インターネットやスマホの普及により、子どもたちの間に生まれている新たな問題がSNSトラブル。さらに保護者への対応や部活など、学校の先生が抱える問題は多く、長時間勤務も深刻化しています。

 そんな現状について、中学校で先生をしているという「うさぎさん」が、Twitter上で提案した意見に賛同の声が集まっています。

 それは全国の小中学校で、入学前に「SNSのトラブルに学校は一切の責任を負わず、介入もしない」というような書類にサインをさせることの義務化でした。

 加えて、連日のように保護者が20時などに来校することについて、うさぎさんは「はっきり言って迷惑」と語っています。

 うさぎさんは先生になって4年目。上記のような提案をする裏には、これまで何度もトラブルを経験してきた背景があるようです。

■ SNSトラブルの一例

 例えば、友達に「もう遊ばない」などとLINEで言われた娘さんの保護者から、その友達が「送信取り消しをして、証拠隠滅をしている。学校で指導してほしい」と言われたり、子どもに21時以降LINE使用禁止にした保護者からは「お母さんのせいでクラスの話題に乗り遅れた。学校に行きたくない」と言われてしまい「先生どうにかしてくれませんか?」と頼んできたり……。

 他にも、人間関係を築くのが苦手で学校に足が向かないという生徒の場合には、把握していた内容と違う訴えを保護者にされる出来事もあったそうです。

 まず当該生徒が予定されている林間学校について、友達に「行きたくないな」とLINEで相談したところ「行かなくていいんじゃない?」というやりとりがあったといいます。一方、うさぎさんは担任として3日に1回ほどのペースで本人や保護者と連絡をとり話しをするも、本人からは「行くのめんどくせーし」という返答。

 この件は後日になって、当該生徒の保護者から訴えがあり、「友達からLINEで、うちの娘が“お前なんか林間学校に来なくていいよ”と言われたらしい」という話しになっていたとのこと。結果「娘は林間学校を楽しみにしていた。学校でどんな指導をしたらその友達はそんな非常識なLINEができるのか。学校がキャンセル料払え」と、激怒されるに至ったそうです。

 恐らくですが友達とのやりとりのなかで、文面だけではうまく意思が伝わりきらず誤解が生まれてしまったのではないでしょうか。もしくは、最初から「行きたくない」と言っていたそうですから、親に伝える際に言い訳として説明してしまったのかもしれません。保護者も訴えの中で「言われたらしい」と、その文面を直接見たわけではなさそうですし。

 うさぎさんに話しを聞くと、このようなトラブルが担任するクラスに起きるのは年に1回程度ですが、学校全体でみるとどこかのクラスで毎月のように起こっているのだといいます。

■ 20時に保護者が来校する問題は未解決

 ちなみに、保護者との話し合いが20時ごろになる理由は「トラブルが起こるのは学校のせい」と考える人が多いのが一因とのこと。

保護者が教員の勤務時間に来校しない理由として「自分だって仕事があるんだから、そんな話し合い自分の仕事が終わってからに決まってんだろ」という態度を取られ、仕事終わってから来校することが多いためと説明してくれました。

 「20時に来校する問題は、解決に向かっていません」と、うさぎさん。先輩の先生方も「今は大変だけど今後のために頑張ろう」と、改善しなければと感じていても常態化してしまい、受け入れてしまっている様子。

 うさぎさんがツイートした提案は極論で実現は不可能かもしれませんが、現状をなんとか変えたいという想いが伝わってくる内容でした。

 この投稿には1万8000件を超えるいいねが付き、「教員の指導の範疇を超えていると痛感しながら指導してきました」「全く同じ話を今日職員室で校長先生がしていました」など、うさぎさんと同じ先生と思われる人たちからもコメントが寄せられていました。

 教育はけして学校のみが担っているわけではなく、親きょうだいや家族による「家庭教育」、ご近所さんなど地域社会による「地域教育」、そして学校での学習を中心とした「学校教育」が3本の柱となっていると従来考えられてきました。しかし、いつの間にか家庭や地域での役割が小さくなり「教育は学校でするもの」という考えが支配的になっているようにも感じます。

 SNSトラブルは学校での対応以外にも、家庭での教育方針や当事者間で解決すべき問題が含まれる面もあり、教員がどこまで指導すべきなのかは意見が分かれるところ。学校だけでなく、家庭や地域での教育・子育てのあり方も再考すべき時なのかもしれません。

<記事化協力>
うさぎさんさん(@tanutanupudding)

(佐藤圭亮)