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全てはひとつのつぶやきから 浅田飴公式ツイッターが紡いだ不思議な縁

 「縁」というのは不思議なもの。「縁は異なもの味なもの」という言葉もあるように、偶然が重なった巡り合わせが時に大きな結びつきを生むことがあります。

 東京都にある製薬会社「株式会社浅田飴」公式Twitter(@seki_koe_nodo)担当もそんな経験をしたひとり。そしてそれを生み出したのが、自身が運用するTwitterでのとあるつぶやきでした。

  • 「FC町田ゼルビア サポーター皆様へ
    はじめまして、浅田飴の堀内です。
    今回ご縁あってパートナー契約をさせて頂く事になりました。
    2018年に大分トリニータさんとの取組がはじまり、他のチームが当社に対してどう言う反応をするか、本当に不安でした。
    そんな時、皆さんが『Jリーグにようこそ』と温かい言葉をかけてくれて、どれ程勇気づけられたか分かりません。
    また、こうしたチームを越えた一体感、互いに高めあっていくような関係性がJリーグの魅力なんだと言うことを教えていただきました。
    本当にありがとうございます。
    スタジアムも改修されて目指せJ1!!
    スタジアムで皆さんと一緒に大きな声で応援できる日を楽しみにしています
    GO! ZELVIA!!
    株式会社浅田飴 代表取締役社長 堀内邦彦」

    ※原文ママ

    2021年5月、浅田飴はFC町田ゼルビアとスポンサー契約を締結。社長自らサポーターに向けてメッセージを投稿。

     2021年5月14日。浅田飴公式Twitterは上記の内容を画像として投稿しました。

     内容から見るに、「Jリーグ」こと、日本プロサッカーリーグの2部(J2)に所属するサッカークラブ「FC町田ゼルビア(以下、ゼルビア)」に向けたメッセージ。実は投稿前日の5月13日に、株式会社浅田飴は、FC町田ゼルビアとオフィシャルパートナー契約を締結。浅田飴・ゼルビア双方の公式HPで発表されています。

    スポンサー契約締結時のゼルビーと堀内社長。

     そういった経緯もあって、Twitter上に投稿されたのは、ゼルビアサポーターに向けたメッセージ。しかもこれは直筆。そして筆をとったのは、文末にも示されている通り、代表取締役社長を務める堀内邦彦氏(以下、堀内氏)。

     昨今は、公式SNSよりトップがメッセージを送る企業も増えてきていますが、それを考慮しても粋な計らい。浅田飴の企業風土の一端が垣間見えますね。

     そんな堀内氏のメッセージ文の中には、同じくJリーグに所属する「大分トリニータ(以下、トリニータ)」に対する記述が。

     一見無関係に見える両クラブですが、実は今回の浅田飴とゼルビアの契約締結にはトリニータも深く関与。それを実証するかのようなつぶやきを、浅田飴公式Twitterは一つ前の投稿で行っています。

    ■ FC町田ゼルビアと大分トリニータをサポートすることとなった浅田飴

    「大分トリニータサポーター皆様へ
    この度はFC町田ゼルビアさんとの契約の件、突然の発表で皆さんを動揺させてしまってごめんなさい。
    色々な声をいただきましたが、ひとつお伝えしておきたいのは、これからも当社はトリニータのパートナーとして、私はいちトリサポとして応援させて頂きたいと言うことです。
    今回、こうしてご縁の輪が広がったのも、皆さんがきっかけをつくってくれたおかげだと改めて感謝申し上げます。
    本当にありがとうございます。
    これからも、こう言ったつながりやご縁を大切に、私達ができることで『戦うのどに浅田飴』を通して少しでもJリーグ、スポーツを後押ししていけたらなーとそんな事を考えています。
    またスタジアムで皆さんと一緒に大きな声で応援できる日を楽しみにしています。
    GO! TRINITA!!
    株式会社浅田飴 代表取締役社長 堀内邦彦」

    ※原文ママ

    それに合わせて大分トリニータに向けた直筆メッセージ。全てはここからが始まり。

     時間にしてわずか15分前。浅田飴公式Twitterは、堀内氏直筆のメッセージ文を投稿していました。

     そこには「大分トリニータ サポーターの皆さまへ」から始まり、ゼルビアとのパートナー契約締結に関する説明が記されていたのです。実は浅田飴は、ゼルビア以前にトリニータとパートナー契約を結んでいます。

     Jリーグでは、複数のクラブチームとパートナー契約を結ぶ企業は少数。ただし、宮城県にある大手生活用品メーカー「アイリスオーヤマ株式会社」が、地元のベガルタ仙台に加え、川崎フロンターレともパートナー契約を結んでいるといったケースもあり、複数契約を禁じられているわけではありません。

     しかし、多くの場合は、元々パートナー契約を結んでいたクラブがある中で、そことは別のクラブとのパートナー契約締結のリリースがなされると、既存クラブのサポーターにとっては、それが「契約終了」であると誤解されることもあります。

     今回浅田飴は、トリニータとのパートナー契約は継続した上で、新たにゼルビアとも新規に契約を結ぶという選択を取りました。つまり、このメッセージは、それをトリニータサポーターへ伝えるために行われたのです。

    ■ サポーターのつぶやきがきっかけ

     じつは、浅田飴公式が両クラブに向けて、社長直筆メッセージをTwitterに投稿したのには他にもワケがありました。「浅田飴とFC町田ゼルビア」「浅田飴と大分トリニータ」との関係は、Twitterがきっかけで生まれたものだからなんです。

     さかのぼること3年前の2018年夏。当時J2カテゴリーでJ1復帰を目指し奮闘していたトリニータ。ある日、ひとりのサポーターが自身のTwitterでこんなつぶやきをしました。

    「私気がついてしまったの 浅田飴さんが大分トリニータをスポンサードしてくれたら、片野坂監督の前半5分で喉が枯れる、サポーターにのど飴を貰いにハーフタイムゴール裏にスタッフが走るって無くなると思うの@seki_koe_nodoさん鎖骨広告が空いてます…同じブルーだし…片さんの喉を守ってあげて…」
    (ヨタちゃんさん・@aka39291/2018年8月21日ツイートより引用)

     「片さん」というのは、2021年現在もトリニータを率いている片野坂知宏監督(以下、片野坂監督)。試合中にピッチサイドで選手たちに向け、大声で指示を出し続けるあまり、試合後の監督インタビューでは、ガラガラ声での応対になってしまい、その“代償”に悩まされていました。

     浅田飴といえば、社名でもあり、故・永六輔氏が出演したTVCMでの「せき・こえ・のどに」というキャッチフレーズが全国的に有名です。ふとそのことを思い出したサポーターが、上記のつぶやきを浅田飴公式に向けて直接発信。すると気さくな浅田飴公式がリプライ欄で、「でもお高いんでしょう……」と返答。

     そのまま何気ないやり取りが続いていくうちに、何と「当事者」のトリニータ公式Twitterまでも反応。投稿の翌々日には、営業担当が浅田飴を訪問することに。また片野坂監督には、大量の浅田飴製品が差し入れられることに。

     強力な助っ人を手にした片野坂監督は、長年恋焦がれていた想い人のように、試合中は肌身離さず指揮を執るようになりました。その結果、長年悩まされていたガラガラ声が解消。この様子は、各種メディアでも取り上げられ話題となりました。

     さらに話はとんとん拍子に進み、なんと社長の堀内氏自身がトリニータを訪問するため、大分まで足を運ぶことに。そのまま2018年の残りシーズンをスポンサードするにまでいたりました。さらに翌2019年には、コラボ商品化※も実現しています。

    浅田飴公式のつぶやきがきっかけでスポンサー契約を締結。コラボ商品化も実現しました。

    ※註:「戦うのどに浅田飴」(販売名:アサダアメガードドロップBM、指定医薬部外品)

    ■ 「対戦相手」としてのつぶやき

     浅田飴とのスポンサー契約締結から1か月。トリニータはリーグ戦で、とあるクラブと対戦しました。そのクラブの名は「FC町田ゼルビア」。

     既に各種メディアで取り上げられたこともあり、ゼルビアサポーターにもトリニータの「浅田飴効果」が認知されている状況下。このときFC町田ゼルビア後援会Twitterがこんなつぶやきをしました。

    「#浅田飴 はないけれど、町田には『まちだシルクメロンキャンディー』と『日本一しょうゆキャンディー』がある!
    大分トリニータサポーターの皆さまも、ぜひ #まちだみやげ 観にきてください。
    p.s. 浅田飴さま、ようこそJリーグへ!」

     そしてこのつぶやきが、FC町田ゼルビアとのパートナーシップ契約にいたる大きなきっかけとなりました。

     「このときに、浅田飴のイラストポップを掲載してもらったり、『ようこそJリーグへ』という言葉が印象的だったんです。ちなみに今回(スポンサーの)話を戴いたのはゼルビア様からだったんですが、真っ先にこの件のお話をしました」

     そう今回の契約にいたる経緯を語る浅田飴公式Twitter担当(中の人)。ちなみに先述のリリース後、「浅田飴×FC町田ゼルビア」のコラボ商品化※も合わせて発表されています。

    ゼルビアともコラボ商品を発表した浅田飴。

    ※註:「戦うのどに浅田飴」(販売名:アサダアメガードドロップGF、指定医薬部外品)

    ■ 怖さはありました

     ここまで読むと、まさに「Twitter効果」と言わんばかりの成功事例ともいえる浅田飴とJリーグとの関わり。しかしながら、決断するまでには様々な不安や悩みがあったとTwitter担当は振り返ります。

     「元々はトリニータ様との交流がきっかけでしたが、当初も『縁もゆかりもない大分に浅田飴がなぜ?』『浅田飴はもう買わない』といった反応をされる怖さは正直ありました。ところが予想に反し、多くの方が好意的で、サッカーを愛する仲間として迎え入れていただいたことが凄く嬉しかったです」

     浅田飴の場合、本社所在地は東京都千代田区。さらに創業は1887年とバリバリの「江戸っ子」企業。そんな中で、Twitter上で不意に生まれた「大分」トリニータとの交流。縁もゆかりもないとはいえ、小さいながらも「機運」があってのコラボレーションではありました。

     しかしそれは、所詮Twitterの世界での話。「Twitter経由」ネタの存在感は年々増しているとはいえ、依然として「たかがTwitter」であることもまた事実。そういった意見(リスク)が脳裏をよぎるのも頷けます。

     それを承知で、浅田飴公式は「でもお高いんでしょう……」と未知の世界に飛び込んでいきました。結果として今回のゼルビアとのパートナー契約にも繋がっています。

    ■ 自分の言葉で伝えたかった

     トリニータとのTwitter上での邂逅から約3年。それまでは生粋の野球好きだった浅田飴Twitter担当は、今では立派な「トリサポ」に“成長”。堀内氏自身も定期的に試合観戦を行っています。

     そんな中で下した今回の「兼任サポート体制」。これにはTwitter担当曰く、浅田飴の企業姿勢が関わっているんだそう。

     「トリニータ様がきっかけとなって、弊社はスポーツを応援する『声』をサポートしております。またスポーツ以外にも、文化や芸能などでも声やのどに関わる分野のサポートしている経緯もあります」

     「そんな中で弊社は、『戦うのどに浅田飴』というスローガンを立てました。その際も様々なスポーツチームとの縁が生まれて、千葉ジェッツふなばし※様ともお取組みをするようになっています。このスローガンのもと、賛同者を増やしていき、スポーツ界全体を盛り上げていきたいですね」
    ※註:千葉ジェッツふなばしは、ジャパン・プロフェッショナル・バスケットボールリーグ(Bリーグ)に所属するクラブ。千葉県船橋市が本拠地。

     また、社長直筆でのメッセージを発信した理由について、堀内氏本人にうかがうと

     「今回形式的な発表だけではなく、弊社の想いのようなものを自分の言葉で伝えたいと思いましたので、直筆でメッセージを書きました。Jリーグとの取り組みについては、当初のきっかけからサポーターの皆さまの後押しのおかげだと思っており、今回のゼルビア様とのご縁の広がりについても、まずは感謝を伝えたいと思い御礼状のつもりで書かせていただきました」

     とコメント。

     日本三大商人でもある「近江商人」が残した言葉に、「三方よし」というものがあります。これは商売をする際は、「売り手」「買い手」「世間」の三方が全て満足しないと、本当の商いにはならないという考え。今の「WinWin」に近い発想です。

     浅田飴の場合も、「買い手」であるゼルビアとトリニータに、両クラブを含めたJリーグサポーターという「世間」が、これまでの取り組みをずっと見ていたからこそ受け入れられたのではないでしょうか。

    ■ もし、ゼルビアとトリニータが対戦したら

     今回の取材の中で、私はどうしても聞きたかったことが一つありました。

     それは、「もしゼルビアとトリニータが公式戦で対戦した場合はどうする?」といったもの。

     少々無粋な質問ではありますが、しかしながら、今回のゼルビアとのパートナー契約のきっかけが公式戦。また、ゼルビアとトリニータといえば、かつてJ2・J3入れ替え戦で対峙した「歴史」もあり、実は浅からぬ因縁のあるクラブ同士。「兼務」をする以上、避けて通れないテーマでもあります。

     筆者はこれを堀内氏に質問。我ながら意地の悪いと感じていますが、これについてもご返答いただきました。

     「プロスポーツの試合である以上、結果として勝敗がついて明暗が分かれるのは致し方ないことだと思いますが、弊社としましては両チームの好プレイに拍手を送り、好ゲームになることを期待しています」

     「また、弊社の立ち位置はチームの応援もありますが、サポーターを応援する事でもありますので、選手だけではなくサポーターも全力を出し切れるようサポートしていきたいと考えています」

     そしてこの質問には、Twitter担当も合わせて返答。先述の通りの“野球畑”だった「中の人」は、これまでの3年を振り返りつつ、担当商材通りの味のある内容でした。本稿の最後は、そちらについてご紹介いたします。

     「もともとサッカーのルールも戦術もよく知らず、大分トリニータさんの、片野坂監督のサッカーが全てでしたので、今回、FC町田ゼルビアさんのサッカーを見て新しい発見や学びがあり、観戦が更に楽しくなりました」

     「J1での両者の姿を見る日が純粋に楽しみですし、どちらにも『勝ち点30』がつくルールに変更して欲しいです」

    <取材協力>
    株式会社浅田飴(HP:https://www.asadaame.co.jp/
    浅田飴公式Twitter(@seki_koe_nodo)

    <記事化協力>
    ヨタちゃんさん(@aka39291)
    FC町田ゼルビア(HP:https://www.zelvia.co.jp/Twitter:@FcMachidaZelvia)
    大分トリニータ(HP:https://www.oita-trinita.co.jp//Twitter:@TRINITAofficial)

    (向山純平)

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