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オランダとフランス ベイルートの爆発現場へ捜索救難隊を派遣

 レバノンの首都ベイルートの港湾地区で2020年8月4日に発生した爆発事故。被害は広範囲に及び、いまだに行方不明者の捜索救難活動が続けられていますが、レバノン当局だけでは対応しきれない状態です。これに対して各国が援助の手を差し伸べています。オランダとフランスはEUやNATOと協力し、捜索救難チームをレバノンへ派遣しました。

  •  ベイルートで発生した爆発事故は、最初に発生した爆発の影響で、近くの倉庫で大量に貯蔵されていた肥料の原料となる硝酸アンモニウム(硝安)が二次爆発を引き起こしたため、被害が拡大したと推測されています。硝酸アンモニウムは窒素肥料の原料ですが爆発性があり、かつて炭鉱などの“発破”に使われていた硝安爆薬や、アンモナルという爆薬の原料ともなります。

     ロシアの地球観測衛星「リソース-P」が8月6日に撮影した画像を見ると、爆発のあった倉庫は岸壁もろとも消し飛んでロウト穴(クレーター)ができ、小さな湾のようになっていることが分かります。周辺の倉庫群も建屋が失われ、内部に貯蔵されているものだけが残っている状態。

     爆発当時、現場では多くの港湾労働者が働いていました。その多くは行方が分からなくなっています。ベイルート当局が捜索活動を実施していますが、被害が広範囲にわたっているため、活動にも限界があります。

     オランダ政府はこの事態に、消防、警察、軍に医療従事者63名で構成された都市捜索救難(USAR)チームの派遣を決定。EUやNATOの協力のもと、約16トンの救難用具と8頭の災害救助犬とともに8月5日の20時30分、アイントホーフェン空軍基地からNATOのC-17輸送機など3機に乗ってレバノンへ向かいました。

     NATOとオランダ国防省の発表によると、USARチームを乗せた輸送機は現地時間の8月6日午前3時にベイルートへ到着。ベイルート当局との調整を実施したのち、ただちに捜索救難活動に入っているとのことです。

     これとは別に、フランス政府も救難チームを派遣。8月5日午後に空軍のA400M輸送機とA330フェニックス空中給油・輸送機がレバノンへ向かっています。また、海軍の強襲揚陸艦トネールもレバノンへ向けて出航しており、来週半ばにも現地に到着すると発表しています。

    <出典・引用>
    ロスコスモス(ロシア宇宙庁) ニュースリリース
    オランダ空軍 ニュースリリース
    NATO支援調達局 ニュースリリース
    フランス軍事省 プレスリリース
    Image:オランダ国防省/ロスコスモス

    (咲村珠樹)

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