P&Gの乳幼児用紙おむつブランド「パンパース」が、店舗で参加できる使用済みおむつを回収する日本初の取り組み「おむつ回収プロジェクト」を4月中旬より、兵庫県神戸市で開始することを発表しました。これは日本初の試みで、商業施設と保育施設の計8か所にスマートフォンアプリと連動した「おむつ回収ボックス」を約6か月間設置し、利用状況をもとに今後の展開を考えるとしています。
都内で開催された発表会では、P&Gジャパン合同会社のハリス・バィラモウィッチ執行役員 シニアディレクターが登壇。P&Gが長期的な重点課題として「環境サステナビリティ」をビジョンに掲げて活動していることを紹介するとともに、環境省および日本衛生材料工業連合会が2015年に公開した資料を示しました。
2015年における乳幼児用・大人用紙おむつの廃棄量(推計)は、約191万~210万トン。これは日本の一般廃棄物排出量の4.3~4.8%を占め、2030年までには日本の一般廃棄物排出量の6.6~7.1%を占めるまでになると推定されているといいます。
使用済み紙おむつが増えるという予想から、パンパースでは紙おむつのリサイクルが重要であると考え、その入り口である「回収」から取り組むことにしたとのこと。すでに2019年、オランダのアムステルダムで「おむつ回収プロジェクト」を始めており、600世帯以上の消費者が参加し、20万枚以上のおむつに相当する量を回収しているといいます。
アムステルダムでの結果を受け、パンパースにとって重要な市場である日本においても始めることになった「おむつ回収プロジェクト」。まずは神戸市にある保育施設5か所、商業施設3か所に、パンパースが独自に開発した回収ボックス「おむつ回収ボックス」を約6か月間設置し、日本の消費者がどのような動向を示すか、今後の施策展開に向けた基礎的なデータを得たいとしました。
神戸市内で「おむつ回収ボックス」が設置されるのは、以下の保育施設(認定こども園)5か所と、3か所の商業施設です。
■保育施設
・認定こども園 山のまち(北区)
・認定こども園 あさひ保育園(西区)
・認定こども園 おっこう山(西区)
・認定こども園 夢の森(垂水区)
・認定こども園 花の森(垂水区)
■商業施設
・イオン 神戸北店(北区)
・イオン ジェームス山店(垂水区)
・トイザらス・ベビーザらス 神戸ハーバーランド店(中央区)
続いて、P&Gジャパン合同会社広報渉外本部の武田佑介シニアコミュニケーションマネージャーが登壇。設置される「おむつ回収ボックス」の紹介と、利用方法について説明しました。
この「おむつ回収ボックス」はBluetooth機能を搭載し、スマートフォンアプリ「パンパース エコ」と連携して、手を触れずに投入口が自動開閉します。また、内部には衛生・ニオイ対策装置があり、虫や悪臭の発生を防止するとのこと。
天面には太陽電池があり、ここで発電された電気で稼働するしくみ。内容量は内部のセンサーで測定しており、おむつでいっぱいになると通知が送信され、効率よく回収が可能となっています。
スマートフォンアプリ「パンパース エコ」は無料でダウンロード可能。起動すると、「おむつ回収ボックス」の設置場所や空き容量(3段階で表示)が地図上で検索できます。
ボックスの前で、アプリの開閉ボタンをタップ。自動で投入口が開いたら、ビニール袋に入れたまま使用済みおむつを中に。投入口は自動で閉まります。
回収後、アプリから応募することで「パンパースすくすくギフトポイント」が加算されます(初回:1000ポイント/2回目以降:100ポイント)。たまったポイントはクーポンや商品券、育児グッズと交換ができるとのこと。
質疑応答で、バィラモウィッチ執行役員 シニアディレクターは、先行してスタートしたオランダ・アムステルダムの場合、イタリアにある施設でリサイクルが始まっていると明らかにしました。使用済みおむつからプラスチック、セルロース、吸着剤などが作られているとのことです。
今回、神戸市で始める「おむつ回収プロジェクト」は、今後どのような施策が効果的なのか、消費者の動向を推しはかるパイロットプロジェクトという位置づけ。ここで得られたデータを検討し、将来的には各自治体と連携しつつ、日本全国に広げることを視野に入れているとのことです。
取材協力:P&Gジャパン合同会社
(取材・撮影:咲村珠樹)