アメリカ空軍は2021年10月6日(現地時間)、F-35Aが兵装システム試験の一環として核爆弾投下試験を実施したと発表しました。これにより、F-35Aは核兵器が運用可能であることを証明したことになり、今後は核兵器の実戦運用に向けて進むことになります。
これまでF-35Aは通常兵器についての運用試験をクリアしており、実戦においても精密誘導爆弾などを使用してきました。今回の核爆弾投下試験は、より多くの兵装を運用可能とする実証プログラムの一環として実施されたものです。
対象となった核爆弾はB61-12(B61 Mod 12)。新たな誘導装置を搭載し、より精密に目標へ誘導できるよう改良された最新の戦術核爆弾で、F-35に搭載できるよう小型軽量に設計されています。
試験は航空戦闘軍団(ACC)主導のもと、第59試験開発飛行隊と第422試験開発飛行隊によって実施されました。ネバダ州のネリス空軍基地を飛び立ったF-35Aは、ネリス試験訓練場北部にあるトノパー試験場で、実際の戦闘任務を模擬した飛行をしながらB61-12の試験弾を2発投下。試験は無事成功しました。
実戦仕様のF-35Aから、実戦に即した状態でB61-12が投下されたのは、これが初めてのこと。試験を通じ、F-35AとB61-12は設計通りの能力を示しました。
試験を指揮した航空戦闘軍団のダニエル・ジャクソン中佐は「B61シリーズは、F-15EやF-16C/Dのような複数の任務に対応できる航空機で運用可能な核兵器です。第5世代戦闘機がこの運用能力を獲得することで、我が国の核抑止を強化する、まったく新たな戦略レベルの能力が得られます」とコメントし、試験を総括しています。
アメリカ軍の核兵器運用プロセスでは、運用可能であることを実証する段階と、実戦使用可能であることを実証する段階とに分かれており、今回の試験はF-35Aが核兵器を運用できるという最初の段階にあたります。実戦で使えるようになる予定はまだ明らかにされていませんが、F-35Aが核兵器が実戦運用可能なステルス戦闘機になるのは、そう遠い未来ではないでしょう。
<出典・引用>
アメリカ空軍 ニュースリリース
画像:USAF
(咲村珠樹)