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ChatGPT酷似の「ChatGTP」“別種”がApp Storeに出現 「無料トライアル」選択でも強制課金

 OpenAI社の対話型AIアプリ「ChatGPT」に酷似した「Chat“GTP”」なる名前のアプリが4月21日頃、App Storeのおすすめ欄などに現れ物議を醸していました。ロゴを似せて、名前もアルファベットを入れ換えただけという、明らかに誤認を誘うものであったせいか、後にApp Storeからは削除されましたが……なんと、4月22日午前の時点で別種があらたに出現。

  •  今度も、アプリ名は「ChatGTP」なものの、「OpenAI」の表記や「ChatGPT」のロゴを使用。無断使用が強く疑われます。なお、ChatGTPアプリを立ち上げると課金画面が現れ、料金の支払いを要求されるため、インストールには注意が必要です。

    ■ 「ChatGTP」アプリがApp Storeに再出現

     改めて経緯を説明すると、事の発端は4月21日頃、「ChatGTP」なるアプリがApp Storeのおすすめ欄に表示され、SNSなどで「ChatGPTと間違えそう」「肝臓アプリかよ」と話題に。ロゴデザインも本家ChatGPTのものを模しており、明らかにOpenAIの正規アプリと誤認させる意図が疑われていました。

    OpenAI社のロゴと「ChatGPT」の名前を無断使用

     この初出のアプリは間もなく削除されましたが、翌22日午前には“別物”と見られる新たな「ChatGTP」アプリが出現。しかし、プレビューには「ChatGPT & GPT-4o」との表記が躍り、OpenAIのロゴも堂々と使用され、本家ChatGPTと混同させる仕掛けとなっています。

    ■ 別アプリをリネームか?

     アプリの開発元として表示されているのは「Shaanxi Yifan Network Technology Co., LTD」という企業。名称から中国系企業である可能性が考えられ、記載されたアプリ紹介文はOpenAI公式から転載したような文面となっており、信頼性に疑問が残ります。

    開発元欄には中国系企業を思わせる社名が

    OpenAI公式のものをコピペしていると思われる説明文

     アップデート欄には1年近く前からの更新履歴が記載されていますが、これまで問題視されてこなかったことから、おそらく別のアプリを「ChatGTP」とリネームしたものと思われます。

    バージョン履歴は1年前から続いており、既存のアプリを“改名”した可能性も

    ■ 「無料トライアル」を選択しても強制課金

     インストールすると、ホーム画面には「AI Assistant」という別のアプリ名が表示されました。既存アプリのリネームという説が信憑性を帯びてきます。

    インストールするとまったく別名のアプリに

     今回の「ChatGTP」も無料を謳っていますが、起動すると、21日に問題視された「ChatGTP」同様、課金画面が登場します。しかも料金は以前のものから大幅に跳ね上がり、最大で2万5000円という不自然に高い値段がついています。

     画面には「無料トライアル」を示すスイッチがついており、一見無料で利用できるように見えますが、選択すると強制的に課金処理が立ち上がる仕組みとなっています。極めて悪質です。

    アプリを起動するといきなり課金画面が表示。「無料トライアル」を選択しても強制課金される

     さらに操作画面へ遷移すると、インストール画面では「ChatGPT-4o」搭載を謳っていたにも関わらず、画面には「GPT-3.5」と、数世代前の古いモデル名が表示されています。元になっているデータも古く、リアルタイムな質問には対応できません。

     試しに「あなたはChatGPTですか?」「あなたはどのChatGPTモデルですか?」と質問すると、「私はChatGPTです」「GPT-3.5に基づいています」と回答が。裏側では古い世代のAIモデルを流用している可能性が考えられます。

    中身は古い「GPT-3.5」のクローンと思われる

     ついでに「あなたは無料で利用できるはずなのに2万5000円で売られているし、しかも『ChatGTP』という名前になっていますよ」と尋ねてみたところ、突然課金画面が立ち上がり、有料版にアップグレードするように案内が表示されました。

     これは憶測ですが、不都合な問いに答えないあたり、もしかするとなんらかの意図的な操作が裏側で行われている可能性も否定できません。

    ■ App Storeのアプリであっても注意 信頼できるアプリは公式サイトから入手を

     App Storeに公開されているアプリは、事前にAppleの審査を経たものだけに限られており、それがユーザーに対する安全性の担保となっていました。しかし、強く知的財産の無断使用が疑われ、かつ明らかな虚偽説明が行われているアプリが正規のアプリに混じって公開されている状況は、その前提を大きく揺るがすものと言わざるを得ません。

     一旦、見かけ上問題のないアプリで審査を受け、審査通過後に別物のアプリに差し替える手口は以前からも見受けられましたが、その対策が進んでいるとはいえず、ユーザー側が慎重に見極めることが必要そうです。

     このような状況を受けて、ユーザー側も「アプリ名」や「ロゴ」だけで判断せず、開発元の名称やレビュー評価を必ず確認することが重要です。特に「ChatGPT」など人気AIサービスを模したアプリは数多く出回っており、誤って課金トラブルに巻き込まれないためにも、公式サイト経由でのダウンロードを推奨します。

    (天谷窓大)

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  • 天谷窓大フリーライター

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