子供の頃に犬など動物のいる家庭で育った子は小児喘息になりにくいという研究結果を昨年、スウェーデンのウプサラ大学が発表し話題になりましたが、今度はニュージーランドのオタゴ大学の研究チームがアレルギーに関する興味深い研究結果を小児科情報誌『Pediatrics』で発表し世界から注目をあつめています。
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オタゴ大学研究チームでは、アレルギーが増えた原因として「病原体に触れるきっかけが減ったためではないか」という仮説をたて、子供の頃指しゃぶりや爪を噛んだりする癖のあった人となかった人のデータを比較したそうです。
調査は1972~73年生まれ約1000人を対象に5歳からから32歳になるまで追跡調査で行われました。
5、7、9、11歳のときに対象者の親に指しゃぶりや爪噛み癖があるかどうかを尋ねたそうです。ちなみに癖のある子は全体の約3割でした。そして、13歳と32歳の時点で皮膚に目に見えないくらいの傷をつけてアレルギーを調べるプリックテストを実施したところ、癖のある子はアレルギーの発症率が30%から40%低いことがわかったそうです。そして発症率の低さは成人時にも維持されていました。ただし、ぜんそくと花粉症については相関関係はみられなかったそうです。
人間の手は様々なところに触れるために非衛生的です。そこに口をつけるという行為は病原体に接触する機会が増えることによりウイルスなどに働くTh1細胞が増え、結果的には免疫系全体のバランスが整いアレルギーになりにくい可能性があるそうです。
赤ちゃんの周りを清潔に保つことはとても大事ですが、あまりに清潔に保ちすぎるとアレルギー体質をつくり上げてしまう原因にもなりかねないので、お子さんがちょっとくらい指しゃぶりしても見逃してあげるくらいがよいかもしれないですね。
▼参考
Pediatrics
(文:大路実歩子)