おたくま経済新聞

ネットでの話題を中心に、商品レビューや独自コラム、取材記事など幅広く配信中!

劣悪な環境で次々死んでいくフクロウ…フクロウカフェの元スタッフが内部告発

とあるフクロウカフェで働いていたという元従業員が、その実態をNPO法人アニマルライツセンター(東京都渋谷区)に告発し話題となっています。

  • 【関連:抜け道だらけ?日本の動物愛護法】

    告発によると、フクロウカフェの元スタッフは、2015年から2016年に働いていたというフクロウカフェの内部事情があまりにフクロウたちにとって酷い環境であったとしています。本来生きられたであろう寿命を待たずに亡くなったフクロウは「お迎えが来て新しい飼い主さんに引き取られた」とお店のホームページで虚偽の報告をされ、亡骸はその都度裏の空き地に埋められていたそうです。

    フクロウたちは糞尿が増えるという理由で与える水分を極端に減らされており、喉が乾き嘴の下に特徴的なサインを出しても対処されることはありませんでした。体調不良となり死んでいったフクロウはギリギリまで我慢し、止まり木から急に落ちて倒れるような形で死んでいった子もいたそうです。

    ■フクロウは飼うことが難しい

    告発した元スタッフによると、働いていた1年で亡くなったフクロウの数は7羽。明らかに異変があったにもかかわらずオーナーがフクロウを動物病院につれていくことはなかったのだとか……。

    そこでフクロウの飼育について小鳥の診察などを扱う山梨県の笛吹どうぶつクリニックの伊藤宗徳院長に話を伺ったところ「そもそも、フクロウは極端にストレスに弱い」のだそうです。「カフェですと恐らくケージ飼育でないでしょうし、放し飼いが出来ませんでしょうから、リーシュ、リードに繋いでいるのかと思います。当然自由がききませんし、何よりもケージ飼育が理想なのに、ケージという遮蔽物がないので、直接的に対人ストレスが加わり、その際に逃げる手段もないので、可哀そうですね。ストレスにより絶食を決め込むと、まもなく死んでしまう個体もあります。また飲水は、当然生き物ですので自由飲水が必要です。好きな時に、必要に応じてお水が飲めるようにすべきです」(同院長)。

    また、今回告発されたフクロウカフェは、フクロウの飼育だけでなく、カフェに訪れたお客様に提供する飲み物を扱う流し台で、フクロウのエサであるウズラやネズミを扱っていた問題も指摘されており、衛生管理面に対しても疑問の声が上がっています。

    ■動物愛護法の観点から

    今回告発されたフクロウカフェは、特に「動物の愛護及び管理に関する法律」の第二条に反しているのではないかと指摘されています。

    これは「動物が命あるものであることにかんがみ、何人も、動物をみだりに殺し、傷つけ、又は苦しめることのないようにするのみでなく、人と動物の共生に配慮しつつ、その習性を考慮して適正に取り扱うようにしなければならない。」というもの。

    さらに第二条の2では「何人も、動物を取り扱う場合には、その飼養又は保管の目的の達成に支障を及ぼさない範囲で、適切な給餌及び給水、必要な健康の管理並びにその動物の種類、習性等を考慮した飼養又は保管を行うための環境の確保を行わなければならない。」としており、これに関しても告発の内容から適切に取り扱われていなかったのではないかと指摘されています(※アニマルライツセンターサイトより抜粋)。

    その他にも、告発文の内容から違反していると考えられる点がいくつも挙げられています。
       
    アニマルライツセンターの担当者に問い合わせたところ
    「自由に動き飛ぶことのできる広い空間、水浴び場や砂場、飲水設備、様々な形状の止まり木、これらはフクロウにとって必要なものです。(中略)
    目がクリクリとしてフクロウは愛らしく、触ってみたくなる気持ちは分かります。しかしその欲求を満たすために、フクロウは自由を奪われ不特定多数の人に触られ続けています。フクロウカフェが乱立する今、これが果たして人と動物との正しい関係なのかどうか……」とのことでした。

    ■一方で良質なフクロウカフェに助けられる人たちも……

    そんなフクロウは、飼育が難しいからこそ猛勉強した上で自宅にお迎えする飼い主さんが多いことも事実です。そして、そんな飼い主さんたちがフクロウを飼おうと思ったきっかけにフクロウカフェの存在がきっかけということは少なからずあるようです。

    フクロウカフェの中には触れ合いを禁止し、お客様とフクロウのスペースを何らかで仕切る、ケージに入れるなどしてストレスをできるだけ少くした環境で運営しているカフェも存在しています。

    そんなカフェは飼い主さんたちの情報交換の場ともなっており、インターネットや書籍だけでは不足する現場の生の声を聞き、リアルな飼育法を教えてもらえる貴重な場なのだとか。

    ■署名活動が行われている

    今回の告発を含め、署名サイト「change.org」にて、「拘束されて動けない フクロウのカフェに終止符を」と題して署名が募られています。署名を募る主旨は「ストレスに弱いフクロウを見知らぬ人に頻繁に触れさせたり晒すという“ふれあいカフェ”というビジネス」の廃止や現在営業中のフクロウカフェに飲水器の設置を指導するようを求めるもの。

    change.org

    アニマルライツセンターによると、2017年1月までに北海道をはじめとする14のフクロウなどの展示業者(ふれあいカフェ、販売、展示)に対して署名及び要望を提出しており、意見交換ができた業者もあれば話し合いに応じてもらえない業者もあったそうです。

    フクロウ愛好者からは良質なカフェもあると意見が挙がる一方で、「フクロウは管理が難しい」という声もあり、例え触れないことを前提としたカフェであっても、フクロウをストレスなく過ごさせることができるかどうかに疑問が残ります。

    【参考】
    ・内部告発-フクロウカフェ
    change.org

    (大路実歩子)

    あわせて読みたい関連記事
  • 見ているだけで健康になれる
    インターネット, おもしろ

    ここに入るために生まれてきた?芯にジャストフィットなハムスター

  • 人間とフクロウの横顔が合体!奇跡のシンクロ写真に10万いいね
    インターネット, おもしろ

    人間とフクロウの横顔が合体!奇跡のシンクロ写真に10万いいね

  • お散歩が待ち遠しくて仕方ない!自分から移動用のバッグに入りに行く亀
    インターネット, おもしろ

    お散歩が待ち遠しくて仕方ない!自分から移動用のバッグに入りに行く亀

  • ヒェッ……ニワトリが扉の隙間からじっと見つめてくる!実は親切な行動だった?
    インターネット, おもしろ

    ヒェッ……ニワトリが扉の隙間からじっと見つめてくる!実は親切な行動だった?

  • 全てがどうでも良くなったプレーリードッグ!へそ天で転がる姿が無防備可愛い
    インターネット, おもしろ

    全てがどうでも良くなったプレーリードッグ!へそ天で転がる姿が無防備可愛い

  • 激しく取っ組み合う2匹の動物
    インターネット, おもしろ

    まさかの場所に地下闘技場!?唸り声のする溝を覗き込んで見つけたのは……

  • 人生にくたびれた中年?段差に腰掛けてぼーっとするチンチラちゃん
    インターネット, おもしろ

    人生にくたびれた中年?段差に腰掛けてぼーっとするチンチラちゃん

  • 飼い主の肘肉をかぷり!繰り返し見たくなるリクガメの「求愛アピール」
    インターネット, おもしろ

    飼い主の肘肉をかぷり!繰り返し見たくなるリクガメの「求愛アピール」

  • 「ごちそうだッ!」誕生日ケーキにかぶりつくワンちゃんが豪快すぎる
    インターネット, おもしろ

    「ごちそうだッ!」誕生日ケーキにかぶりつくワンちゃんが豪快すぎる

  • "ぐったり"……じゃなく"ぐっすり"でした 横になって眠るニワトリさんに驚き
    インターネット, おもしろ

    “ぐったり”……じゃなく”ぐっすり̶…

  • おたくま編集部Editor

    記事一覧

    おたくま経済新聞・編集部による監修or執筆

    ▼こちらのライターの最新記事▼

  • 「ウォーキング・デッド」特化オークションが初開催 総額3億円超の落札集まる
    エンタメ, 映画

    「ウォーキング・デッド」特化オークションが初開催 総額3億円超の落札集まる

  • ヤマト運輸、「当日配送サービス」開始 同一都道府県内運賃も新設
    企業・サービス, 経済

    ヤマト運輸、「当日配送サービス」開始 同一都道府県内運賃も新設

  • 嵐・四宮社長が偽アカウント多発に注意喚起 「来年のツアー用新アカウントの予定もなし」
    エンタメ, 芸能人

    嵐・四宮社長が偽アカウント多発で注意喚起 「来年のツアー用新アカウントの予定も現…

  • カレーシチューに、フレンチサラダ、本当にまずかった脱脂粉乳他(2300円)
    イベント・キャンペーン, 経済

    昭和の“たのしい給食”が期間限定で復活 脱脂粉乳まで再現した「絶滅危惧食フェア」…

  • 新商品「うまかっちゃん<濃厚新味 あごだしとんこつ>」
    商品・物販, 経済

    焼きあごの香ばしさと細カタ麺の共演 「うまかっちゃん<濃厚新味 あごだしとんこつ…

  • 北海道産のチーズを2種類使った秋冬限定フレーバー「かっぱえびせん 北海道Wチーズ味」
    商品・物販, 経済

    北海道産チーズのW使い!「かっぱえびせん 北海道Wチーズ味」がこの秋登場

  • トピックス

    1. 汗冷え対策は「ヒートテックの下にエアリズム」 ユニクロ公式発の裏ワザが再び話題

      汗冷え対策は「ヒートテックの下にエアリズム」 ユニクロ公式発の裏ワザが再び話題

      屋内と屋外で寒暖差が大きく、着る服に悩みがちなこの季節、SNS上で「エアリズムの上にヒートテックを着…
    2. 「ドラクエ7リメイク」にキーファ再会エピソード追加 衝撃展開にSNSでは「恨み節」も

      「ドラクエ7リメイク」にキーファ再会エピソード追加 衝撃展開にSNSでは「恨み節」も

      2025年11月12日午前7時に配信された「State of Play 日本」にて、「ドラゴンクエス…
    3. アカウント1の投稿

      【前編】それでも私は、書くことを選んだ―― Temu不審アカウントに挑んだ無名記者の記録

      ある日の調査作業の過程で、SNS「X」上において、急成長中の越境EC大手「Temu」のサポート担当を…

    編集部おすすめ

    1. 床掃除はおまかせ!「モップ機能つき生ルンバ」と化すビションフリーゼがかわいい

      床掃除はおまかせ!「モップ機能つき生ルンバ」と化すビションフリーゼがかわいい

      頭をぐりぐり動かしながら、床の上を滑っていく1匹のワンちゃん。飼い主さんが「モップ機能つき生ルンバ」と呼ぶビションフリーゼ・せとくんの動画が…
    2. 工場労働者2138人、1万時間の作業映像をオープンソース化 ロボット向け学習に活用

      工場労働者2138人、1万時間の手作業映像をオープンソース化 ロボット向け学習に活用

      工場向け自動化ロボットの研究開発を行うテクノロジー企業、Build AIが、工場労働者2138人による合計1万時間の作業映像をオープンソース…
    3. お菓子の家……ならぬ「つまみの家」誕生 お酒が進むオトナの創作料理

      お菓子の家……ならぬ「つまみの家」誕生 お酒が進むオトナの創作料理

      「解体しながら飲む」が合言葉。童話でお馴染みの「お菓子の家」を、そのまま大人向けに置き換えたような、その名も「つまみの家」がXに登場しました…
    4. 作業でたき火を燃やす新感覚クリッカー「たき火と猫」登場 癒やしと集中を両立するチル系ゲーム

      作業でたき火を燃やす新感覚クリッカー「たき火と猫」登場 癒やしと集中を両立するチル系ゲーム

      作業中に「猫」と「たき火」の癒やしを感じながら集中できる……そんな新感覚のゲーム「たき火と猫」のSteamストアページが公開されました。本作…
    5. アカウント1の投稿

      【後編】それでも私は、書くことを選んだ―― Temu不審アカウントに挑んだ無名記者の記録

      ※この記事は前編からの続きです。前編では、Temuを名乗る複数のアカウントを調査する中で見えてきた構図をお伝えしました。ここからは、Temu…
    Xバナー facebookバナー ネット詐欺特集バナー

    提携メディア

    Yahoo!JAPAN ミクシィ エキサイトニュース ニフティニュース infoseekニュース ライブドア LINEニュース ニコニコニュース Googleニュース スマートニュース グノシー ニュースパス dメニューニュース Apple ポッドキャスト Amazon アレクサ Amazon Music spotify・ポッドキャスト