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「三角関数なんか社会出ても使わねえよ」――そう思っていた高校生の、その後

 「三角関数なんか社会出ても使わねえよ」

 高校生のころ、そう考えながら数学の授業を受けていたXユーザーのサムハラさん。実際、日常生活で三角関数を使う場面は一切なく、高校時代に抱いていた「使わねえよ」の考えに間違いはないと思っていました。

 就職後、土木工事に関わることになるまでは。

  • ■ 高校時代に切り捨てたはずの三角関数と、社会に出てまさかの再会

     サムハラさんはこのほどXに、三角関数の社会での必要性について、次のように綴りました。

    高校のワイ
    「三角関数なんか社会出ても使わねえよ」

    就職後、土木工事に従事したワイ
    「うわあぁぁぁぁーーーーーーーーー!! 三角関数ぅぅーーーーーーーーーー!!」

     高校時代に「使わねえよ」と切り捨てた三角関数に、就職後まさかの再会。今さらになって「おまたせっ」とばかりに顔をのぞかせてきた憎き単元への、どうしようもない心の叫びが、投稿の文面から伝わってきます。

     三角関数は多くの人が高校2年生で触れる「数学II」に登場する単元。「サイン、コサイン、タンジェント」のワードでお馴染みです。数学が苦手な人、もう頭が痛くなってきたでしょう?筆者は痛くなってきました。

     多くの数学嫌いを振り落としてきた三角関数は、ざっくり説明すると、「角度」と「辺の長さの比率」の関係を教えてくれるもの。これを応用することで、人が直接測ることができない距離や高さを測ることができるようになります。実生活においては建設やゲーム開発の現場などにおいて、欠かせない存在です。

     ただ、実際に習う際にはひたすら「サイン、コサイン、タンジェント」の値を覚えたり、角度の範囲で変わる符号に頭を悩ませたりと「何に使うのかわからないまま学んでいた」という方も多いでしょう。かくいう筆者もその1人であり、サムハラさん自身も「文章証明から完全について行けなくなりました」と振り返っています。

     そんなサムハラさんが三角関数と運命の再会を果たしたのは、以前所属していた職場の部署で土木工事に関わったとき。斜面での測量を行った際に必要になったとのことです。

     幸いにして高校時代に三角関数の基本だけは頭に入っていたサムハラさん。再会時は「何とか記憶を掘り起こして対応出来ました」「関数電卓やネットに自動計算があったので、それを使いました」とどうにか切り抜けることができたようです。

    「三角関数なんか社会出ても使わねえよ」――そう思っていた高校生の、その後

    ■ 投稿に寄せられるさまざまな後悔エピソード……「学校の勉強とは何か」を考えさせられる

     サムハラさんの投稿には、同じように「医師になって漢方薬の勉強をすることになった際、漢文の知識が必要になった」「音楽の道に進んだら、数学の概念が必要になった」などと、「学生時代はいらないと思っていた知識が、社会に出て必要になった」という体験談がさまざま寄せられており、「学校の勉強とは何か」を改めて考えさせられる場になっています。

     SNSでは、古典や歴史といった実生活に直結しないように見える知識や科目に対して、「不要だ」と切り捨てる声がしばしば見られます。そんな中、7月3日に国立青少年教育振興機構が公表した調査では、日本の高校生の45.9%が「社会に出たら理科は必要なくなる」と考えていることが明らかとなっています。

     こうした科目が「不要な社会人」は存在するでしょうが、「不要な社会」は存在しません。いつどこでどんな知識が必要になってもおかしくはなく、社会に出る前に「自分には必要ないから」と切り捨ててしまうのは、非常にもったいないことではないでしょうか。

     サムハラさんも、ポストの反響を受け「僕みたいに『若気の面倒くさがり』で勉強を取捨選択して、後々後悔する学生が少しでも減れば嬉しいです」と話していました。

    <記事化協力>
    「サムハラ」(@meizi_samuhara

    <参考・引用>
    国立青少年教育振興機構「高校生の科学への意識と学習に関する調査-日本・米国・中国・韓国の比較ー〈令和7年7月発行〉

    (ヨシクラミク)

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