年があけて数日すぎると、そろそろ飽きてくるのが「おせち」。特に筑前煮は大量に作ることもあり、このままだと余らせそうで困っている……。なんて方が多いのではないでしょうか。実は私もその一人です。

 年始に遊びに来る身内の人数をあらかじめ把握し、余らせないよう用意していたものの、なんだかんだと少し作り過ぎてしまっていました。そこでまだ2日目にもかかわらず取り組んだのが「おせちリメイク料理」。

 「まさにおせちが余って困っている」「でも食べ飽きた」という方は、ぜひ参考にしてみてください。

■ 1品目 筑前煮リメイクちらし寿司

 人数分を用意したものの、子どもたちにはいまいちウケなかった料理、それが「筑前煮」です。大人の間で、味の評判は良かったのですが……。ただこのままでは腐らせてしまうと思い、リメイクしたのが「ちらし寿司」。

筑前煮リメイクちらし寿司

 ちらし寿司と、筑前煮の具材、味付けは共通するものが多いのです。使用したのは、筑前煮の具材約500g(多少の誤差は気にしなくて大丈夫)。

使うのは大体500g。多少多くても大丈夫。

 具材を鍋から取り出し、細かく刻みます。私は鶏肉も使いましたが、これはお好みで。また、使用する筑前煮の味は必ず再確認してください。ちらし寿司用に使用するには、多少濃い味付けのほうがむいています。もし薄いようなら、醤油、砂糖などを足して再度煮込んで微調整を。

 次に、かまぼこ適量。私は7切れほど使いました。これも食べやすいよう刻みます。ただし、細かく刻みすぎると食感が楽しくないので、多少サイズは残します。

 刻み終わったら、ご飯2合分の酢飯を用意。すし酢は今回市販の「ミツカン カンタン酢」を使用しましたが、2合分なら「酢・大さじ3/砂糖・大さじ2/塩・小さじ1」で作れます。これを温かいご飯にまぜるだけ。加熱はしなくても大丈夫です。

 酢飯が用意できたら、刻んだ筑前煮の具材とかまぼこを混ぜ合わせます。大体混ざれば「五目寿司」の完成。

 その上に、私の場合は余っていたマグロの刺身、卵焼き(伊達巻きでも可)、ほぐしたかにの身を散らして、最後に刻んだ大葉、刻みのり、いくらをのせて「ちらし寿司」として完成させています。

 なお、マグロ(約100g)にはめんつゆ(2倍)大さじ2杯、チューブ入りの生姜1センチを加えて軽くあえ、カンタン漬けにしています。好みによりますが、少し濃い味付けが好きな方はもう一手間お試しを。

 そして散らす具材がない場合は、油揚げを半分に切って、甘辛く煮詰めて味をつけ、中に五目寿司をつめれば、いなり寿司になります。

【ちらし寿司材料】
・炊いたご飯:2合分
・カンタン酢:大さじ6
(ない場合は、酢・大さじ3/砂糖・大さじ2/塩・小さじ1)
・筑前煮:約500g
・かまぼこ:7切れほど(無くてもOK)
・散らす具材:余り物を適当に(マグロ、卵焼きなど)

【カンタン漬け材料】
・まぐろ:約100g
・めんつゆ2倍:大さじ2
・チューブ入りの生姜:約1センチ

■ 2品目 年越しそばと雑煮リメイク茶わん蒸し

 次に余っていたのが、年越しそば用(かけそば)の汁。もちろん味付け済みです。残っていたのが約600ccと微妙な量。味付けはそこまで濃くしていなかったので、このまま茶わん蒸しに転用することにしました。

雑煮リメイク茶わん蒸し

 私の場合はそば用の汁を使いましたが、汁は「雑煮用の汁」でも可能。全く汁がない場合には、手持ちのめんつゆや、白だし(オススメは白だし)で用意することができます。分量はメーカーにより異なるため、もし市販品を使用する場合には各メーカーHPなどで各自調べてください。検索する際は「商品名 茶わん蒸し」で出てきます。

 汁をはかって量を確認したら、卵が何個いるのか分かります。茶わん蒸しの場合は汁200ccに対し卵1個。今回は約600ccあったので3個使います。

 卵をボールに割り入れて、まずは溶きます(まぜます)。ひたすら溶きます。白身が残らないよう丁寧に溶きます。めんどくさい作業ですが、仕上がりのなめらかさに影響が出るため、ここはめんどくさがらず頑張ります。

 卵を溶き終わったら、同じ容器に汁を全量投入して混ぜ合わせて、卵液にします。

 混ぜ終わったら、別の容器(ボール)を用意し、その上で茶こしをもって、卵液を少しずつ流します。これは卵をこす作業。蒸すときスがはいらなくするために行う作業ですが、「茶こしがない」「めんどくさい」と感じる方はスキップしてOKです。スが入らないことで得られるメリットは「食べたときのなめらかさ」程度なので。

 二度ほど卵液をこしたら、卵液の準備は終了。次に、人数分のお椀を用意します。最初に用意した汁200cc+卵1個分の分量の卵液で、一般的な茶わん蒸し容器の約2個分が作れます。今回は約600ccで作ったので、6個分。だがしかし、我が家には茶わん蒸し用のお椀がありません。

 そこで代用したのが、耐熱性のある「ご飯茶わん」と「マグカップ」。これだと4個分の分量になりました。人前に出す料理でなければ、なんでも代用して済ませるのが吉。料理で一番大事なのは「適当」であることです。

 さて、容器を用意したら、具材を先にいれていきます。私が使用したのは、かまぼこ、雑煮用の鶏肉、しいたけ、ほぐしたカニの身、三つ葉。とにかく、残ったものの中から合いそうなものを好みで入れていきます。入れ終わったらそれぞれのお椀に卵液をそそぎます。注ぎ終わったら、アルミホイルで各容器に蓋をします。これで蒸す前の準備が完成。

 次に蒸す作業ですが、蒸し器は持っていないので大きめのお鍋を用意。底から2~3センチほどの高さになるまで水を入れ、茶わんを並べたら火をつけます。火力はだいたい「中火」。

 水が沸騰したら鍋に蓋をしますが、ここでやっておきたいのが「渡し箸」。蒸気が過剰になりすぎるとスが入ることがあるため、適度に蒸気を逃がすために行います。

渡し箸

 さえ箸1組を1本ずつ橋のように鍋の上を渡します。この時少し、間隔をあけてください。そして蓋をすればわずかに隙間ができ、上がった蒸気が均等に逃げやすくなります。もし面倒ならば、仕上がりに多少ムラができますが蓋を少ずらすだけでも大丈夫。あとは15分ほど待つだけで完成します。(ゆるい場合は5分ずつ蒸す時間を延ばしてください)

蓋をすればわずかに隙間ができる

 蒸すこと自体が「めんどくさい」方は、電子レンジでの加熱がおすすめ。容器にアルミホイルではなく、ラップをふんわりかけて、1個につき500W・3分/600W・2分加熱するだけです(ゆるい場合は10秒ずつ追加して調整してください)。そこそこスが目立つ仕上がりになりますが、見た目はおいといて、味に変わりはありません。

【茶わん蒸し材料(2個分)】
・かけそばの汁や雑煮の汁:約200cc
・卵:1個
・入れる具材:余り物を適当に(雑煮用の鶏肉、カニの身、かまぼこなど)

■ 3品目 一番人気の筑前煮でかしわ飯

 最後に紹介するのが、筑前煮をリメイクしてつくる九州名物の「かしわ飯」。今回紹介した中では一番手間がかからない割に、一番人気のメニューです。

筑前煮をリメイクしてつくる「かしわ飯」

 まず筑前煮約500g(これも多少の誤差は気にしなくて大丈夫)を適度な大きさに刻みます。この時、煮汁は捨てないでください。後で使用します。

 次にニンニク1~2片をみじん切りにします。終わったら、鍋かフライパンにごま油大さじ2、ニンニクを入れて加熱。においを立たせます。

 このとき私は無精して、筑前煮を入れていた鍋をそのまま使用しています。煮汁がゼラチン状になっていたため、煮汁をはじによせて空いたスペースにごま油、ニンニクを入れていためています。洗い物が増えるのヤダ派の方は、ぜひお試しを。

筑前煮を入れていた鍋をそのまま使用しています

 ニンニクの香りがたったら、刻んだ筑前煮と煮汁を鍋に入れます。煮汁が減って、具材に照りがでるまで弱火から中火でゆっくり炒めて、煮汁が大さじ2残る程度になったら加熱は終了。

ニンニクの香りがたったら、刻んだ筑前煮と煮汁を鍋に入れます

 ご飯2合分と筑前煮の具材を混ぜ合わせます。ある程度混ざれば完成です。

【かしわ飯材料】
・炊いたご飯:2合分
・ニンニク:1~2片
・ごま油:大さじ2
・筑前煮:約500g

* * * * *

 今回紹介したメニューは、編集部の公式Xにて作ってすぐに公開しており、すでに試してくださった方々からの感想も届いています。

 ちらし寿司については「田舎ちらしの味がしました」との声が。かしわ飯については「簡単なのにおいしい」と好評です。

 私の周囲でも、特に子どもたちに大好評だったのは「かしわ飯」でした。もし筑前煮を使ったリメイクレシピを試すなら、まずは「かしわ飯」をおすすめします。

 おせち料理が余っても、少し手を加えるだけで新しい一品として楽しめます。作り手のアイデア次第で、食卓がさらに豊かになるのもリメイク料理の魅力。今年のお正月も、最後までおいしく楽しんでみませんか?

(宮崎美和子)