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アメリカ空軍次期参謀総長に初の黒人指名 現在の太平洋空軍司令官

 アメリカのエスパー国防長官は2020年3月2日(現地時間)、退任するゴールドファイン空軍参謀総長の後任に、太平洋空軍司令官のチャールズ・Q・ブラウンJr.大将をあてる人事案を発表しました。議会に承認されれば、黒人初の空軍制服組トップが誕生します。

  •  現在太平洋空軍司令官や、アメリカインド太平洋軍航空部門司令官などを務めるブラウン大将は、空軍内ではそのイニシャルから「CQ」の愛称で知られます。1984年にテキサス工科大学の予備役将校訓練課程を卒業後、空軍に入隊すると、F-16の戦闘機パイロットとして韓国群山基地の第35戦闘飛行隊を経て、F-16の教官となりました。

     1991年には、ネバダ州ネリス空軍基地の空軍版「トップガン」空軍戦闘センターの教官課程を卒業。F-16のスペシャリストとして歩み、空軍戦闘センターの第57航空団、第8戦闘航空団(韓国・群山基地)、第31戦闘航空団(イタリア・アヴィアーノ基地)の司令官を歴任し、2016年にはアメリカ中央軍(USCENTCOM)の副司令官に任命されました。現在の太平洋空軍司令官には2018年7月25日付で着任しています。

     これまでにF-16のほか、T-37、T-38、AC-130Uスプーキー、C-130J、B-1B、B-2A、KC-135、E-8Cといった固定翼機だけでなく、HH-60Gペイヴホーク、AH-64アパッチの回転翼機(ヘリコプター)を含めた総飛行時間は2900時間以上。これには130時間の戦闘飛行時間が含まれます。

     バレット空軍長官は「アメリカ空軍は、CQ・ブラウンのとてつもない能力を存分に発揮させることでしょう。彼の比類なき戦略観と戦術面での専門知識は、国防戦略において必要とされる重要なものです」と、ブラウン大将についてコメントしています。

     現在の空軍参謀総長、ゴールドファイン大将も彼を評し「CQ・ブラウンは、空軍が産んだ最高の戦士の1人です。これまでの経歴では太平洋地域、ヨーロッパ、中東、アフリカでリーダーシップを発揮してきましたが、彼以上に世界規模での運用に精通した人物はいません。ブラウン大将が次の第22代空軍参謀総長に指名されたことをお祝いします」とコメントを発表しています。

     エスパー国防長官は「CQ・ブラウン大将の指名により、空軍将兵の精強さと即応性を磨くに適切な才能と経験を与えることになります。これは同盟国やパートナー国の空軍との連携を強化し、効果的に能力を発揮することにつながります」と、ブラウン大将の抜擢理由についてコメントしています。

     エスパー国防長官の指名を受け、ブラウン大将は「第22代空軍参謀総長の指名を受け、心から光栄に思います。もし連邦議会の承認を受けた場合には、私と妻はゴールドファイン夫妻、そして我が国に献身的な働きをしてくれた幾多の空軍の偉大な先人たちの残してくれたものを着実に受け継いでいこうと思います」と抱負を述べています。

     ブラウン大将は今後、アメリカ連邦議会上院で行われる、空軍参謀総長としての資質を問う聴聞会に出席します。議会からの承認を受けた場合、6月30日付で第22代空軍参謀総長、そして黒人(アフリカ系アメリカ人)初の空軍参謀総長に就任する予定です。

    <出典・引用>
    アメリカ空軍 ニュースリリース
    Image:USAF

    (咲村珠樹)

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