定食屋さんに行くと、つい頼んでしまうのが魚の西京焼き。あの西京漬け独特のほんのりした甘味と、ふわっとした柔らかさが好きなんですよね。そんなある日、編集部に届いた株式会社西京味噌からの情報案内。
株式会社西京味噌は天保元年(1830年)創業の京都にある老舗。情報案内に「実は、西京味噌はお肉にも合うんですよ」と書かれていました。西京味噌といえば西京漬けで知られるとおり魚のイメージが強いけど……。今年は都内いくつかの店で西京味噌をつかった豚肉料理を展開しているそうですが、家庭向けの「簡単公式レシピ」も提供可能ということなので、普段から「つくってみた」シリーズを展開している編集部としては試さずにはいられません。しかも老舗の家庭向け「簡単公式レシピ」ですよ!!
という訳で、株式会社西京味噌さんから公式レシピを提供してもらい、作ってみることにしましたよ。レシピは西京味噌が豚肉を最強においしくしてくれる『豚の最強焼き』もとい『豚の西京焼き』。どうでもいい話ですが、豚の最強焼きってなんか縁起がよさそう。最強だし、味噌だし。これぞ最強脳みそってことで受験のトンカツみたいなゲン担ぎ飯的イメージがします。
さて、『豚の最強焼き』こと『豚の西京焼き』で用意した材料は
【材料】
・豚肉(しょうが焼き用スライス)
・付け合わせの野菜(好みで)
☆西京漬け味噌床
・西京白みそ……70g
・みりん……25ml
・料理酒……10ml
意外とシンプルですね。
(1)西京漬けの味噌床づくり
まずは豚肉を漬け込む西京漬の味噌床を作ります。西京白みそにみりんと料理酒を加えてよく混ぜます。ボウルや容器を使う手もありますが、混ぜやすいのと、後で豚肉を漬け込むことを考えて、ビニール袋に入れて、もみ込むように混ぜ合わせてみます。これだと使い終わったビニール袋の口を結んで捨てるだけなので、洗い物が減りますし、ムラなく簡単に混ぜ合わせることができます。最初に袋を裏返して手に取り、西京白みそをその上に置く感じで入れると楽ですよ。袋が破れるのが心配な場合は、二重にしてみてください。全体がよく混ざり、ムニムニした味噌の感触が滑らかになって、ちょっとドロッとした感じになったら味噌床の完成。
(2)味噌床に豚肉を漬け込む
この中に豚肉を入れ、軽く揉み込みます。そのまま30分ほど冷蔵庫で漬け込みます。この間に付け合わせや、副菜の支度をしとくといいですね。
(3)味噌床をキッチンペーパーでふき取る
30分ほどたったらお肉を取り出し、ベッタリとつきすぎている西京漬けの味噌床をキッチンペーパーで軽くぬぐってやります。つきすぎていると、焼く時に焦げ付きの原因にもなるし、味も濃すぎてしまうことがあるので、ここでそれを調整します。
(4)焼く
油をひいたフライパンで焼いていきます。味噌が焦げ付きやすいので、強火は使わず中火程度で焼いていくと失敗が少ないですよ。また、フライパンへの焦げ付きが気になる場合は、市販のホットクッキングシート(フライパンでの直火調理に対応したもの)を敷き、その上にお肉を置くようにすると焦げ付きを防ぐことができます。
ほんのり甘い、いい匂いがしてきました。この匂いが強くなってきたら、お肉を裏返します。通常だと「お肉の色が変わったら」なんていいますが、この西京焼きの場合、お肉の色の変化が見にくいので、匂いも判断材料として併用するといい感じです。
(5)盛り付けて完成
焼きあがったら最後は好みの付け合わせとともに皿に盛りつけて完成です。うん、お肉の色合いもいい感じ。
さて、食べてみると……。まず、西京味噌とみりんの上品な甘みが、ほんのりとお肉を包んでいます。そして、お肉が柔らかい。豚ロース肉は火を通しすぎると固く締まってしまうのですが、これはふわっとした柔らかさがあります。西京白みそは、米麹を大豆の2倍使っているとのことなので、麹の働きでお肉の組織が柔らかくなってるんですね。甘い香りもほんのり上品でよいですねー。
ちなみに料理に自信がない、もっと手軽に食べたいという方には、冒頭でも紹介した通り東京都内のレストランで提供されています。代官山「ハイライフポークテーブル」(渋谷区猿楽町10-1マンサード代官山2F)では「西京味噌ポークのグリル」。御茶ノ水「cafe 104.5(イチマルヨンゴー)」(千代田区神田淡路町2-101ワテラスタワー2F)ではまるでハムのようだと称される「豚ロースの西京漬け焼き」。飯田橋「ル・ジャングレ」(千代田区飯田橋4-7-4グランプラス1F)では「スペアリブの西京漬け 山椒風味」。中目黒「NYU(ニュー)」(目黒区上目黒1-3-20中目黒ヒルズ2-A)では「ハーブ香る西京味噌と胡桃のポルペッタ」と西京味噌の豚肉メニューが食べられるそうです。ただしいずれも期間限定なのでご注意を。
西京白みそは西京漬け以外でも、牛乳やクリーム系に合うので、クリームシチューやグラタンのベシャメルソースなどに隠し味として入れてもおいしいんです。さらに酒粕を少し足すともっと良くなりますよ。行きつけの居酒屋で出される「もつ煮込み」は、鳥もつを白みそ仕立てで煮込んでいて、これまた絶品で良く温まります。色々と応用範囲が広いことが判ったので、これからも西京味噌メニューを開拓してみようかな、と思った次第でした。
(咲村珠樹)