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映画「麻雀放浪記2020」緊急記者会見リポート 出演者逮捕から全編ノーカット公開を決めるまでの苦悩

 斎藤工さん主演で、先日逮捕されたピエール瀧容疑者も出演している映画「麻雀放浪記2020」の緊急記者会見が配給元である東映本社で3月20日に行われ、当初の予定通り、全編ノーカットで4月5日に公開されることが発表されました。

 普段おたくま編集部ではこの手の会見に参加することはありませんが、今回事情が特殊ということもあり参加しました。ただし、THE芸能というメディアではないため、おたくま編集部らしく会見の場をじっと観察したリポートというカタチで本稿をお届けします。

  •  今回の記者会見が行われると、編集部宛てにメールが届いたのは、前日の夜でした。そのメールには記者会見が行われるということだけ記載されており、内容は明かされておりませんでした。ピエール瀧容疑者が逮捕されて以降、出演作品を巡る論争が激しさを増している今、このタイミングで記者会見が開かれるということは……。

     あくまで個人の意見となりますが、出演作品までも中止にするべきではないと考える筆者は、居ても立っても居られず、当日は受付開始50分前に会見場に到着してしまいました。もちろん、名立たる各局のニュース番組やワイドショーの記者さんたちをおさえての一番乗りです。その他の記者さんたちが会場入りし出したのは、その15分後くらいでしょうか。

     会見場はピリピリと張りつめていましたが、記者会見は時間通りに始められ、東映株式会社代表取締役社長の多田憲之さんと映画「麻雀放浪記2020」監督の白石和彌さんらが登壇しました。そして、会見冒頭の挨拶とともに多田社長から「『麻雀放浪記2020』の劇場公開を正式に決定した」という報告がありました。



     さらに、多田社長は出演者のピエール瀧容疑者が逮捕されたことについて「決して許されることではなく、大変な憤りを感じている」としながらも、製作に携わった関係者やスタッフなどと多くの時間を割いて協議した結果、「劇場公開については、中止または延期、編集した上での公開、ノーカットでの公開など、議論が重ねられましたが結論に至らず、配給担当である弊社の判断で『麻雀放浪記2020』は、4月5日にノーカットのままで公開することに致しました」と話しました。

     理由については「あってはならない罪を犯した一人の出演者のために、作品を待ちわびているお客様に、すでに完成した作品を公開しないという選択肢は取らないという結論に至ったということでございます」と説明。「劇場での上映は有料であり、かつ鑑賞の意志を持ったお客様が来場し、鑑賞するというクローズドなメディアでありますので、テレビ放映またはCM等とは性質が異なります」と語りました。ちなみに、公開する際は、劇場公開時にポスターと上映前のテロップで、逮捕されたピエール瀧容疑者が出演していることを明示するそうです。

     続いて、「凶悪」という映画から何度も一緒に作品を作ってきた白石監督は、ピエール瀧容疑者の逮捕について「大変驚きましたし、『麻雀放浪記2020』はどうなってしまうのか?」と話し、ピエール瀧容疑者に対しては「抑えられない憤りを感じました」と告白しました。そして、編集や再撮影も覚悟したという白石監督でしたが、配給元の東映から「監督の気持ちは、どうなんだ?」と聞かれ、「なんとか編集しない形、作った一番ベストな形で返したいのが正直な気持ちです」と話したとのこと。ただ、あくまで「禁止薬物に関しては当然、反対の立場」で「絶対に犯してはいけない犯罪」と語り、それでも「個人が犯した罪で、作品そのものには罪はないんじゃないか」と率直な気持ちを表しました。

     また、世間の「作品に罪はない」という意見について、どう思っているのか?と記者に聞かれた白石監督は「作り手としての基本的な姿勢としては、『作品に罪はない』」という考えでやっているとしながらも「映画のテーマや犯した罪、役者のポジションなど、いろいろな状況はあると思うが、議論なしに一様に蓋をしてしまうのは良くない」と話し、「上映できないというのが、特例であってほしい」と願いを語りました。

     そして、ピエール瀧容疑者について記者に問われた白石監督は、「バカ野郎としか言いようがない」と言い、映画「凶悪」に出演していたリリー・フランキーさんと「あいつ何やってんだ」と話したとしながらも、「反省して、まずは治療してほしい」と、かつて共に映画を作った仲間に言葉を送っていました。

    (取材・撮影:佐藤圭亮)

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