「推し活」とは、必ずしも有名人やキャラクターのみを対象とするわけではありません。行きつけのスーパーやコンビニにも、いつも愛想が良かったり、テキパキとしていたりして、ついこの人のレジに並んでしまう……という「推しレジの人」がいませんか?

 そんな「推しレジの人」について、おたくま経済新聞のXアカウントにてポストしたところ、意外にも(?)大きな反響と共に、引用や返信を合わせて50件ほどのコメントが寄せられました。やっぱり皆さんにもいるんですね、推しレジの人。

■ 「推しレジの人」に共通していること

 コメントを見てみると、「推しレジの人」にはいくつかの共通点があるようです。それは「正確」「丁寧」「スピーディ」の三要素。

 「割引シールを見落とさない」「荷詰めがスムーズに出来るような配置にしてくれる」「レジさばきがとにかく速い」といった推しポイントがそれぞれにあり、これらを高い水準でこなすことが必要不可欠であるようです。

 くわえて、「元気が良い」「いつも笑顔で接してくれる」といったホスピタリティ面も大事な要素。定型の挨拶はもちろんですが、場に応じた気の利く一言などがあると、お互いにとって気持ちの良い体験となるもの。

 あまりの対応の良さから、こうした推しレジの人を「師匠」「匠」と呼んでいる、なんて方も。レジ業務は何かと軽視されがちですが、何事も極めれば称賛が寄せられる、ということですね。

■ 成長を見守る、という楽しみも

 また、「初めはおぼつかなかったけど、日を追うごとに対応が良くなっていった」「先週までだめだったのに、今週行ったら推せるようになってて吃驚した」といった、レジ係としての成長を見守ることを楽しみにしている方もいるもよう。

 例えるならば、育成シミュレーションゲームのよう感覚でしょうか。自らあえてレジに慣れるまでの練習台「チュートリアル役」になることで、推しレジの人になるまでの過程をサポート。

 そんな従業員が、評判のレジ係として立派に成長した姿を見られたなら、たしかにうれしくなりますよね。店のためにも、顧客のためにもなる、まさにWin―Winな役目を自ら担うとは、もはやその店舗の一員と呼んでも過言ではないかも。

■ あなたもぜひ推しレジの人探しをやってみて

 筆者自身も接客業出身者であるため、双方の立場を経験しましたが、長く続くお店は良い従業員と良い顧客で作られていると感じます。

 いつも何気なく利用するスーパーやコンビニも、ただ商品を買って終わり、ではなく、働いている人の動きや対応に注目することで、いつもと見え方が変わってくるのは面白い視点です。今まで特に意識したことなかった、という方はぜひ注目してみてください。

 一方、近年は業務の効率化や人件費の削減を目的に、セルフレジを導入する店舗や、完全無人の店舗も増えてきました。

 「話をしなくていい」「会計内容を知られたくない」なんて肯定的な考えがあることは理解しますが、人と人とのつながりが薄れてしまうのは、少し寂しい気もします。

(山口弘剛)