NATO(北大西洋条約機構)のストルテンベリ事務総長は2019年11月27日(現地時間)、ベルギーの首都ブリュッセルで記者会見し、NATOが保有するAWACS14機(早期警戒管制機)を10億ドル(約1100億円)で近代化改修する計画を発表し、ボーイングと契約を行いました。

 ブリュッセルにあるメルスブローク空軍基地(ブリュッセル空港と滑走路などを共用)で行われた会見では、改修を実施するボーイング・インターナショナルのマイケル・アーサー社長(ボーイングの上級副社長も兼任)も同席。報道陣の前で契約書に調印を行いました。

 会見でストルテンベリNATO事務総長は「NATOのAWACSは、我々の作戦において『空の目(Eyes in the Sky)』として、9.11のアメリカ同時多発テロから、ISに対抗する世界的な戦いの一環で、アフガニスタンで実施されている作戦までサポートを続けてきました」と語り、AWACSが果たしてきた役割を称えました。

 今回発表されたAWACSの近代化改修は、新しい通信・ネットワークシステムの実装が主なものとなります。ボーイング・インターナショナルのアーサー社長は「NATOのAWACSはボーイングとNATO、ヨーロッパとそのテクノロジーで、大西洋における優位性の象徴となっています。今回の近代化改修で、さらに航空機としての寿命が延長されることになります」と語っています。


 この会見とともに、ストルテンベリ事務総長とアーサー社長はNATO早期警戒管制プログラム統制本部(NAPMA)司令官のグショスマン准将(ドイツ)、NATO早期警戒管制軍司令官のレベルト少将(ドイツ)の案内でNATOのAWACS(ボーイングE-3A)機内を視察。NATOのAWACSプログラム参加16か国から集まった運用員たちと交流を行いました。




 NATOでは14機のAWACSを運用していますが、今回の近代化改修は2035年をめどに計画されている、新しいAWACS導入までの期間を埋め合わせるもの。この新AWACS導入計画について、ストルテンベリ事務総長は、産業界と連携して開発を進めたいとし「AIや自動制御システム、ビッグデータなどのテクノロジーが、NATOを最先端の位置に保つためにどう貢献するか、検証している」と明かしています。

 AWACSは高価な装備ですが、NATOのように各国の軍が連携して行動する際には、統制役として重要な存在。現在だけでなく、将来においてもNATO軍の中で大切な位置を占めることになるでしょう。

<出典・引用>
NATO プレスリリース
Image:NATO

(咲村珠樹)