日本プロ野球選手会は10月10日、「2025 JERA クライマックスシリーズ セ」「2025 パーソル クライマックスシリーズ パ」、および「SMBC日本シリーズ2025」において、SNS上での誹謗中傷を検出・通報するAIシステム「Threat Matrix」を導入すると発表しました。
英国のSignify Group社が開発した「Threat Matrix」は、日本語を含む42の言語と絵文字に対応する誹謗中傷検出AI。
FIFAワールドカップ2022やラグビーワールドカップ2023などでも採用された実績を持ち、英プレミアリーグ・アーセナルFCでは導入後、SNS上での誹謗中傷検知件数が90%減少したデータもあるという世界的なツールとして知られています。
■ SNS上の投稿をAIが監視・分析、迅速な通報や削除要請も
今回の導入は、当然ながら選手やその家族をオンライン上の誹謗中傷から守ることを目的としたもの。対象はクライマックスシリーズおよび日本シリーズに出場登録された全選手で、主要SNS上での投稿をモニタリングし、誹謗中傷に該当する内容を自動で検出・特定します。
検出された投稿については、SNS運営元への通報・削除要請、球団との情報共有、DM対応、さらには発信者情報の開示請求や刑事手続の証拠保全までを含めた迅速な対応を行うとのこと。誹謗中傷が選手の家族に及んだ場合は、家族へのサポートも行うとしています。
■ 「安心して競技に集中できる環境づくり」の一環
近年、SNS上で選手や関係者に対する誹謗中傷が増加傾向にあり、野球界のみならずスポーツ界全体で深刻な課題となっています。選手会ではこれまでも啓発活動やNPB、各球団との協力体制を整えてきましたが、今回のAIシステム導入は、対策のさらなる強化を意味します。
選手会は今回の発表に際し「選手と、危害が及ぶ場合にはその家族を誹謗中傷から守ることで、選手が安心して競技に集中できるよう今後も日本プロフェッショナル野球組織(NPB)および12球団等関係者と連携し対策を続けてまいります」とコメント。
フィールド内でのプレーだけでなく、デジタル空間でも選手を守るという新たな取り組み。結果次第では、今後ほかの競技団体にも波及していく可能性もありそうです。
【重要なお知らせ】
日本プロ野球選手会は、明日から始まるクライマックスシリーズおよび日本シリーズにて、試合に出場する選手を誹謗中傷から守るために、誹謗中傷検出システムを導入することをお知らせいたします。詳細は選手会のお知らせにてご確認ください⬇️https://t.co/iiiQmr31Fr pic.twitter.com/WKfifWgivn
— 日本プロ野球選手会 (@JPBPA_Press) October 10, 2025
<参考・引用>
日本プロ野球選手会(@JPBPA_Press)
日本プロ野球選手会公式HP「クライマックスシリーズおよび日本シリーズにおける誹謗中傷検出システムの導入について」
(山口弘剛)