おたくま経済新聞

ネットでの話題を中心に、商品レビューや独自コラム、取材記事など幅広く配信中!

船橋に「SL大樹」出現!! 駅員手作りのモニュメントが驚きのクオリティ

update:

 東武鉄道が2017年から鬼怒川線(下今市~鬼怒川温泉)で運行しているSL(蒸気機関車)列車「SL大樹」。

 JR北海道から借用したC11形蒸気機関車207号機に加え、2018年11月8日には大手私鉄としては初めて、SL(かつて江若鉄道が発注したC11形の同形機「ひえい」)を動態復元し、2020年冬をめどに2両体制で運行を始めるという発表もありました。そんなSL大樹のモニュメントが、東武野田線(アーバンパークライン)の船橋駅に展示されています。実はこれ、駅員さんの手作りなんだそうですよ。

  •  埼玉県の大宮駅から千葉県の柏駅を経由し、千葉県の船橋駅を結ぶ東武野田線。2014年4月からは「アーバンパークライン」という路線愛称がつけられており、現在乗り換え案内ではこの名前で呼ばれています。現在、大宮~船橋の全線を通して運転される列車はほとんどなく、基本的には東武鉄道と合併する以前の名残を残す、大宮~柏(旧・総武鉄道野田線)、柏~船橋(旧・総武鉄道船橋線)という形で列車が走っています。

     その終点であり、JR総武線との乗換駅でもある船橋駅の改札内コンコースに、SL大樹のモニュメントがあります。台座を含めると高さは160cmほど。ちょうどホームとコンコースを結ぶエレベータの裏側にあり、改札を入場してきた利用客を出迎えるような形になっています。

     一体誰が作ったのか、職員の方に尋ねると、船橋駅ではない「とある駅の職員(どの駅かは内緒にして欲しいそうです)」が、全く個人的な趣味で作り上げてしまったものなんだとか。しかも休暇を利用して実車を取材し、細かいディティールまでこだわって作ったんだそうです。

     材料は、鉄道模型のレイアウト製作や建物の断熱材に使われる発泡樹脂素材(スタイロフォーム)を中心に、市販のホースなどを使って再現しています。職員さんの「見る人が見れば分かるように作られてるそうですよ」との言葉に、ディティールを細かく見てみることに。たとえば、自動連結器から開放テコまでのディティール。端梁取り付け部のバネの再現や、ブレーキ管はホースでそれっぽくできています。細かいですが、開放テコの棒を支える鉄板の曲げ(ひねり)方向も実車と同じです。

     沿線で濃霧がたびたび発生するので、視界確保のために前照灯を2つ装着した「2つ目(カニ目)」と呼ばれた苫小牧機関区静内支区の特別仕様(この207号機のほか、同時期に新製配置された206、209、210)も忠実に再現。上部左右にある取手や、LP42型前照灯の特徴であるクリアレンズも雰囲気が出ています。奥に見える運転室(キャブ)には、雪の付着を防ぐ旋回窓。そして「架線注意」の札もそれっぽいですね。

     また、入換の際に操車係が立つスペースを作るため、除煙板(デフレクタ)が短く切り詰められているところでは、C11形ではランボードの斜めになっているところからほんの少しだけ、水平部までかかっている特徴も再現しています。握り棒の高さもほぼ同じ。

     尾灯のディティールも本格的です。前面の赤レンズを止めるネジの位置も実車通り。

     また、煙突の上部に取り付けられた回転式火の粉止め(俗称:クルクルパー)の取り付け金具のディティールも実車通り。本当に細かいところまでよく取材してモデリングされていることが分かります。

     2018年12月現在は、クリスマス仕様として飾り付けがなされています。案内してくれた職員さんが「実物のSL大樹がこのような飾り付けをしてるわけではないですよ」と話した通り、現在「SL大樹」のC11形207号機は全般検査のため、2019年2月3日までお休み中。この期間中はディーゼル機関車が牽引する「DL大樹」として、週末や休日を中心に運転が行われています。

     実車が本線復帰する2019年2月9日までは、船橋駅のコンコースでSL大樹に会うのも悪くないかもしれません。

    (咲村珠樹)

    あわせて読みたい関連記事
  • 駅ホームでの“撮り・録り”が危険に? JR東日本が注意喚起ポスターと動画を展開
    社会, 経済

    駅ホームでの“撮り・録り”が危険に? JR東日本が注意喚起ポスターと動画を展開

  • 「酒々井の諸事情」は1.8リットル入り(税込3520円)が3000本、720ミリリットル入り(税込1760円)が1万5000本の数量限定販売
    商品・物販, 経済

    醸造ミスから生まれた奇跡の酒 「甲子 酒々井の諸事情」12月中旬より数量限定発売…

  • 「魔法みたい」額縁の中で走り続ける電車 精巧なジオラマに10万いいね
    インターネット, おもしろ

    「魔法みたい」額縁の中で走り続ける電車 精巧なジオラマに10万いいね

  • コミケ会場に駅の窓口が転移!?鉄道サークルの“出札口”ブースが本格的
    インターネット, おもしろ

    コミケ会場に駅の窓口が転移!?鉄道サークルの“出札口”ブースが本格的

  • Yahoo!乗換案内「乗車位置」が全国拡大 乗換や降車がもっとラクに
    企業・サービス, 経済

    Yahoo!乗換案内「乗車位置」が全国拡大 乗換や降車がもっとラクに

  • 取り調べかつ丼
    イベント・キャンペーン, 経済

    「取り調べかつ丼」が体験できる店 木更津に80日間限定でオープン

  • 交通系ICカード沼にハマった男、7年かけて国内87種収集 「ほぼコンプしてた」
    インターネット, おもしろ

    交通系ICカード沼にハマった男、7年かけて国内87種収集 「ほぼコンプしてた」

  • 画像提供:がみぃ~さん(@JY09gami3)
    インターネット, おもしろ

    溜池山王駅の隠れた名物!電車部品を再利用したロマンあふれる自販機が話題

  • 観光誘客へ一手 銚子電鉄が「犬吠崖っぷちライン」に路線愛称変更
    企業・サービス, 経済

    観光誘客へ一手 銚子電鉄が「犬吠崖っぷちライン」に路線愛称変更

  • 井の頭線1000系(自動運転設備搭載車両)
    企業・サービス, 経済

    京王電鉄、井の頭線で自動運転の実証試験 3月中旬から

  • おたくま編集部Editor

    記事一覧

    おたくま経済新聞・編集部による監修or執筆

    ▼こちらのライターの最新記事▼

  • Web展示「違いを知ることからはじめよう展」
    社会, 経済

    生理やPMSテーマのWeb展示、ツムラが公開 約5000人来場の企画展を再構成

  • 京都アニメーションをかたる偽サイト複数確認 公式が注意喚起
    アニメ/マンガ, ニュース・話題

    京都アニメーションをかたる偽サイト複数確認 公式が注意喚起

  • 博多座、高額転売者の情報開示手続きへ 「看過できない」と強い姿勢
    エンタメ, 舞台

    博多座、高額転売者の情報開示手続きへ 「看過できない」と強い姿勢

  • 雨や洪水の警報が変わる 新・防災気象情報、警戒レベル表示で行動判断しやすく
    社会, 経済

    雨や洪水の警報が変わる 新・防災気象情報、警戒レベル表示で行動判断しやすく

  • 声優とAIの共存を模索 81プロデュースとイレブンラボが業務提携、オリジナルの声を守り多言語展開へ
    アニメ/マンガ, 声優

    声優とAIの共存を模索 81プロデュースとイレブンラボが業務提携、オリジナルの声…

  • Google、ダークウェブレポートを終了 実用的な対処支援へ重点移行
    インターネット, サービス・テクノロジー

    Google、ダークウェブレポートを終了 実用的な対処支援へ重点移行

  • トピックス

    1. 「LINEグループ作成」を要求する詐欺メールに注意 海外のサイバー監視が日本向け攻撃を警告

      「LINEグループ作成」を要求する詐欺メールに注意 海外のサイバー監視が日本向け攻撃を警告

      海外のサイバー脅威情報を発信する「Hackmanac」が12月19日、日本国内の複数の組織を標的とし…
    2. 電話対応の様子(NORAD Tracks Santa Newsroom)

      NORAD、サンタ追跡作戦に万全の体制 即時追跡方針を強調

      米国防総省は、北米航空宇宙防衛司令部(NORAD)による重要ミッション「サンタ追跡作戦」を、2025…
    3. Google、ダークウェブレポートを終了 実用的な対処支援へ重点移行

      Google、ダークウェブレポートを終了 実用的な対処支援へ重点移行

      Googleは12月16日、個人情報がダークウェブ上に流出していないかを確認できる「ダークウェブ レ…

    編集部おすすめ

    1. 「漆黒の指輪」は実在したものの……サン宝石、カプセルトイ「中二病が疼くリング」の“誇大表現”を謝罪

      「漆黒の指輪」は実在したものの……サン宝石、カプセルトイ「中二病が疼くリング」の“誇大表現”を謝罪

      アクセサリーや雑貨の販売で知られる「サン宝石」は12月16日、同社が展開するカプセルトイ「中二病が疼くリング」について、公式サイトおよびSN…
    2. 雨や洪水の警報が変わる 新・防災気象情報、警戒レベル表示で行動判断しやすく

      雨や洪水の警報が変わる 新・防災気象情報、警戒レベル表示で行動判断しやすく

      国土交通省と気象庁は12月16日、雨や洪水などの危険を伝える「防災気象情報」について、2026年(令和8年)の大雨シーズンから新たな運用を始…
    3. コミケの名物現象がまさかのグッズ化 「食べられるコミケ雲(わたあめ)」爆誕

      コミケの名物現象がまさかのグッズ化 「食べられるコミケ雲(わたあめ)」爆誕

      夏コミ名物、会場の熱気と参加者の汗が昇華して天井付近に発生するという伝説の現象「コミケ雲」。まさかそれを口にできる日が来るとは、誰が想像した…
    4. Reactに「CVSS 10.0(最高)」の脆弱性 IPAが注意喚起

      Reactに「CVSS 10.0(最高)」の脆弱性 IPAが注意喚起

      情報処理推進機構(IPA)は12月10日、多くのウェブサービスで使われている開発技術に重大な問題が見つかり、国内でも悪用したとみられる攻撃が…
    5. ライバー事務所4社に公取委が注意 「移籍しづらい」契約に懸念

      ライバー事務所4社に公取委が注意 「移籍しづらい」契約に懸念

      ライブ配信アプリ「Pococha(ポコチャ)」で活動するライバーをサポートしている事務所4社が、所属ライバーの“退所後の活動”を不当にしばっ…
    Xバナー facebookバナー ネット詐欺特集バナー

    提携メディア

    Yahoo!JAPAN ミクシィ エキサイトニュース ニフティニュース infoseekニュース ライブドア LINEニュース ニコニコニュース Googleニュース スマートニュース グノシー ニュースパス dメニューニュース Apple ポッドキャスト Amazon アレクサ Amazon Music spotify・ポッドキャスト