ここ数日インターネット上で、ボカロファン(=音声合成ソフト「ボーカロイド」で演奏されたオリジナル曲のファン)と、AKBファンが熾烈なバトルを繰り広げている。
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ことの発端は、20日に放送された日本テレビの朝の情報番組「Zip」で取り上げられた「ボカロ曲」(=音声合成ソフト「ボーカロイド」を使用し演奏されたオリジナル音楽)に関する特集。
いいかげんな解説が多く、放送開始早々からネット上では批判の声が多く挙げられていた。特に問題となったのは、ボカロ曲の人気についての仕組みの紹介。ここでは『ボカロP』と呼ばれるボカロ曲を作詞・作曲するいわゆる“原作者”の説明が省かれ、特集自体の不完全さが目立った。
ここまではまだ一日二日程度で収束する「炎上」規模だったが、問題はここから。
20代以下を対象にしたカラオケランキングでトップ10の内7つをボカロ曲が占めるという話題で、1位「千本桜」と紹介。そして「千本桜」の作詞・作曲者として「黒うさP」さんの名前を紹介した。
これについて一部のAKBファンが「千本桜はAKBの歌なのに、勝手にボカロの曲にされてる」といった意見をインターネット上に投稿。それがボカロファンの目につくこととなり大炎上へと発展したのだった。
「千本桜」は、黒うさPさんが作詞・作曲した音楽。これに間違いはない。そしてボーカロイドを使用し演奏もされている。2011年9月17日にニコニコ動画に投稿されたオリジナルPVは現在までに600万再生を記録。最近では、この曲を題材にした、小説やミュージカルも発表され、ニコニコ動画、そしてボーカロイドという枠を越え、幅広く愛されるコンテンツに成長している。
そんな紛れもない黒うさPさんの「千本桜」が今回なぜ「AKBの歌」になってしまったのか?
実は、先に触れたミュージカル化の際、AKBメンバーが多く出演し、曲のカバーを披露していたのだ。恐らくそれが起因となって、AKBファンの間では「千本桜/黒うさP feat. 初音ミク」ではなく「千本桜/秋元康 feat. AKB48」と認識されてしまったのではないだろうか。
今回の騒動がどの時点で着地するかは不明だが、当面この騒動、まだまだ続く見込み。
なお、最後に余談だが、今回話題となった「千本桜」。その作詞・作曲者が黒うさPさんであることは間違いない。
ただそれを愛し、育て、広めていったのはボカロファン、そしてボカロを知らない人達にこの曲を伝える一役をになったのはAKB、そして更にAKBを通じこの曲を愛したのはAKBファン。そう考えると、結局のところ、皆この「千本桜」が好きで好きでたまらないというのに全く変わりないのではないだろうか。
となると、今回の騒動。
「千本桜」は黒うさPさんだけのものではなく、勿論AKBのものでもなく、「この曲を愛する皆のもの」という風に着地点があるように思われて仕方ない。
参考:
ニコニコ大百科「千本桜」http://dic.nicovideo.jp/v/sm15630734
ニコニコ動画『初音ミク』千本桜『オリジナル曲PV』 http://www.nicovideo.jp/watch/sm15630734
画像:
千本桜 (feat. 初音ミク)ジャケット
ニコニコ動画『初音ミク』千本桜『オリジナル曲PV』