折れるポリエステルフィルム『オリエステル(R)』を開発した東洋紡から人気アニメ『新世紀エヴァンゲリオン』とコラボした『新素材エヴァンゲリオンおりがみ』(税込1058円)が12月15日に発売されファンの間で話題となっていました。なんでもフィギュアやプラモデルのジオラマベースや背景にもつかえそうなんだとか?

 おりがみのデザインは、エヴァ初号機(鶴柄・自由柄)、零号機(鶴柄・自由柄)、2号機(鶴柄・自由柄)、8号機(鶴柄・自由柄)、ATフィールド(赤黒・透明)、NERV、使徒の全12柄(サイズ:15㎝×15㎝ 各1枚 12枚入り)。碇シンジや綾波レイなどのキャラクターではなく、あくまでエヴァ対使徒が主体のおりがみになっているようです。特に鶴柄は、鶴を折った時に柄が左右対称にキレイに見える優れもの!


 『オリエステル(R)』は、紙とは違い、ツルツルとした手触りで水に濡れても破れないため、おりがみはもちろん、花瓶やアクセサリーなども作れるとか。他には耐水性や保香性、意匠性にも優れていることから、お弁当の包装紙やクリアファイル、ブックカバーなどにも使用されている素材だそうですよ。
現在も数多く高機能製品を開発し続けている東洋紡の広報担当者に、今回のおりがみと新素材『オリエステル(R)』の開発秘話を聞いてきました。

―おりがみに使用されている『オリエステル(R)』という素材のもとになるポリエステルフィルムは、セロハンやナイロンなどにも使用されている素材ですか?

「ポリエステルという素材で、セロハンやナイロンとは違います。ペットボトルと同じ素材になります」

―『オリエステル(R)』と命名された理由は何ですか?

「ポリエステルフィルムは、通常折ることができません。それを弊社の技術で折れるようにしました。「折れるポリエステル」ということで、『オリエステル(R)』と命名しました。当初は、収縮フィルム(ペットボトルについている商品ラベルなど)の開発を行っていました。その際、できたフィルムが折れることに気づき、商品化できないか検討したことが始まりです。折れるフィルムを作ろうとしていた訳ではありませんでした」

―鶴折り用のデザインもありますが、やはり、おりがみで鶴を折る方が一番多いのでしょうか?

「そのまま使われる方もいらっしゃいます。弊社もテーブルコーディネートやジオラマのベースへの使用も提案しています。」

―エヴァンゲリオンのデザインは、どういうことを意識して作られましたか?

「作品のイメージを壊すことなく、多くの方に受け入れていただけるようデザイナーに意識してもらいました」

―おりがみ以外でもオススメの使用方法はありますか?

「塗料が溶け出さないので、おふろの壁や浴槽に三角や四角に切って貼りつけたり、コースターやお皿として使ったりすることもできます。窓ガラスに貼るとステンドグラスのようになるので、工作の材料としても最適です」

―ひとつの新素材を開発するのに何年ぐらいかかりますか?

「全く新しいものなら10年以上、新しい性能でも3年はかかります。弊社は、繊維で培ったコア技術を応用し、新しい素材である『オリエステル(R)』を作りました。当初は、違うものを開発していましたが、折れることが分かり、そちらに注力していきました。ただ、性能を追求するに従って、想定外のトラブルや設備投資が必要になりましたが、結果、技術は積み上がり、製品もいいものができるようになりました」

 「国産の新素材と日本文化をコラボさせた、世界に誇れる商品を育てたい。また、おりがみとしてだけではなく、食品包装として機能性や環境対応フィルムとして展開したい」という展望を語ってくださった東洋紡の広報担当者。『オリエステル(R)』を使用した食品包装の実験では、コーヒーやカレー、マスタードといった香りが強いものでも、2か月間は外に臭いが漏れなかったという驚きの結果も! 遊び道具だけではなく、インテリアや日用品などあらゆる分野でこれから活用の幅が増えていきそうですね。

 なお『新素材エヴァンゲリオンおりがみ』(税込1058円)の取扱いはEVANGELION STOREで行われていますよ。

<取材協力>
東洋紡

(黒田芽以)