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東京メトロが視覚障害者むけ音声ナビアプリ「shikAI」運用開始 道案内だけではない役割も期待

 2021年1月27日、東京地下鉄(東京メトロ)は視覚障害者が安全に駅構内を利用するために、スマートフォンの音声ナビアプリ「shikAI(シカイ)」の運用を開始しました(現段階ではiPhoneのみ・Android非対応、無料)。

 筆者は社会福祉士として福祉の現場で働いていました。その経験からみると、今回運用が開始されたアプリは歩行者がホームの端に近づくと知らせてくれる機能があるなど、ガイド以外に視覚障害者の安全を高める効果も期待が持てると考えています。

  •  2020年11月29日には東京都内の地下鉄で視覚障害の男性がホームに転落、死亡しています。防犯カメラには電車の来ていないホームに、男性が立ち止まることなく転落する様子が写っていたことを報道各社は報じています。視覚障害者の駅ホームで起きる年間の転落事故は60件ほどで、事故が起きやすい理由にはホームと線路側の境目がわかりづらいという問題があります。

     視覚障害者にとって駅のホームを歩くことは命がけです。少しでも点字ブロックからそれると線路に転落するおそれがあり、騒音のなかを歩くとどのホームに電車が来たのか分からないといったこともあります。

     今回東京メトロが運用開始したアプリは、現在地から目的地までの案内をするナビゲーションアプリとして主に紹介されていますが、先述のとおり視覚障害者の安全対策もカバーされています。公開されている実証試験の動画によると、階段までの距離をアナウンスしてくれたり、ホームの端では「右側1メートルにホームの端があります」と注意をよびかけたりと、道案内だけではない役割を持っています。

     また、改札やトイレがどこにあるのかという情報もガイドしてくれるので、安全に駅構内を利用するための重要なツールになると考えます。

    目的地選択
    メインナビゲーション
    QRコードイメージ

     2021年1月27日時点で、音声ナビアプリ「shikAI(シカイ)」は東京メトロ線の千代田線・副都心線の明治神宮前<原宿>駅、有楽町線の新木場駅・辰巳駅、副都心線の北参道駅・西早稲田駅の合わせて5つの駅で運用していますが、2021年4月までには銀座線の外苑前駅、有楽町線の東池袋駅、護国寺駅、豊洲駅と対象駅を合計で9駅での運用を予定しています。

    <参考・引用>
    音声ナビアプリ「shikAI(シカイ)」発表リリース(PDF)

    (室崎陽光/社会福祉士)

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