、他のブックカバーよりも販売数は多いです。

    ――他にシリーズはありますか?

    幕末系アイテムでいえば土方歳三愛刀をモチーフにした「和泉守兼定 七夕図ツバ」、さらに幕末志士の所用品などを鏤めた「幕末コレクション」などがあり、戦国系アイテムとしては城郭の絵柄とした「日本の名城」東日本編・中日本編・西日本編、また合戦図屏風の名画面を絵柄に使用した「篠合戦図屏風」「大坂夏の陣図(真田編)」「関ケ原合戦図屏風・家康本陣編」「関ケ原合戦図屏風・三成本陣編」などがあります。

    ――もしかしてこの句って土方歳三が誰に贈ったラブレター的なものだったりしますか?

    これはとくに土方歳三のラブレターというものではなく、文久3年(1863)に浪士組(新選組の前身)として上洛する前に、薬売りの行商の道すがら筆を走らせていたもの。冊子形式で四十一句からなっていますが、ひときわ春の句が目立つ発句集です。その中から選んだ頁に書かれた作品をピックアップしたものです。

    ――どのような方がご購入されていますか?

    ブックカバーシリーズは老若男女を問わず幅広い層の方にご購入いただいていると思いますが、土方歳三関連の二種類に関しましては圧倒的に若い女性の購入者が目立っていると各販売様からお聞きしています。

     この句はラブレターのような誰かに贈った句なのかと思っていましたが、それはどうやら違うようです。「豊玉発句集」は新選組誕生以前に作成された句だそうですが、土方歳三が行商の道すがら思わず筆を走らせてしまうほど恋に溺れた時期があったとしたら……、ブックカバーを使う時に少しだけムフっとにやけてしまいそうです。

    <記事化協力>
    株式会社コミュニティネット

    (黒田芽以)

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