おたくま経済新聞

ネットでの話題を中心に、商品レビューや独自コラム、取材記事など幅広く配信中!

その名も「森永ライタン」 キャラメルケースでレインボーロードを渡ったゴールドライタン

 Twitter上の、「#なんでそのギミック仕込もうと思ったのか選手権」というハッシュタグとともに投稿されたつぶやきが、「無敵の黄金戦士」を連想させると、大きな反響を呼んでいます。

  •  図画工作作家のどり☆あすかさん(以下、どり☆さん)が、自身のTwitterに投稿した3枚の写真。まず1枚目には、大手製菓会社で長く販売展開されているキャラメル菓子のケースを重ね合わせたもの。

    1枚目に写し出されていたのは2箱のキャラメルケースを重ね合わせた写真。

     そして2枚目の写真では、片方のケースが「く」の字に変形。それにより「開放」されたケースからは、紙状のものが露出しています。ん?この箱ってこんな構造だったかな?

    2枚目では、片方のキャラメルケースがくの字に変形し、そこから何やら露出。

    と筆者が思った矢先、3枚目の写真では、2つの箱から手足がニョッキリ。さらに頭部らしき姿も出現。目の部分は、赤く色が塗られていますね。まるで「レインボーロード」を通ってきたかのような変貌ぶり。このままゴールドクラッシュを繰り出しそうな勢いです。

    そして3枚目には手足と頭部が出現して、ロボットのようなフォルムに。ん?この黄金戦士はまさか!

     と、ここまでを読んで、もう察した“元わんぱくレンジャー”の方も多いのでは。どり☆さんが今回Twitter上で披露したギミックの「正体」は、1981年から1982年にかけて、テレビ東京系列で放送されたロボットアニメ「黄金戦士ゴールドライタン」に登場するメカ「ゴールドライタン」。

     「単なる四角い箱がロボットに変形する点が一番の魅力でした」と、40年経った現在でも異彩を放つゴールドライタンのフォルムに、製作元のタツノコプロが繰り出す独特のシリアスなストーリー展開に、視聴者のどり☆さんは大いに魅了。変形(巨大化)から戦闘シーンの「再現ごっこ遊び」をしていたほどの大ファンでした。

     そんな経緯も相まって制作されたのが、どり☆あすかさん命名のこの「森永ライタン」。事前に製図・カットして組み立てた厚紙の上に、パッケージ部分を後から貼り合わせて製作。しかもこれ、関節の軸部分で爪楊枝を使用した以外は、全て紙製というほぼほぼペーパークラフト作品なんです。

     ちなみに今回、どり☆さんが製作したゴールドライタンは2体目。同様の手法で製作した1体目も、かなりの再現度を誇っているのですが、2体目と一緒に撮影した“ツーショット写真”では、一部のパーツが白い“初代”に対し、全身を「ゴールド」にした“二代目”は、手の部分といった駆動部分もグレードアップ。さらに、全ての角に“面取り”を施しています。

    今回反響を呼んだ「森永ライタン」は2代目。初代から大幅にパワーアップしています。

    初代と比べて、腕が長くなり塗装も「オリジナルカラー」に。

    より「無敵の黄金戦士」感を出させたギミックとなっています。

     より「黄金戦士感」が高まった外観ですが、それ以外の面でも、どり☆さんは大幅な改良に成功しているんです。

     「今回特に意識したのが、変形後もプロモーションを崩さないことと、『差し替え』や『付け足し』といった『余剰パーツ』を出さない点でした。ゴールドライタンは、市販されている玩具でも『付け足し』のパーツがあるくらいで、『超完全変形』を実現させたことは一番のこだわりですね」

     実はゴールドライタンは、そのフォルムこそシンプルなものの、変形に至るまでの過程はちょっと複雑。

     元々はライターのような形状をしながら、劇中では主人公ヒロの掌に収まるようなサイズ感で自由自在に手足を伸縮して動き回っているのが、ゴールドライタンを始めとしたライタン軍団の特徴。しかし、メカ次元からの侵略者が繰り出す「メカディメンションロボ」との戦闘になる際は、ゴールドライタンは「レインボーロード!」の掛け声とともに、一度ライター形状になりながら全身が巨大化。さらにそこから、手足や頭部が出現し、「戦闘形態」になる……というのがアニメ劇中でも“お決まり”のシーン。今回のどり☆さんの投稿写真は、そんな“バンクシーン”の再現でもあるんです。

    「森永ライタン」を設計図からパーツ作図にいたる部分から手書きで作成したどり☆あすかさん。

    どり☆あすかさんにとって、「ゴールドライタン」は幼少の時から視聴していた思い入れの作品。

     それを設計図やパーツ作図を含めて、全て手書きで行った上で、どり☆さんはペーパークラフトとして完全再現。このメカニカルダンシングファイトっぷりには、Twitter上にいる「元わんぱくレンジャー」たちも思わず反応せざるを得ない事態に。

     結果、1万を超えるいいねが寄せられる反響となったわけですが、実はどり☆さんが「二代目森永ライタン」を製作したのは、今から3年前の2018年。初代にいたっては、さらにそこから5年遡った2013年に製作されたもの。今回反響を呼んだ投稿は、当時の作品をトレンドに乗じたつぶやきの“再掲”なんです。

    初代は2013年に製作。現在は更なるパワーアップを施した3代目を製作中です。

     にもかかわらず、2018年の完成時の投稿では、7000近いいいねだった反響が、今回5000以上もの“上乗せ”が得られることになりました。余談ですが、初代完成時の2013年からは約10倍近い増加となっています。ちなみにどり☆さんは現在、更にギミック感が増し、全体的なディテールアップを施した三代目も「開発中」。その作品愛からもたらされるであろう「三代目森永ライタン」にも、大いに期待せざるを得ませんね。

     そんなどり☆さんですが、ゴールドライタン以外にも様々な創作活動をされている方。「本業」である図画工作以外にも、手芸洋裁や、かつて漫画家として活動していたこともあってのイラストなど、その作品群は多岐にわたります。

    ゴールドライタン以外にも様々な作品をTwitterに投稿しているどりあすかさん。

    手芸洋裁や漫画イラストなど、その作品群は多岐

     こちらについても、SNS上で都度話題に。作品へのリスペクトと独創性が合わさったそれらは、どれもとても味わい深いものとなっています。

    <記事化協力>
    どり☆あすかさん(@d_asuka)

    (向山純平)

    あわせて読みたい関連記事
  • 弁当箱から自作 こだわりが凄すぎる「8番出口弁当」に圧倒
    ゲーム, ニュース・話題

    弁当箱から自作 こだわりが凄すぎる「8番出口弁当」に圧倒

  • 「推し愛」で生まれた海の化身 ナス製カイオーガ精霊馬が24万いいね
    ゲーム, ニュース・話題

    「推し愛」で生まれた海の化身 ナス製カイオーガ精霊馬が24万いいね

  • 「ジオン水泳部」がスイーツ&パンに変身?食欲そそる塗装作品に注目
    アニメ/マンガ, ニュース・話題

    「ジオン水泳部」がスイーツ&パンに変身?食欲そそる塗装作品に注目

  • まさに「まな板の上のコイキング」……粘土で再現されたファンアートが切ない
    ゲーム, ニュース・話題

    まさに「まな板の上のコイキング」……粘土で再現されたファンアートが切ない

  • 「ゆゆ式」縁ちゃんが“コンセントの顔”に! 世界の規格を表現したファンアートが話題
    アニメ/マンガ, ニュース・話題

    「ゆゆ式」縁ちゃんが“コンセントの顔”に! 世界の規格を表現したファンアートが話…

  • 「ジークアクスハロ」のファンアートが凄まじい完成度 劇中のパック状態も再現
    アニメ/マンガ, ニュース・話題

    「ジークアクスハロ」のファンアートが凄まじい完成度 劇中のパック状態も再現

  • 小石で描かれる斬新ファンアート 映画「碁盤斬り」草彅剛の肖像を描く
    インターネット, びっくり・驚き

    小石で描かれる斬新ファンアート 映画「碁盤斬り」草彅剛の肖像を描く

  • 「8番出口」に新たな異変?ファンメイドの再現ジオラマに巨大な黒猫が出現
    インターネット, おもしろ

    「8番出口」に新たな異変?ファンメイドの再現ジオラマに巨大な黒猫が出現

  • 画像提供:Ran(パンの人)さん(@konel_bread)
    アニメ/マンガ, ニュース・話題

    「おぱんちゅうさぎ」を食パンで再現 切っても切っても出てくる姿に朝からにっこり

  • 画像提供:どるやんさん(@dol_phin_max)
    インターネット, おもしろ

    頭の中の中学二年生が大歓喜!有名な武器が並ぶ光景にテンション爆上がり

  • おたくま編集部Editor

    記事一覧

    おたくま経済新聞・編集部による監修or執筆

    ▼こちらのライターの最新記事▼

  • 北海道産のチーズを2種類使った秋冬限定フレーバー「かっぱえびせん 北海道Wチーズ味」
    商品・物販, 経済

    北海道産チーズのW使い!「かっぱえびせん 北海道Wチーズ味」がこの秋登場

  • クリスプ のりしおバター味
    商品・物販, 経済

    カルビー、「クリスプ のりしおバター味」発売 レアな“ホシ型クリスプ”も登場

  • 特別災害対策本部車(国土交通省)
    社会, 経済

    消防車も自衛隊車もNERVも! 防災車両がずらり「ぼうさいモーターショー2025…

  • ウィキペディアのページビュー
    インターネット, サービス・テクノロジー

    AI時代でウィキペディア苦境 人間の閲覧数8%減、財団が警鐘

  • ChatGPTが“全年齢対応AI”を卒業? アルトマン氏が語った「成人向けエロティカ解禁」方針
    インターネット, サービス・テクノロジー

    ChatGPTが“全年齢対応AI”を卒業? アルトマン氏が語った「成人向けエロテ…

  • ガンホー「ケリ姫スイーツ」2026年1月末に終了 2012年配信開始から13年
    ゲーム, ニュース・話題

    ガンホー「ケリ姫スイーツ」2026年1月末に終了 2012年配信開始から13年

  • トピックス

    1. 目指せ去勢マスター!「繁殖」テーマのローグライクゲーム爆誕

      目指せ去勢マスター!「繁殖」テーマのローグライクゲーム爆誕

      海外の映画やゲームが日本向けにローカライズされる際、タイトルも和訳されることもしばしばですが、「あま…
    2. 実家の一室をレトロゲームショップ風に改造 本物の什器も揃えた昭和男児の夢空間

      実家の一室をレトロゲームショップ風に改造 本物の什器も揃えた昭和男児の夢空間

      一歩足を踏み入れると、そこはまるで平成初期のゲームショップ。ショーケースにはファミコンソフトがずらり…
    3. ケーキの上は只今工事中!3歳のわが子に作った「工事現場ケーキ」が楽しそう

      ケーキの上は只今工事中!3歳のわが子に作った「工事現場ケーキ」が楽しそう

      「はたらくくるま」が好きな人に刺さること間違いなしな「工事現場ケーキ」がXで話題です。説明がなければ…

    編集部おすすめ

    1. カービィのエアライダー、桜井政博こだわりの「酔い対策」が話題 アクセシビリティ配慮に称賛の声

      カービィのエアライダー、桜井政博こだわりの「酔い対策」が話題 アクセシビリティ配慮に称賛の声

      2025年10月23日22時より配信されたNintendo公式番組「カービィのエアライダー Direct 2」にて、ゲームクリエイター・桜井…
    2. 「なぜ誹謗中傷は起きたのか」 にじさんじ運営が加害者心理を公表

      「なぜ誹謗中傷は起きたのか」 にじさんじ運営が加害者心理を公表

      ANYCOLOR株式会社は10月22日、所属ライバーである甲斐田晴さんをめぐる極めて悪質な誹謗中傷・荒らし行為への対応結果を、加害者側の意識…
    3. 「バック・トゥ・ザ・フューチャー」公開40周年 タイムサーキット型時計が登場

      「バック・トゥ・ザ・フューチャー」公開40周年 タイムサーキット型時計が登場

      株式会社Gakken(学研ホールディングスグループ)は、同作の映画公開40周年を記念して、劇中の「タイムサーキット」を再現した時計「バック・…
    4. 電気通信大学が注意喚起 京王線の車内広告に何者かが不審なQRコード“貼り付け”か

      電気通信大学が注意喚起 京王線の車内広告に何者かが不審なQRコード“貼り付け”か

      電気通信大学が10月21日朝、公式Xアカウントに声明を掲載。「京王線車内の本学の広告にQRコードは記載しておりません」と述べ、車内広告にQR…
    5. 特別災害対策本部車(国土交通省)

      消防車も自衛隊車もNERVも! 防災車両がずらり「ぼうさいモーターショー2025」10月26日開催

      東京臨海広域防災公園(東京都江東区有明)で、10月26日に「ぼうさいモーターショー2025」が開催されます。警察や消防、自衛隊をはじめ、通信…
    Xバナー facebookバナー ネット詐欺特集バナー

    提携メディア

    Yahoo!JAPAN ミクシィ エキサイトニュース ニフティニュース infoseekニュース ライブドア LINEニュース ニコニコニュース Googleニュース スマートニュース グノシー ニュースパス dメニューニュース Apple ポッドキャスト Amazon アレクサ Amazon Music spotify・ポッドキャスト