『北斗の拳』の世界観のモデルにもなった『マッドマックス』シリーズの最新作『マッドマックス 怒りのデス・ロード』が公開され一か月が過ぎました。本シリーズは妻子を殺された主人公・マックスが荒廃した近未来で復讐劇を繰り広げるという至ってシンプルな終末アクションですが、ネット上では日々マッドマックスネタで異様な盛り上がりを見せています。

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マッドマックス

■突っ込みどころ満載の世界観と設定が魅力

・脱走しまくっている女戦士・フュリオサを責任者にしちゃう悪の親玉イモータン・ジョー。
・資源不足が原因で争いが絶えないのに改造された車の数々が無駄に火を噴きまくる。
・水不足で母乳が飲み水代わり。
・主人公が生きたまま輸血袋にされている。
・ギターも火を噴く。しかも戦いの中ただ演奏しているだけに見える。
・爆撃と銃弾の派手さ重視の能率の悪い戦闘シーン。煙幕もカラフル。

 といくつか例を挙げてみましたが、これだけでも突っ込みどころ満載で観た人たちはトンデモな世界観に大興奮。その様子をネットで語らずにはいられません。

■「つまらない」のは「俺の車」

 絶賛ばかりの感想を訝しく思い「マッドマックス つまらない」で検索しても「俺の車はマッドマックスのように火を噴かなくてつまらない」という感想ばかりがヒットしてしまう現象を見ても人気のほどが窺えます。

■ドゥーフ・ウォーリアーに度肝を抜かれる

 中でも一見、戦闘中にギターを弾いているだけに見えるドゥーフ・ウォーリアーはネット上の話題をかっさらっています。何がすごいって、ギターが火を噴いて登場、背後には車に搭載された馬鹿でかいスピーカー。戦闘中に戦わず、ひたすらギターを弾いてるだけなのに圧倒的な存在感!資源不足の設定はどこいったんでしょう。登場シーンを見ただけで興奮したという感想がやたら多いのも納得です。

■ジョー様に忠誠を誓いたい人が続出
 
 そして、ジョー様に忠誠を近い死に行くウォーボーイズが口周りに銀スプレーを噴きかけられるシーンがありますが、ネット上で食用銀スプレーを購入したら再現可能だ! と話題になり国内外でファンが買い求めまくっています。商品のレビュー欄は熱い思いを報告するファンで溢れるという異様な事態に。

■「極上爆音上映会」なるものまで

 立川シネマシティでは何と今作のために数百万するウーファーを追加購入し『極上爆音上映会』を公演しています。作品に惚れ込んだスタッフが企画したものだそうですが、毛髪一本まで震えるほどの爆音で上映される臨場感に何度も観に訪れるファンや噂を聞きつけてやって来る新参者が後を絶たないそうです。
  
■インターネットの時代だからこそ

 そんなネット上の話題や熱いファンが観客動員数を増員しまくっている『マッドマックス 怒りのデス・ロード』ですが、前作以前があまり話題にならず今作が大盛り上がりなのはネタ要素満載の世界観や二次ネタが、主にSNSで口コミとなって拡散されたからではないでしょうか。
 とは言っても名作は名作。ネットのない時代だったら埋もれてしまっただろう作品が、ちゃんと陽の目を見られる世の中になりつつあるのは、つくり手にも鑑賞者にとっても素晴らしいことですね!

(文:貴崎ダリア)