おたくま経済新聞

ネットでの話題を中心に、商品レビューや独自コラム、取材記事など幅広く配信中!

大友克洋、最新作『SHORT PEACE』製作発表会で「ジブリには敵わないです。」

SP集合写真『AKIRA』から25年―『スチームボーイ』から9年―稀代の映像作家である大友克洋による作品を筆頭に、日本のアニメーションの最先端にあり、その先にありうる表現の方向性を模索しているトップクリエイターたちが結集した7月20日公開のアニメーション映画『SHORT PEACE』の製作発表会見が、3月22日、東京国際アニメフェアで行われた。


  • 【関連:『東京国際アニメフェア2013』4日間の見どころを濃縮発表】
     
    『SHORT PEACE』は、巨匠から新進気鋭のクリエイターが、“日本”をテーマに“固有の文化”、“歴史”、“サブカルチャー”、“未来”を描いた4つのショートストーリー。

    記者発表では、それぞれがそれぞれの作品感について語った。

    登壇したのは大友克洋はじめ、8名。
    本稿ではその製作発表会見の全てをお届けしたい。

    ■登壇者
    大友克洋:「火要鎮」監督
    森本晃司:「オープニングアニメーション」
    森田修平:「九十九」監督
    岸啓介:「九十九」ストーリー原案、コンセプトデザイン
    安藤裕章:「GAMBO」監督
    石井克人:「GAMBO」原案脚本、クリエイティブデュレクター
    カトキハジメ:「武器よさらば」監督
    田中達之:「武器よさらば」キャラクターデザイン

    SP集合写真 ボード物撮り

    ――「火要鎮」は、すでに国内外で高い評価を得た作品となりましたが、この作品自体として目指したところを教えてください。

    大友: 最初から短編でやるなら時代劇かなと思っていました。あまりCGに頼らずに、手で描いた柄を着物にハメ込んでみたり、絵巻物のようなテイストのものをやりたいと思っていたので、実際にやれて楽しかったです。

    火要鎮メイン写真

    ――今回はオープニングアニメーションという役割でありながらも、ある意味一つの作品でもありましたが、どの様なスタンスでのぞみましたか?

    森本: 自分が参加するときにはすでに4作品が出来ていました。4作品の橋渡しになるようにと思って作りました。新しい扉を開けて、その向こうに新しい発見があるようなイメージで作りました。

    オープニングアニメーション

    ――『九十九』は力強いテーマとメッセージを含んだ作品でしたが、どこからこの作品の着想を得たのでしょうか?

    岸: 森田監督と話して、まず日本というテーマがあり、物にまつわる作品にしたいと思ったとき、最初に“もったいない”というキーワードが浮かびました。物としての役割を終えてしまった物に対する慈しみの心、よくがんばったなという思いは、すごく日本的な考え方なんじゃないかと思い、この作品を作りました。

    九十九メイン写真

    ――『九十九』は、アニメーションとして、とても目新しいビジュアルの作品でした。表現として目指したところを教えてください。

    森田: 今回の4作品のなかでトップバッターとして一番最初に作品を作りました。僕は日本昔ばなしが好きで、それを新しくCGで作ったら面白いんじゃないかと思っていたら今回の企画の話があり、物としての存在感を感じられる作品を目指しました。

    ――『GAMBO』は衝撃的で、一筋縄で行かない作品と感じましたが、作品の着想や目指したところを教えてください。

    石井: 白クマと鬼が素手で本気で闘ったらどっちが強いのか?その闘いを観たかったんです(笑)。以前から構想はあったのですがどこで発表しようかなと思っていたら、今回の企画にぴったりかなと思い作りました。

    GAMBOメイン写真

    ――安藤監督はじめ、石井克人さん、貞本義行さんというとても個性の強いチームでの作品づくりはいかがでしたか?

    安藤: 外からくる異形と内からの異形の闘いとしてこの作品を作りました。キャラクターデザインの貞本さんには、記号的な省略はしないで、生身の人間からデザインに落とし込むかたちでキャラクターを作っていただきました。

    ――大友克洋さんの原作漫画からの初監督作品となりますが、どの様な切り口で映像化したのでしょうか?

    カトキ: 原作の「武器よさらば」は40代半ば以上の人間にとっては忘れられない作品で、この世界の人間で影響を受けていない人はいないんじゃないかというくらいの作品です。そんな素晴らしい原作をまさか自分が監督するとは思ってもおらず、責任重大という思いで作りました。

    武器よさらばメイン写真

    ――今回のキャラクターデザインはどのようなところにこだわりましたか?

    田中: 高校生のときに原作の「武器よさらば」と出会いました。大友ファンの間ではカルト的な人気の作品で、全てが好きです。ファン代表としてこの作品に取り組みました。

    ――日本に限らず世界中のクリエイターの中で、いま気になっている方はいますか?

    大友: すごくいっぱいいます。漫画、イラストの世界では世界中で新しい人がどんどん出てきているから、良い環境だと思います。アニメの世界にももっと新しい人が入ってきて活気づけてほしいと思っています。

    ――『SHORT PEACE』と同時期公開でジブリ作品がありますが、ジブリ作品はどう思いますか?

    大友: ジブリには敵わないです。ボクらはボクらでがんばるしかないです。

    ――どうしていま“日本”がテーマなんでしょうか?

    大友: 今回の企画は震災前からありました。当時、“クール・ジャパン”として日本の文化を世界に発信していこうという動きがあり、日本を舞台に過去から未来へ、それを新しい作家たちと一緒に作ってみようというコンセプトでスタートしました。

    ――今後、長編作品を監督される可能性はありますか?

    大友: 長編の企画は出しています。震災以降、劇場作品の資金集めが厳しい時期が続きましたが、それがいまは回復しつつあります。もうそろそろ企画が動き出すんじゃないかとボクも期待しています。

    ■STAFF
    「火要鎮」(ひのようじん)脚本 監督:大友克洋/キャラクターデザイン ビジュアルコンセプト:小原秀一/音楽::久保田麻琴
    「九十九」(つくも)脚本 監督:森田修平/ストーリー原案 コンセプトデザイン:岸 啓介
    「GAMBO」監督:安藤裕章/原案脚本 クリエイティブディレクター:石井克人/キャラクターデザイン原案:貞本義行
    「武器よさらば」原作:大友克洋/脚本 監督:カトキハジメ/キャラクターデザイン:田中達之
    「オープニングアニメーション」森本晃司

    配給:松竹  

    SP大友監督 ShortPeace_ポスター

    (C)SHORT PEACE COMMITTEE
    (C)KATSUHIRO OTOMO/MASH・ROOM/SHORT PEACE COMMITTEE

    あわせて読みたい関連記事
  • アニメ/マンガ, ニュース・話題

    大友克洋の新作映画「ORBITAL ERA」制作決定 「AKIRA」新アニメも

  • アニメ/マンガ, ニュース・話題

    TAAF2014『アニメ オブ ザ イヤー部門』に「進撃」「風立ちぬ」「ヱヴァ」…

  • アニメ/マンガ, ニュース・話題

    TAFとACE、東京都を外した完全民間主導の「AnimeJapan 2014」開…

  • アニメ/マンガ, イベント・キャンペーン

    『アニメ コンテンツ エキスポ』VS『東京国際アニメフェア』は平均動員数でACE…

  • アニメ/マンガ, イベント・キャンペーン

    『東京国際アニメフェア2013』来場者は前年比7%増、ビジネスデー外国人来場者は…

  • アニメ/マンガ, ニュース・話題

    極寒の中行われた劇場版『牙狼外伝 桃幻の笛』の撮影は「ストッキング禁止(笑)!」…

  • アニメ/マンガ, イベント・キャンペーン

    『東京国際アニメフェア2013』4日間の見どころを濃縮発表

  • 「第一回 海外マンガフェスタ」には国内外の有名漫画家が集結
    イベント・キャンペーン

    「第一回 海外マンガフェスタ」には国内外の有名漫画家が集結

  • 大友克洋、浦沢直樹トークライブも行われる「海外漫画フェスタ」18日開催
    イベント・キャンペーン

    大友克洋、浦沢直樹らも出席、「海外漫画フェスタ」18日開催

  • 「アニメ コンテンツ エキスポ 2013」がホールの広さを倍にして開催決定
    アニメ/マンガ, イベント・キャンペーン

    「アニメ コンテンツ エキスポ 2013」がホールを倍にして開催決定

  • おたくま編集部Editor

    記事一覧

    おたくま経済新聞・編集部による監修or執筆

    ▼こちらのライターの最新記事▼

  • ニキータ・ビア氏の投稿
    インターネット, サービス・テクノロジー

    X、API改定しリプライ浄化 報酬目当ての投稿アプリを出禁

  • 「ゆるキャン△」タイアップ 林野火災予防リーフレット
    アニメ/マンガ, ニュース・話題

    消防庁が「ゆるキャン△」とタイアップ 山火事予防を呼びかけるリーフレット制作

  • 派閥争い終結か!?きのこの山とたけのこの里、マックフルーリーで共闘
    商品・物販, 経済

    派閥争い終結か!?きのこの山とたけのこの里、マックフルーリーで共闘

  • ねるねるねるねアイスバー
    商品・物販, 経済

    テーレッテレー♪ねるねるねるねがアイスに変身 “あたりつき”40周年記念商品を発…

  • 福岡市、生活保護をめぐるSNS情報を否定 投稿者の開示請求へ
    インターネット, 社会・物議

    福岡市、生活保護をめぐるSNS情報を否定 投稿者の開示請求へ

  • 狂愛ストーリー「ホタルの嫁入り」テレビアニメ化 ノイタミナ枠で放送
    アニメ/マンガ, ニュース・話題

    狂愛ストーリー「ホタルの嫁入り」テレビアニメ化 ノイタミナ枠で放送

  • トピックス

    1. 九州の2大巨頭が夢のコラボ 「ブラックモンブランマンハッタン」食べてみた

      九州の2大巨頭が夢のコラボ 「ブラックモンブランマンハッタン」食べてみた

      九州で育った方なら、誰もが知る2つのソウルフード、竹下製菓のアイス「ブラックモンブラン」と、リョーユ…
    2. ニキータ・ビア氏の投稿

      X、API改定しリプライ浄化 報酬目当ての投稿アプリを出禁

      SNS「X」が、ここ最近リプライ欄を埋め尽くしていた「意味不明な“ヨイショ”投稿」に、ついにメスを入…
    3. 覚悟して食べた昆虫食 セミ・ゴキブリ・カブトムシの中で一番おいしかったのは?

      覚悟して食べた昆虫食 セミ・ゴキブリ・カブトムシの中で一番おいしかったのは?

      東京・吉祥寺を歩いていたところ、思わず二度見してしまう自動販売機に出会いました。売られていたのはジュ…

    編集部おすすめ

    1. 生成AI「Grok」を巡りXが安全対策を強化 編集部が体験した監視の実態

      生成AI「Grok」を巡りXが安全対策を強化 編集部が体験した監視の実態

      昨年12月末、画像編集機能を搭載したことで物議をかもした、X(旧Twitter)の生成AI「Grok」。そのGrokをめぐり、Xの公式安全対…
    2. ねるねるねるねアイスバー

      テーレッテレー♪ねるねるねるねがアイスに変身 “あたりつき”40周年記念商品を発売

      クラシエ株式会社(フーズカンパニー)は、発売から40周年を迎えるロングセラー菓子「ねるねるねるね」を記念し、「ねるねるねるねアイスバー」を2…
    3. 福岡市、生活保護をめぐるSNS情報を否定 投稿者の開示請求へ

      福岡市、生活保護をめぐるSNS情報を否定 投稿者の開示請求へ

      福岡市は1月13日、SNS上で拡散されている「福岡市で生活保護を断られた母子3人が亡くなった」とする動画や投稿について、「事実ではありません…
    4. クレーンゲーム機「クラウン602」

      タイトー、幻のクレーンゲーム機を全国指名手配 有力情報に賞金10万円

      ゲームセンターの片隅に、あるいは閉店した商店の倉庫に、ひっそりと眠っているかもしれません……。タイトーが今、全国に向けて“指名手配”している…
    5. ぐるなび、個人情報流出を否定 SNS投稿巡り調査結果公表

      ぐるなび、個人情報流出を否定 SNS投稿巡り調査結果公表

      飲食店情報サイト「ぐるなび」を運営する株式会社ぐるなびは1月8日、同社の個人情報流出を巡るSNS上の投稿について、公式サイト上で「調査の結果…
    Xバナー facebookバナー ネット詐欺特集バナー

    提携メディア

    Yahoo!JAPAN ミクシィ エキサイトニュース ニフティニュース infoseekニュース ライブドア LINEニュース ニコニコニュース Googleニュース スマートニュース グノシー ニュースパス dメニューニュース Apple ポッドキャスト Amazon アレクサ Amazon Music spotify・ポッドキャスト