おたくま経済新聞

ネットでの話題を中心に、商品レビューや独自コラム、取材記事など幅広く配信中!

「今日保育園でなにしたの?」答えを引き出す質問のコツは「匂い」

 幼稚園・保育園、小学生の子を持つ親なら、一度は我が子に聞いたことがあるであろう「今日なにしてたの?」という質問。一方、子どもから返ってくるのは「忘れちゃった」と、どこかうわのそらな返事。その日の出来事を聞きたいのに……これにモヤっとした経験がある方は多いと思います。

 でも、もしかすると「質問」が良くないのかもしれません。子どもとのやり取りを通して得た気付きを描いた、いそめしちかこさんの漫画に、ツイッターで共感の声が相次いで寄せられています。

  • ■ 子どもの記憶を呼び起こす魔法の質問「一番いい匂いがしたのはなんだった?」

     漫画の1ページ目では、冒頭での説明のように4歳になるお子さんに「今日保育園で何したの?」とたずねるいそめしさんの姿が描かれています。それに対し、お子さんはタブレットを見ながら「えー……忘れちゃった」と、生返事。どうやらYouTubeに夢中になっているようです。

     忘れたならしょうがないと思いつつも、保育園の様子を知っておきたい親の身としては、十分な回答が得られずやきもきしていたのだそう。

    漫画の1ページ目

     そこで、いそめしさんは質問を変えてみることに。その内容は「今日保育園で一番いい匂いがしたのはなんだった?」というもの。どちらかと言えば、匂いのほうが覚えていなさそうなものではありますが……この質問により、娘さんに驚くべき変化が。

    漫画の2ページ目

     なんと、態度を一変し、嬉々として答えるようになったではありませんか。「カボチャのスープ!すっごいおいしかったの!」と思い出している様子は、イラストでありながらも楽しそうな気持ちが伝わってきます。

     さらにそれだけでなく、「公園で海賊ごっこをしたのが楽しかった」「レゴでおままごとをしたのが良かった」と、芋づる式にその日の出来事を話す娘さん。どうやらひとつのことを思い出すと、止まらなくなってしまったみたいです。

    漫画の3ページ目

     最後のページでは「人間の脳は匂いを嗅ぐと、以前その匂いを嗅いだ時の記憶を思い出しやすくなっているらしい」と、今回の出来事を考察しているいそめしさんの姿が。「子どもが昼間のことを思い出せない時は匂いをきっかけにするといいのかもと思いました」と振り返り、漫画は締めくくられています。

    漫画の4ページ目

    ■ 「お子さんの興味を引く質問をする」ことがポイント

     育児中のママパパにとって、まさに目からウロコな今回の内容。実は筆者にも覚えがあり、子どもに「今日学校で何が楽しかった?」などと聞いても、「わかんない」と返されることが多々ありました。

     「特定の匂いが、それに結びつく記憶や感情を呼び起こす」という現象は実際にあり、日本医師会のニュースポータルサイトでも事例と共に紹介されています。昔の何かを思い出す際、嗅いだ匂いが起点になったという出来事に、覚えがある方もきっと多いはず。

     いそめしさん自身が「匂い」の質問を行ったのは、「母が以前香りについての勉強していた時に“匂いと記憶の関連が強い”」と聞かされていたことがヒントになったそうです。いそめしさん自身がこの話を覚えていたのも、やはり匂いが関係していると言えそうですね。

     とはいえ、あくまでこのやり取りの根底にあるのは、「お子さんの興味を引く質問をする」ということにあると思います。「今日何したの?」だけでは思い出す範囲が広すぎるため、上手く答えられない、思い出せないとなり、「忘れちゃった」という簡易な回答にたどり着くのではないかと感じます。

     「一番いい匂いがしたのはなんだった?」はあくまで一例であり、あくる日には違う形で質問をしてみると良いでしょう。いそめしさん自身も「一番かわいいものはなんだった?」「一番高い音はなんだった?」と、臨機応変にたずねているとのこと。質問されたお子さんもきっと「今日は何を聞かれるかな?」と、ワクワクしているに違いありません。

     同様の経験をしたことがあるママパパさんは、ぜひ今回のいそめしさんのアイデアを試してみてはいかがでしょうか。普段のやり取りではなかなか知れない、思わぬ回答が聞けるかもしれませんよ。

    <参考>
    日本医師会ニュースポータルサイト 日医オンライン「においと記憶

    <記事化協力>
    いそめしちかこさん(@iso_meshi

    (山口弘剛)

    あわせて読みたい関連記事
  • 「携帯見せてください」令和の子どもが遊ぶ“進化したお店屋さんごっこ”が話題
    インターネット, おもしろ

    「携帯見せてください」令和の子どもが遊ぶ“進化したお店屋さんごっこ”が話題

  • これは完璧に隠れているね……2歳児の“本気のかくれんぼ”が可愛すぎる
    インターネット, おもしろ

    これは完璧に隠れているね……2歳児の“本気のかくれんぼ”が可愛すぎる

  • あなたならどうする?3歳とのババ抜きで丸見えのジョーカーに母、葛藤
    インターネット, おもしろ

    あなたならどうする?3歳とのババ抜きで丸見えのジョーカーに母、葛藤

  • 大好きな粉薬が切れて泣く3歳児 悩んだ親が与えた食材に「健康的」
    インターネット, おもしろ

    大好きな粉薬が切れて泣く3歳児 悩んだ親が与えた食材に「健康的」

  • ヨーグルトの空き容器で特大タワーを制作 父と2人の息子が作った圧巻の光景に「もはや芸術」
    インターネット, おもしろ

    ヨーグルトの空き容器で特大タワーを制作 父と2人の息子が作った圧巻の光景に「もは…

  • ケーキの上は只今工事中!3歳のわが子に作った「工事現場ケーキ」が楽しそう
    インターネット, おもしろ

    ケーキの上は只今工事中!3歳のわが子に作った「工事現場ケーキ」が楽しそう

  • ベビーカーに乗ってほしい娘にベビーカーのおもちゃを与えた結果……まさかの逆効果に
    インターネット, おもしろ

    ベビーカーに乗ってほしい娘にベビーカーのおもちゃを与えた結果……まさかの逆効果に…

  • 「マツモトキヨシに寄っていい?」母が発した何気ない一言に4歳息子が恐怖
    インターネット, おもしろ

    「マツモトキヨシに寄っていい?」母が発した何気ない一言に4歳息子が恐怖

  • 「二手に分かれよう!」 公園で出会った友だちとの“一緒に遊ぼう”に大人は困惑
    インターネット, おもしろ

    「二手に分かれよう!」 公園で出会った友だちとの“一緒に遊ぼう”に大人は困惑

  • 幼稚園イベントに行けなかった3歳娘のために……母が用意した「おうちぶどう狩り」にほっこり
    インターネット, おもしろ

    幼稚園イベントに行けなかった3歳娘のために……母が用意した「おうちぶどう狩り」に…

  • 山口 弘剛‌Writer

    記事一覧

    鹿児島出身・鹿児島在住。私生活では妻と共に2人の子どもを子育てしながら、地元のサッカークラブを熱烈応援中。仕事は元アパレル店長、元ゲームショップ店長を経験。現在はライター、イラストレーターとして活動。

    ▼こちらのライターの最新記事▼

  • 「Duolingo」がコンビニに? 渋谷に期間限定ポップアップストア「DUOMART」オープンへ
    イベント・キャンペーン, 経済

    「Duolingo」がコンビニに? 渋谷に期間限定ポップアップストア「DUOMA…

  • 白菜の黒い斑点はポリフェノールだった 農林水産省が「捨てないで」と呼びかけ
    ライフ, 雑学

    白菜の黒い斑点はポリフェノールだった 農林水産省が「捨てないで」と呼びかけ

  • クッピーラムネがまさかのSwitch2用ワイヤレスコントローラーに レトロかわいさ全開&機能盛り盛りの本格派で登場
    ゲーム, ニュース・話題

    クッピーラムネがまさかのSwitch2用ワイヤレスコントローラーに レトロかわい…

  • フォロワー1万人超の“焼き芋アカ”が美容アカに SNSで繰り返される「アカウントロンダリング」の構造
    インターネット, 社会・物議

    フォロワー1万人超の“焼き芋アカ”が美容アカに SNSで繰り返される「アカウント…

  • 俳優・坂東龍汰さんがナレーション ダスキンの新WEBCM「想い愛、ずっと。」が公開
    エンタメ, 芸能人

    俳優・坂東龍汰さんがナレーション ダスキンの新WEBCM「想い愛、ずっと。」が公…

  • 犬生初の床暖房に出会ったハスキー 喜びを全身で表現
    インターネット, おもしろ

    犬生初の床暖房に出会ったハスキー 喜びを全身で表現

  • トピックス

    1. この涙は懐かしさ……なのか? 展示「あの職員室」で特大感情を揺さぶられたレポート

      この涙は懐かしさ……なのか? 展示「あの職員室」で特大感情を揺さぶられたレポート

      学生時代、入りたくても入れない「聖域」のような場所だった職員室。その風景を再現し、自由に探索できる展…
    2. フォロワー1万人超の“焼き芋アカ”が美容アカに SNSで繰り返される「アカウントロンダリング」の構造

      フォロワー1万人超の“焼き芋アカ”が美容アカに SNSで繰り返される「アカウントロンダリング」の構造

      SNS上には今日も、「○○が当たる!」といったプレゼント告知があふれています。いまや日常の景色と言っ…
    3. 汗冷え対策は「ヒートテックの下にエアリズム」 ユニクロ公式発の裏ワザが再び話題

      汗冷え対策は「ヒートテックの下にエアリズム」 ユニクロ公式発の裏ワザが再び話題

      屋内と屋外で寒暖差が大きく、着る服に悩みがちなこの季節、SNS上で「エアリズムの上にヒートテックを着…

    編集部おすすめ

    1. 宝塚・宙組特別メニューから“酢”消える 「酢が退団?」とSNSざわつく

      宝塚・宙組特別メニューから“酢”消える 「酢が退団?」とSNSざわつく

      11月22日午前、X(旧Twitter)のトレンドに「宙組公演特別メニュー」が一時浮上し、ファンの間で大きな話題となりました。きっかけとなっ…
    2. ミラノで開催「IQOS Curious X Sensorium Worlds」現地取材 五感に響いたIQOSの“世界観”

      ミラノで開催IQOS X SELETTI「Sensorium Worlds」現地取材 五感に響いたIQOSの“世界観”

      フィリップ モリスが、イタリアでイベント「Sensorium Worlds」を開催。今回は、この壮大なイベントの模様とともに「IQOS To…
    3. 「シテの花」作者が続報投稿 前担当の不備めぐり編集部と協議、認識を整理

      「シテの花」作者が続報投稿 前担当の不備めぐり編集部と協議、認識を整理

      小学館「週刊少年サンデー」で連載中の漫画「シテの花 -能楽師・葉賀琥太朗の咲き方-」の作者・壱原ちぐささんが11月18日18時、新たな投稿を…
    4. 松山ケンイチ「誰も傷つけない悪口選手権」を開始 SNS時代に投げかける新たな試み

      松山ケンイチ「誰も傷つけない悪口選手権」を開始 SNS時代に投げかける新たな試み

      俳優の松山ケンイチさんが11月17日、自身のXアカウント「松山ケンイチ(@K_Matsuyama2023)」でユーモア企画「誰も傷つけない悪…
    5. 悔しさと葛藤を語った「シテの花」作者 掲載順問題が大きな反響呼ぶ

      悔しさと葛藤を語った「シテの花」作者 掲載順問題が大きな反響呼ぶ

      小学館「週刊少年サンデー」で連載中の漫画「シテの花 -能楽師・葉賀琥太朗の咲き方-」の作者・壱原ちぐささんが11月17日、作品の掲載順に関す…
    Xバナー facebookバナー ネット詐欺特集バナー

    提携メディア

    Yahoo!JAPAN ミクシィ エキサイトニュース ニフティニュース infoseekニュース ライブドア LINEニュース ニコニコニュース Googleニュース スマートニュース グノシー ニュースパス dメニューニュース Apple ポッドキャスト Amazon アレクサ Amazon Music spotify・ポッドキャスト