スマホやパソコンでウェブページを閲覧していると、時折「この文章、どこかで見たことがある」と感じることありませんか!?
内容は異なるはずなのに「○○ってご存じですか?」で始まり、最後は「いかがだったでしょうか?」「これからも○○さんの活躍に期待したいですね!」というポイントを押さえた、いわゆる「いかがでしたでしょうか構文」です!
ネットをよく見る人なら、何度か「いかがでしたでしょうか構文」を目にしたことがあるかと思います。筆者はかつて、この構文を使用した記事を書くバイトを少しだけしていました。正直なところ書いていてこれがもう……しんどかったです。毎回同じというか……。
しかし、昨今ではこれを「いかがでしたでしょうか構文」と揶揄して真似する遊びが存在しています。そこで今回は、過去の経験から、この「いかがでしたでしょうか構文」を解説していきます!!ちなみに筆者は、今はこんな書き方はせずに仕事をしています!が、今回は昔を思い出し、そのノリで書いていきます!
■ 書く上でのポイント
まず書いていく上での押さえるべきポイントを紹介します。基本は以下を押さえれば、大体のものはまとめられます。それでは具体例をあげながら「いかがでしたでしょうか構文」を解説!!
▼つかみは「○○ってご存じですか?」、内容がわからない作品の場合は「・・・」や「!」で誤魔化す
実はというかバレバレですが、まとめ記事の場合は書く側がその作品を読んだりせずに書いている事がほとんど。背景がつかめていないケースがとても多いです。その時はつかみから読者に考えさせるようにします。つまり読者の想像力にまかせてしまうのです。
そこで便利なのが「○○ってご存じですか?」というフレーズ。次に読者の感情に訴えかけようとする「・・・」や「!」の使用が重要。
「○○って知っていますか?」で質問し、そのあとにあたりさわりのない文章をつなげ肝心なことになったら「・・・」「!」と繋げるだけでなんとなく文章ができあがります。
例えば「カレーって知ってますか?日本中で愛される今や国民食といえる存在ですが・・・」「カレーって知ってますか?日本中で愛される今や国民食といえる存在です!!!」。という風に、なんとなーく意味深な感じから、勢いある文章まで変化させることができます。
▼説得力を持たせるために「深読みをした」雰囲気を出す
次に、まとめでは特に伏線といえる箇所がなくても深読みをしたフリをして「まだ納得がいかない」ということをアピールするのも重要です。
ここで便利なのが「~はどうなるのか?~はどうなってしまうのか?」という連続文章。ここに適当な文言をあてはめれば、なんとなく納得してない感がアピールできます。またその後に「~は気になるところです・・・」と続けると、より納得いってない感がアピールできます。
とにかく「深読みをした」という気持ちを表し、しっかり読んだという雰囲気を出すことが大事。あとの想像はすべてまるっと読者に任せてしまおうという作戦です。
▼「いかがでしたでしょうか?」は締めに入るための決めゼリフ
「いかがでしたでしょうか?」という文章は読者に訴えかけているようですが、書き手にとっては便利な用法です。話をはやく切り上げたい、これで終わらせたいと思った時には重宝。読者には「これ以上話は進みません!」という意志表示にもなる決めゼリフとなります。
とにかく、書くことがなくなったら、この文章で締めに入れば万事OK!大体の文章は終わりの一文へと繋げられます。
▼「次回作に期待する」はまとめの文章での切り札
そしてまとめ文章、最後の切り札は「次回作に期待する」。これは非常に便利です。続けて「今後も~から目が離せません!!!」で締めると、切りよく聞こえます。
「次回作に期待する」「今後も~から目が離せません!!!」は、なんとか勢いを持ったまま文章を終わらせた感じを作り上げます!まとめようがなくなった!そんな時こそ次の作品に期待しましょう。そうしましょう。うん。
自分の意志で文章を終わらせられない!なら映画監督や小説家に勝手に任せてしまうという作戦です。
■ 芥川龍之介「羅生門」のラストシーンを参考に「いかがでしたでしょうか構文」を書いてみよう!
「羅生門」を参考にして最終レッスンをしたいと思います!!!。こんな少ないポイントで最終レッスンと言われると、驚いてしまいますよね。ですがなにひとつ心配することはありません!
「いかがでしたでしょうか構文」は可もなく不可もなく、まとめられた文章なので安心して書くことができます。羅生門は超有名傑作ですが、この構文を使うと不思議なくらい簡単にまとめることができますよ!
それではさっそく、羅生門のラストシーンの概要を見てみましょう!!
「羅生門の終盤では主人公である下人が老婆の衣服をはぎとって、羅生門の門の上から降りて行方がわからなくなった」という終わり方をします。
これだけの情報があれば「いかがでしたでしょうか構文」を使用できます。さすがに文章の情報量が少なすぎて書けないだろう!そう思う人もいるはず・・・。全く関係ありません!!!
映画にしろ小説にしろ「タイトル」「作者」「登場人物」「ラストシーンのわずかな情報」があれば執筆できます!!
また雰囲気も大切です!雰囲気は情景を伝えるためのツールになるのでよく覚えていてください!では上記のポイントをおさえつつレッツトライ!!!
【筆者が考えた「羅生門」まとめ記事のサンプル】
いかがでしたでしょうか?みなさん、ここまで読んできて老婆はどうなってしまうの?下人はどこへいってしまったの?と不安になったことでしょう。下人はこれからどのようなことを考えて生きていくのか気になるところです・・・。
老婆もこのままでは死んでしまうかもしれないので、下人のことを許せない人は多いはず!!下人の思惑は一体何なのか、正体は何者なのか。老婆の過去に何があったのかといった話もさらに掘り下げられそうです!
ぜひ芥川龍之介先生には次回作を作ってもらい、謎となっている部分や伏線と思えるところを回収してほしいものですね!今後も羅生門から目が離せません!!!
■ いかがでしたでしょうかの「まとめ」はほぼ読まれない切なさ
いかがでしたでしょうか?ここまでお読みいただき、だいたいのコツはつかめたでしょうか?
余談ですが残念なことに「まとめの記事」ほど読まれることのない文章はありません・・・。それだけ責任感はいらないということですが、筆者のようにここで「むなしい」と感じると「いかがでしたでしょうか職人」にはなれません!!!(筆者は2記事で耐えきれずに辞めました)
「まとめ」は読者にとって必要のない情報が多く含まれています。多くの記事を見ると、文字の分量が妙に多いことがわかります。大切なことは話をまとめるというより、始めた記事だから終わらせるという意識が書き手にもあるからです。
さらに作品紹介をして突然終わらせてしまうと、記事の最低限の形ができなくなるので「終わりまでだらだら書く」はとっても重要。こうした部分も意識してくれると、この「いかがでしたでしょうか構文」をマスターする近道となります!!
この文章作成術をマスターするにはそう時間は必要ありません!大事なのは「○○って知っていますか?」や「いかがでしたでしょうか」から感情をあおるようなフレーズを使い、最後に「次回作に期待!!!」「目が離せない!!!」といった文章を埋め込めば見事完結。業務終了!!
なわけですが、続けるには本当にライターを目指す人なら色んな葛藤が残ります。何も考えずに文章が書けてライター気分を味わうには手軽でいい仕事かもしれません。しかし、よそに行ってそのスキルが「ライター」としての「実績」や「スキル」として認められるかというとそんなことはなく。「いかがでしたでしょうか構文」は真似して遊ぶくらいがちょうど良い。そんな風に筆者は考えています。
(匿名希望の元まとめライター)