2019年12月4日、1機の風変わりな輸送機が沖縄県の嘉手納空軍基地からアメリカへ飛んでいきました。アメリカ空軍特殊作戦コマンド(AFSOC)の戦術輸送機、MC-130Hコンバット・タロンII。最後の1機が引退し、アメリカ本国へと帰還したのです。
MC-130Hコンバット・タロンIIは、アメリカ空軍特殊作戦コマンド(AFSOC)が作戦を行う際、空挺隊員を乗せて隠密に進出したり、撤収する際に使用される輸送機。
C-130輸送機をベースにしていますが、任務の性格上、レーダーに発見されないよう低空飛行する関係で、地形追従レーダーや電子戦機器などの特殊装備が追加されています。
また、部隊が素早く展開できるよう設計されているため、自然災害の際にも使用され、多くの人道支援活動にも使われています。2011年に発生した東日本大震災で、津波により大きな被害を受けた仙台空港に、応急復旧後最初に飛来した輸送機もMC-130Hでした。
アメリカ空軍では老朽化したMC-130Hから、後継機のMC-130Jエア・コマンドーIIへ装備の更新を行なっており、嘉手納基地に駐留する第1特殊作戦飛行隊(1st SOS)に残った1機が、最後のMC-130Hでした。それが任を解かれ、アメリカ本国へと帰還するにあたり、第1特殊作戦飛行隊ではお別れの式典を開催しました。
第1特殊作戦飛行隊長のジョシュア・ペトリー中佐は、式典で「確かに、タロンIIは一度見たら忘れられないユニークな姿をしていると思います。しかしその存在感は、相手にとって、長年にわたって意識せざるを得ないものとなっていました。今一度、感謝の言葉を贈りたいと思います。このインド太平洋地域において、昼夜を問わず部隊を安全に作戦地域に投入し、そしてまた帰還させてきた働きに敬意を評します」とMC-130Hにねぎらいの言葉をかけています。
嘉手納基地を飛び立ったMC-130Hは、アメリカ空軍特殊作戦コマンド司令部のあるフロリダ州ハールバート飛行場へ向かい、退役までの月日を過ごすことになります。
<出典・引用>
アメリカ空軍第353特殊作戦群 ニュースリリース
Image:USAF
(咲村珠樹)