「脚を付けた瞬間命が生まれました…」というつぶやきとともに、Twitterに投稿されたレジンテーブルが、生命と神秘にあふれたものと反響を呼んでいます。

 投稿したのは、京都府京丹後市出身の建築学生である細見圭弥さん(以下細見さん)。一体どんなレジンテーブルかというと、透き通るようなセルリアンブルーのレジンの中に、黒色柄の年季の入った木材がまるで水中を漂うように埋め込まれています。見ているだけで吸い込まれそう……そんな神秘さを放つ作品です。

 このレジンテーブルは投稿した細見さん自身が制作したもの。元々新型コロナウイルスの影響により、通っていた大学が休講になったことがきっかけで、今年の5月よりレジンテーブル作りを始め、これまでに何度かSNS上で話題となりました。

 今回の作品はそんな細見さんの最新作。「救世主」と名付けられたそれは、「神代杉(じんだいすぎ)」と呼ばれる、千年以上もの間、地中や湖底に埋もれていた杉の木を使用。さらに「節」と呼ばれる、木の球状の部分をテーブルの中心部に据え、他の木材をそこに合わせて配置することで、まるでヒトの手のように、手を伸ばしたり、祈りを捧げている様子がイメージできるよう調整されています。

 余談ですが、細見さんが過去SNS上で話題となった作品の多くは、「リバーテーブル」と名付けられた使用木材を地表に見立てながら、セルリアンブルーのレジンと組み合わせて「川」を表現したもの。どちらかというと、「立体感」を引き出したものとなっています。

 しかし、今回の「救世主」は、木材の持つ形状的な特徴を生かしつつも、意図的な配置と、レジンを上手くかけ合わせることにより、「前衛アート」的な要素の強い作品になっているんです。

 これまで話題となった細見さんの作品とは一線を画しながらも、また違った魅力を引き出した作品の投稿。これには「美しい」「かっこいい」と絶賛の嵐。気鋭のクリエイターによって生み出された神秘性溢れる作品に、多くの方が引き込まれました。

 そんな細見さんですが、普段はレジンテーブル以外にも様々な作品造りや修繕依頼の活動されており、また人気歌手グループである「ゴスペラーズ」のメンバー北山陽一氏の碁盤の修繕も行っているそうです。ちなみに北山氏は今回の細見さんの投稿にも反応。「これはまた別次元のものを……」と感嘆の声をあげています。

<記事化協力>
細見圭弥さん(Twitter:@Guruten11/Instagram:@guruten04)

(向山純平)