4月13日に開幕した「2025年日本国際博覧会(略称:大阪・関西万博)」。

 開幕直後から「虚無を展示している」と話題を集めていた、ナウル共和国パビリオンの“名物”展示が、ついに6月末で終了しました。

 そもそもこの“虚無”とは、展示台の上に何も置かれていない状態のこと。展示が間に合わなかった結果、ぽつんと空の台だけが置かれていたのですが、それを見たSNSユーザーたちが、ポジティブかつユーモラスに「虚無が展示されている」と言われるようになったのが始まりです。

 そして6月30日、ナウル共和国政府観光局(公式)がXに投稿した写真には、待望の常設展示が設置された様子が。これにより“虚無展示”は幕を下ろしました。

 開幕から約2か月半……。パビリオンの“虚無”を埋めた展示内容とは……?

■ 「“虚無”を展示している」として話題!大阪万博のナウル共和国パビリオン

 ナウル共和国は太平洋の南西部にある島国。かつてリン鉱石で栄えたことや、政府観光局の公式Xが人口の約53倍のフォロワーを抱えていることで知られています。

 そんなナウル共和国も、4月13日に開幕した「大阪万博2025」に出展中。しかしパビリオンの中央に置かれたメインと思しき円柱の台座は、なんと空っぽ。巨大な輪切り大根が1つ放置されているような状態でした。

「“虚無”を展示してる」と話題のナイル台座

 パビリオン内の壁や棚には写真や民芸品などが用意されているのですが、いかんせん一番目を引くところに何もないため、「“虚無”を展示している」などとして注目を集めていました。

 しかし“虚無”状態だったナウル共和国パビリオンの台座にも、ついに展示品が……。

 6月30日にXアカウント「ナウル共和国政府観光局(公式)」が「【速報】」と題して投稿した内容によると、空っぽの台座に、公式マスコット「ナウルくん」の“常設展示”が決まったというのです。

ついに展示品が……?

 「ナウルくん」はナウル共和国の領土であるナウル島の形をした、緑色のキャラクター。ナウル共和国パビリオンの公式マスコットでもあります。

ナウルくん

 Xに投稿された画像を見てみると、台座の前面に手作り感満載のナウルくんが立てかけられ、上にはなにかの冊子や瓶、魚の置物などがのっています。

 万博開幕から約2か月半。ようやくナウル共和国パビリオンに展示品が届き、虚無から脱却できたのかと思いきや、X担当者によると「実はまだ届いていません」という衝撃の返答が。

 え?届いてない?じゃあ台座の上に乗っているのは……?

 ナウル共和国パビリオンで一体何が起きているのかを確かめるべく、Xの担当者に話を聞きました。

■ 「どこかの港にはあるようです」ナウル共和国パビリオンに展示されるモノの正体は?

−− 長らく空いていた台座にようやく展示品が届いたとのことですが……

 実はまだ届いていません。

−− あれ?

 ナウル本国を出ているのですが、どこかの港にはあるようです。

−− では台座の上にあるのは……?

 ナウルくんや鳥取県との連携展示品(※)は仮のものです。ナウルくんのパネルの他には鳥取県のスイカやマグロの模型がありましたが、スイカは食べてしまいました。

(※ナウル共和国は6月30日に鳥取県が主導する「サンド・アライアンス(砂同盟)」に加盟)

鳥取県とナウル共和国が「サンド・アライアンス」を締結。

−− ナウルくんについては、30日の午前に「本日だけ展示されています」と投稿していましたが、その日の夕方には常設展示が決まっていました。かなりのスピード感ですが、やはりこれはイレギュラーな事態なのでしょうか?

 イレギュラーな事態です。万博訪問者から常設展示を求める声が多く、すぐに対応しました。また、展示パネルも追加でキンコーズで作成し、4枚設置しました。

−− 仮の展示とのことなので、パビリオンはまだ実質“虚無”状態ということですね。台座が空白なのは、本国の事情によるものですか?

 そうです。本国から発送されたものがなぜか届かないからです。単純にそれだけです。

−− “虚無”の展示については、どういったお気持ちでいるのでしょうか?

 しょうがないなあと思っています。逆にナウル台座として宣伝になったのでよかったかなとも思っています。

−− ちなみに何が展示される予定なのかは……。

 把握してないです。何かの民芸品です。誰もわからないです。

−− ナウル共和国パビリオンの見どころをお聞かせください。

 日本からは遠く、行くことが難しいナウル共和国に触れられることですね。あと、スタッフが優しいです。

* * *

 記事を執筆している7月8日段階でも、ナウル共和国パビリオンには展示品が届いていないようです。

 10月13日の最終日までに、果たして展示品は間に合うのか。そして誰も知らない展示品の中身とは一体何なのか。

 世界各国の港湾関係者の皆さん、もしナウルっぽい荷物を見かけたら、急いで大阪・関西万博ナウル共和国パビリオンに届けてあげてください。

<記事化協力>
「ナウル共和国政府観光局(公式)」(@nauru_japan

(ヨシクラミク)