社会福祉法人「賛育会」が3月31日、「赤ちゃんの命を守るプロジェクト」を始動。
同会が運営する賛育会病院(東京都墨田区)にて、「内密出産」の受け入れと、匿名で赤ちゃんを預けることができる「ベビーバスケット」(通称:赤ちゃんポスト)の運用が開始された。
この取り組みは、誰にも相談できず孤立した状況にある妊婦や、自宅で出産したものの育児が難しいと悩む人々を支援することを目的としている。
内密出産では、出産の事実を秘密にしておきたい妊婦を支援する制度であり、一部の病院職員にのみ個人情報を開示することで、入院期間中は匿名で過ごすことができる仕組みとなっている。
また、ベビーバスケットは、生後4週間以内の赤ちゃんを匿名で預けることが可能。赤ちゃんは病院スタッフが健康状態を確認した上で保護される。
賛育会病院では、これまでも外国籍の妊婦や複雑な事情を抱える妊婦の「飛び込み出産」や特定妊婦の受け入れを行ってきた。今回の内密出産およびベビーバスケットの導入は、その延長線上にあるものであり、行政や関係機関と連携しながら、母子の命を守る取り組みを進めていくという。
賛育会は1918年、東京大学YMCA(キリスト教青年会)の有志によって設立された。東京下町で貧しく、弱い立場にあった母子の保健・保護のために、無料の医療相談を始めたのが始まり。
現代でも赤ちゃんの遺棄事件が後を絶たない現状を踏まえ、賛育会は「このような取り組みが必要のない社会になること」を願いながら、約5年の歳月をかけて各所の見学や検討を重ねてきた。そして、「赤ちゃんのいのちを守る最後の砦」として、内密出産およびベビーバスケットを開始した。
なお、すでに「赤ちゃんの命を守るプロジェクト」の公式サイトが開設され、関心のある人々に向けた情報発信が行われている。
<参考・引用>
「赤ちゃんの命を守るプロジェクト」公式サイト
賛育会「⾚ちゃんのいのちを守るプロジェクトについて」