「ローマの休日」というと、皆さんはどんなものを思い出しますか?ジェラート、ベスパでの2人乗り、真実の口……様々なシーンがありますが、意外な「ローマの休日」の画像がTwitterで話題になっています。……うん、これも「ローマの休日」かもしれません。でも約2000年前からタイムトラベルしちゃったのかな?
この古代「ローマの休日」画像を投稿したのは、甲冑を着て戦う「ヘヴィファイト」という競技をしているTwitterユーザーのバケツヘッドさん(@Baketu_head)。古代ローマ兵が用いていたロリカ・セグメンタタというプレートアーマー(板金鎧)の一種を着用し、キッチンで料理をしている姿です。
ローマの休日 pic.twitter.com/zFWeOYvRCt
— バケツヘッド@4月6日甲冑模擬戦闘練習会主催 (@Baketu_head) August 5, 2018
このロリカ・セグメンタタ、短冊状に切った鉄板を曲げ、それを重ねて作られた甲冑で、映画「ベン・ハー」などにも登場し、一般的に「ローマ軍団の鎧」というとこの姿が思い浮かぶものです。発掘された遺跡の名前から数種類のバリエーションが存在し、ローマ帝国第2代皇帝のティベリウス(イエス・キリスト処刑時の皇帝として知られる)の治世(紀元前42年~紀元後37年)ごろから3世紀ごろまで使用されていたと考えられています。表面に錆止めの油を塗るなどの手入れが欠かせず、実際のところ、多くのローマ兵はこのロリカ・セグメンタタではなく、安価な上、構造上柔軟性があって動きやすい鎖帷子(チェーンメイル)の一種であるロリカ・ハマタを使用していたものと考えられています。
しかしなぜ家の中で甲冑を?という疑問ですが、新品の甲冑は、ある程度体の大きさに合わせて作られてはいるものの、実際に着用して動いてみないと、実用的な着心地は判らないとのこと。パーツ同士が干渉して動きに制限が出そうなところは、その部分の形状を調整するなどして、本番の試合に備えるといいようです。
バケツヘッドさんが楽しんでいる「ヘヴィファイト」は、かつて戦場で使用されていた甲冑(レプリカ)を着用して、当時の武器を用いて実際に戦うというもの。アメリカのカリフォルニア州に本部がある歴史研究・愛好家たちの組織であるSCA(The Society for Creative Anachronism)が提唱したスポーツです。歴史再現に近いアプローチで、もちろん武器は金属製でない、実際に人を殺傷することのないようなものとなっています。また、組みついての体術や打撃技など、武器を使用しない徒手格闘は禁じられています。様々な時代の様々なタイプの甲冑を着用したファイトは、なかなか面白いものです。
こんな「ローマの休日」もあるんだなぁ……と思いつつ、このロリカ・セグメンタタ姿でジェラート食べたりベスパに乗ればいいんじゃないか?と、どんどん変な方向に妄想が捗る筆者でした。
<記事化協力>
バケツヘッド(@Baketu_head)さん
(咲村珠樹)