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警備ロボット「ugo TSシリーズ」発表会 本格商用化は2021年11月より

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 慢性的な人手不足に悩まされている警備業界。この状況を打破しようと、ビルメンテナンス業務を行っている大成株式会社は、ロボット開発企業ugo株式会社と協力し警備ロボット「ugo TSシリーズ」を開発。本格商用化を始めるにあたり事業戦略と、小芝風花さんを起用した新CMの発表会を11月1日に開催しました。

  •  労働人口の減少により、さまざまな分野で人手不足となっていますが、特に警備業界は深刻で、有効求人倍率の全国平均は6倍~8倍と、この5年間高止まりしています。働き手が減少すると労働環境は悪化し、業界全体における業務品質が低下したり、成長機会を失う事態にもつながります。

     1959年の設立以来、清掃管理業務、警備業務、設備管理業務を中心としたビルメンテナンスを行なっている大成株式会社。現在はさまざまなスタートアップ企業や研究機関などと協業し、新たなサービスや商品を展開しているといいます。

     その一環として誕生したのが、警備ロボット「ugo(ユーゴ) TSシリーズ」。ロボット開発企業ugo株式会社と共同開発した、警備業務のうち「立哨」と「巡回」を肩代わりし、人手不足の解消を図ろうというものです。

     発表会には、大成の加藤憲博代表取締役副社長執行役員と、ugoの松井健代表取締役CEOが登壇。警備ロボット「ugo TSシリーズ」も登場しました。

    大成の加藤副社長(左)とugoの松井CEO(右)

     大成の加藤副社長は、警備業務で人間とロボットが協力し合うハイブリッドな世界を作りたいとし、ロボットの欠点として階をまたいだ縦方向の移動が難しい点を指摘。「ugoは自由に動く手がついていて、自分でエレベータを操作することができる」と語り、ugoと資本業務提携を結び、2年にわたって共同開発を続けてきたと語りました。

     ugoの松井CEOは2年に及ぶ開発で、現場の警備員とともに開発作業を進めてきたと発言。「ugo(ユーゴ)は名前の通り、人とロボットとの融合がコンセプト」と語り、遠隔操作により、これまでの業務を遠隔化、自動化、並列化、効率化できるとし「人の仕事を奪うものではなく、スマホのように、人の能力を拡張するもの」だとugoを紹介しました。

     ugoの将来性について、松井CEOは「AIを使って、警備業務だけでなく点検や見回り、介護などの業務にも活用していきたい」と話しています。また、加藤副社長は自社だけでなくほかの警備会社やビルオーナーと協力し、ugoを広めていきたいと語り、今後はugoのようなアバターロボットを活用することにより、現在は警備業法第14条の規定によって採用が難しいとされている人も対象にした雇用創出にもつなげていきたい、としました。

     警備ロボット「ugo TSシリーズ」商用サービス化にあたり、大成ではテレビCMも作成。CMに出演したイメージキャラクターの小芝風花さんも登場しました。

    CMイメージキャラクターの小芝風花さん

     CMで着用した衣装で登場した小芝さん。CMについて「カタい社名で、じゆうな発想。」というコピー通り、固さの中にユニークな発想が込められているなと思った、と話していました。

    CM衣装で登場

     小芝さんはCMの見どころとして「やっぱ(ugoくんが)エレベータ(のボタン)を押すところです」と発言。「ロボットが正確に階のボタンを押すところに感動しましたし、あとは表情がニコッとしたり、まばたきしたり色々変わって親しみやすいので、ugoくんに注目して見てほしい」と語っていました。

     ここで、エレベータを模したセットからugoくんが登場。なんと小芝風花さんの声をサンプリングしたアバター仕様のugoとなっており、小芝さんは「事前に声の収録をしたんですけど、自分の声で掛け合いをするって、なんか不思議な感じですね」と笑顔で話していました。

    ugoと小芝さん

     さらにゲストを呼び込むため、ugoくんはエレベータのボタンを操作。すると出てきたのは、チョコレートプラネットの長田庄平さんと、もう1台のugoくん。「TT兄弟」ならぬ「大成(Taisei)兄弟」のネタで登場しました。

    チョコレートプラネット長田さん登場

     TT兄弟の兄「たけし」役の長田さんと一緒に登場したugoくんは、弟「てるお」役である松尾駿さんのアバターとなっています。後ほど松尾さん本人も合流し、小芝さんと一緒に、ugoのボイスキャストになる権利をかけたugoに関するクイズへと移りました。

    出演者全員で「T」ポーズ

     3問のクイズで明らかになったのは、ugoは必要に応じて104cm~165cmの範囲で身長(腕部と一体になった頭部の高さ)を変えられるということ、3台のカメラで360度の視界をカバーしていること、6か国語で応対が可能であること。外国語対応の実演では、英語、スペイン語、中国語での応対が披露されました。

    クイズの様子

     最後のトークでは、松尾さんが4年前に泥棒に入られそうになった体験を語り「ぜひウチに来てほしい」とリクエスト。それを受け、小芝さんも「もしかしたら家庭用ugoくんができる日も近いかもしれませんね」と話していました。

     大成株式会社では、このアバター警備ロボット「ugo(ユーゴ) TSシリーズ」の本格商用化を2021年11月より開始するとしています。近い将来、ビルで目にする機会があるかもしれません。

    警備ロボット「ugo TSシリーズ」事業戦略&新CM発表会に出演したチョコレートプラネットのお2人と小芝風花さん

    取材協力:大成株式会社

    (咲村珠樹)

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