筆者は接客業が好きで、中でもコンビニでは10年ほど働いています。現在も勤務しているわけですが、コンビニ勤務を続ける中で強く思うのが「深夜は魔境」ということ。

 店員達の間でも「夜勤はベテラン以外はやらない方が良い」、「夜勤はカオス」と言われる程大変です。これまでにもコンビニで起きた珍事をいくつか記事で紹介してきましたが、今回は店員たちが頭を抱えつつもたまにほっこりする「夜勤」について、筆者の体験を語っていきます。

■ 夜間のイートイン占拠するお客様

 夜には椅子をテーブルにあげて、防犯上の理由で閉鎖している所が多く、筆者の現場でも夜間は閉鎖しています。ところが、夜間に勝手に椅子を下ろし、寝始める人がちらほら居ます。注意すると怒りながら帰って行かれる事が多いです。

■ 恐怖!ペンキまみれなお客様

 これは深夜、静かな時間帯でした。店内チャイムがしたので倉庫の整理を止め、レジに向かいました。売り場に来た時点でもの凄く強いペンキ臭がして、何事!?と思い、臭いの元を探したら、何処かでペンキ浴びたお客様が来店されてました。

 長靴にペンキを滴らせ、床にポタッ……ポタッ……と落としながら服もペンキだらけです。何をしていたのでしょうか。普通にカップ麺を買われ、帰って行かれましたが床にこびりついたペンキを削るのは大変でした。

■ 徘徊するご老人

 深夜2時頃、レジのアップデートや更新をしていた時間帯、「郵便局に行きたいから地図見せてくれ」というご高齢のお客様が来店されました。

 一応24時間やっている郵便局ではあったので、地図を見せて場所を教えました。その後1時間くらいして戻ってきて同じ事を聞かれていかれました。ちょっと不審に思い、すぐ近くにある交番に相談したところ、よく徘徊されている方だったと警官に言われました。そのまま、警官に保護をお願いすることに。

■ 深夜1時にご来店 鍵をなくしてしまった子供

 時間は深夜1時位、小学生高学年から中学生位の子供が店舗に来店されました。時間帯的に子供が来るにはおかしい時間帯。話しかけて詳しく聞くと両親は共働きで夜勤中。鍵をなくしてしまい家に帰れないとの事でした。

 警察に連絡をして、保護しに来て頂く様にお願いをして、その後、緊急措置としてイートインを一時的に解放。警官が来るまでイートインスペースで保護をしました。なんというか、今思い出しても胸が痛くなる出来事です。

■ 花火をして泥まみれになった子供達

 時間は深夜帯、小学生の団体が泥まみれになって来店されました。近所の川で花火をして泥まみれになったとの事。水道を貸して欲しいとの事だったので、外を掃除する為の水道を貸して、そのまま話を聞いたところ、親に内緒で塾帰りに花火を買って、保護者が居ない状態で花火をやっていたとの事でした。

 時間は深夜……。絶対親御さんたちは探し回ってるはずです。危機感を覚えた筆者はすぐ警察を呼んで、保護して貰う形を取りました。

■ 日本人形を抱えながら買い物をする酔っ払い

 深夜は酔っ払いのお客様も多く来店します。居酒屋が付近に多い店だと尚更です。

 酔っ払いのお客様は色々な物を持ってご来店します。その中で一番驚いたのが日本人形。もう見た目ホラーです。来店後は日本人形を片手に抱えたまま、店内の商品をじっくり20分程見て、最終的にパスタとお酒を購入して、パスタを温めて帰っていきました。あれは何だったのだろう……と今でも思います。

■ キックボードを乗り回すおじさん

 夜中には迷惑なお客様もよく来店します。その中でも特に迷惑だったのが、キックボードに乗ったまま店内を疾走するおじさん。

 このお客様は店内の棚にぶつかりながら品物を落とし、お菓子類を轢きながら店内を走り回っていました。もちろん注意したところ、「外に置いて盗まれたら責任取れるのか!!」とお叱りを受け、後日本部にクレームまで来たという……。店内の床が傷つき商品もダメになったのに……。理不尽です。

■ カブトムシを背中に着けたお客様

 夜には虫が出ます。それは時に人にくっつく事もあります。ある時、深夜に来店されたお客様の背中に、何か茶色い物がくっついているという出来事がありました。黒光りするそれをみて、一瞬「ゴキブリ?」とも思ったのですが、よくみるとカブトムシ。

 驚きつつお客様にカブトムシの旨を伝えると、お客様も気付いていなかったのか、大変驚いていました。そのお客様は子供に良いお土産が出来たと言い、袋にカブトムシを入れてそのまま一緒にお帰りに。思わず、ほっこりしてしまいました。

■ 頭が割れて血まみれの強盗

 酔っ払うと気が大きくなり、痛みを感じにくくなります。泥酔状態だと尚更。

 深夜帯、ふらふらと千鳥足で来店されたお客様。よく見ると頭が割れて、顔面血まみれ……唖然としている間に、床に血を落としながらレジ前までやってきました。急いで救急車を……と思い、お客様の顔を見たら、目が思いっきり血走っていました。これは嫌な予感しかありません。

 そのまま、お客様は煙草を1箱要求。そして、「お金ないからライターを寄越せ」と業務用のカッターナイフで脅してきました。身の危険を感じていたので、ライターを渡し、強盗の退店後にはすぐ警察に通報しました。

■ まさかのカニがご来店

 深夜、雨上がりの事でした。店内が湿気で滑る状態だったので滑らない様掃除をしていると店内でカサカサと動く影。虫にしては大きい……それに衛生的な恐怖を覚え、急いで退治しなくてはと近づいたところ、なんとカニがご来店していました。

 近くの居酒屋か何処かから逃げ出したのか、サワガニとかではなく、海に居るタイプのカニだったので、驚きつつ、そのまま外に逃がしました。その後、3日程近くの道路でそのカニを見かけ、一週間後には姿が見えなくなりました。何だったんだろうあのカニは……と今でも思います。

■ 深夜は給料がいいけれど

 コンビニの深夜帯は給料も良いし、楽で良いよねというお話もよく聞きますが、トラブル対応が昼より多く、それを対策出来てこそだとは思います。

 とはいえ、多くのお店ではここで紹介した話のことは起きにくく、完全に「お店がある地域」によります。このため、全てのお店がこう、というワケではないことご理解ください。平和なお店も勿論沢山あります。

 そしてこれから、深夜のコンビニバイトを始めようと考えている人に、お店選びで一つだけアドバイスできるとしたら「働く前に自分が入る時間帯に一度はお店を覗いた方が良い」ということです。昼は静かでも、夜になると飲み屋がオープンして客層が昼と夜でガラっと変わる、という店舗もあるので。

(戦魂)