フランス航空宇宙軍のミラージュ2000が2021年1月6日、フランスからアフリカ北東部のジブチへ遠征する訓練「シャヒーン」を実施しました。この訓練では、イギリス空軍機が空中給油を実施し、英仏2国間の相互運用性を高める取り組みも行なわれています。

 イギリスとフランスが相互協力し、統合遠征部隊(CJEF)を組織する取り組みは、2010年11月2日に当時のサルコジ大統領とキャメロン首相との間で締結された「ランカスターハウス条約」に基づくもの。この協定は2018年に更新され、現在まで続いています。

 今回、ジブチまで遠征することになったのは、第3航空団所属のミラージュ2000Dが2機、第2航空団第1戦闘飛行隊「シゴーニュ(こうのとり)」所属のミラージュ2000‐5が2機の計4機。ジブチまではおよそ6000kmの旅となり、合計で4回の空中給油を必要としました。

 4機のフランス航空宇宙軍ミラージュ2000へ空中給油するため、イギリス空軍はブライズノートン空軍基地から、2機の空中給油機ボイジャー(エアバスA330MRTT)を派遣。事前に1機をギリシャへ進出させておき、1機はミラージュの編隊に帯同しながら地中海上空で空中給油を実施しました。

 事前に進出させておいたボイジャーは、エーゲ海のクレタ島上空でジブチまでの燃料を空中給油。イギリス空軍のボイジャーは4機のミラージュ2000に対し、合計で9万リットルもの燃料を供給したといいます。


 ボイジャーに搭乗し、フランス戦闘機への空中給油を見届けたイギリスの在フランス駐在武官、ティム・ビロー空軍代将は「フランスのミラージュがイギリス空軍のボイジャーから空中給油を受ける様子は、とても素晴らしいものでした。これは英仏両国の緊密な関係と、互いに協力して世界中に航空戦力を派遣できる能力を示しています」との談話を発表しています。

 ジブチにあるフランス航空宇宙軍の第188ジブチ空軍基地(ジブチ国際空港)に到着したミラージュ2000は、現地でさらなる訓練が待っています。ミラージュ2000‐5は、先に進出しているラファールと共同で、対地攻撃をするミラージュ2000Dの護衛や、防空網制圧(SEAD)、迎撃戦闘訓練などを1月20日まで実施する予定です。

<出典・引用>
イギリス空軍 ニュースリリース
フランス航空宇宙軍 ニュースリリー
Image:フランス航空宇宙軍/Crown Copyright 2021

(咲村珠樹)