OpenAIが提供しているAIチャットボット「ChatGPT」。人間からのアクションに対し、自然に感じる回答を生成してくれることから、いろいろな分野での応用が進んでいます。

 次々と新しいサービスがスタートする中、2023年4月7日現在でユニークな例をいくつか紹介します。

■ アバター接客サービス

 まずはChatGPTの「対話型」という特徴を活用したケース。リモート環境で接客を実現できる「アバター接客」サービスです。

▼ アバター接客さくらさん

 2016年のサービス開始以来、駅や最高裁判所、佐賀県庁など企業や交通機関、公共施設で導入されている株式会社ティファナ・ドットコムのAIアバター「AIさくらさん」。ChatGPTを搭載し、リモート接客を実現する「アバター接客さくらさん」というサービスが始まっています。

アバター接客さくらさん(スクリーンショット)

 AIが得意とする「よくある質問(FAQ)」のほか、同時通訳により外国語対応も可能。緊急性のある問い合わせの場合は、スムーズに人間のオペレータへと橋渡しをしてくれます。

・出典:アバター接客さくらさん
https://www.tifana.ai/products/personchat

▼ アバターオンライン接客サービス「AVACOM」

 いろいろなアバターを使えるのが、AVITA株式会社の「AVACOM」。実店舗での接客だけでなく、WEBサイトでの接客や問い合わせ業務にも対応しています。

AVACOM(スクリーンショット)

・出典:AVACOM
https://avita.co.jp/avacom

▼ アバターと会話を楽しむアプリも

 ChatGPTと3DアバターファイルフォーマットのVRM、テキスト読み上げソフトのVOICEVOXを組み合わせ、好みの3Dキャラクターと会話を楽しむアプリが、Yuji Uekiさん作の「OshaberiAI」。2023年4月5日にiOS版がApp Storeに公開されると、たちまち話題となりました。

OshaberiAI(スクリーンショット)

 アプリを起動し「こんにちは」と話しかけるか、キャラクターをタップしたのち、メッセージボックスに「Listening……」と表示されたら、好きなことを話しかけると、それに応じて返事をしてくれるというもの。公開後、アプリからのサブスクリプション契約機能に問題が見つかり、4月7日現在は5ターンまでの会話に制限されたトライアルのみとなっています。

・出典:OshaberiAI
https://apps.apple.com/jp/app/oshaberiai/id6446883638

■ EC支援サービス

 ネットを通じて個人間の売買が盛んな時代。商品の説明を書いたり、口コミやQ&Aの対応をしたりと慣れないことに取り組む必要があります。それをChatGPTを使って支援してくれるサービスも提供が始まりました。

▼ PR文や商品説明文を自動生成

 ECサイトの「カラーミーショップ」「minne」「SUZURI」を運営するGMOペパボ株式会社では、SNSの集客に利用可能なPR文や商品説明文を自動生成する機能を提供すると発表。第1弾として、カラーミーショップにて「カラーミーAIアシスタント」のベータ版アプリ(iOS)を2023年3月22日に提供開始し、続いてminne、SUZURIでも提供が始まりました。

GMOペパボのECサイト支援機能

・出典:GMOペパボ株式会社 プレスリリース
https://www.gmo.jp/news/article/8294/

▼ レビュー・クチコミの表現が適切か判定するサービス

 ZETA株式会社では、レビュー・クチコミ・Q&Aエンジン「ZETA VOICE」のオプションとして、ユーザー投稿の表現が適切かどうか、ChatGPTなどを使って自動判定する「コンテンツチェック機能」を2023年3月22日より提供開始。いわゆる「荒らし」行為や違法行為といった不適切な表現を判定し、表示対象から外すなどの措置を行うことができます。

ZETA VOICE「コンテンツチェック機能」

・出典:ZETA VOICE「コンテンツチェック機能」プレスリリース
https://zetacx.com/pressrelease/products-function/zeta-voice-contents-check-function-202303/2023/0322

■ アプリやWEBページの自動生成

 ChatGPTは「自然な文字列」を自動的に生成するので、人間だけでなくコンピュータ向けの言語も生成可能。このため、アプリやWEBページのソースコードを自動生成するものも公開されています。

▼ アプリの自動生成「GPTApp」

 ゲームアプリの企画・開発・運用を手掛ける株式会社ミリオンダウトの代表取締役、Takayuki Fukudaさんは、作ってほしいアプリを書くだけで、30秒ほどでChatGPTが作って公開する「GPTApp」をリリースした、と2023年4月6日にTwitter(@hedachi)に投稿。まだシンプルなものしか作れないそうですが、早速試した人たちのアプリも見ることができます。

作ってほしいアプリを書くだけで、30秒ほどでChatGPTが作って公開する「GPTApp」(スクリーンショット)

・出典:GPTApp
https://cgptapp.com/

▼ WEBページを自動生成「ロリポップ!AIアシスタント」

 GMOペパボ株式会社が運営するレンタルサーバサービス「ロリポップ!レンタルサーバー」では、サイトの目的や用途、使用したい色などのテキスト情報を入力するだけで、WEBサイトのソースコード(HTMLとCSS)を自動生成する「ロリポップ!AIアシスタント」のベータ版を2023年4月5日より提供。

「ロリポップ!AIアシスタント」

 そのままWEBサイトとして公開できるほか、生成されたソースコードを編集・保存することも可能です。全部お任せで作ってもよし、AIが作ったページをひな形として作り込むのもよしと、ユーザーのレベルに応じて使えるのは便利ですね。

・出典:ロリポップ!AIアシスタント
https://lolipop.jp/service/specs/ai-assistant/

■ 小学生の疑問に答えるAI博士

 教育の分野にもChatGPTは活用されています。子ども向けのオンライン教育プラットフォームを展開するキッズウィークエンド株式会社では、小学生の疑問に答えるキッズAI博士「AIウィー子ちゃん」のサービスを2023年3月22日より提供開始。

教えて!AIウィー子ちゃん

 小学生向けのカリキュラムに基づき、算数や国語、理科、社会科などの教科についての知識を提供。繰り返し質問することでAIが学習し、ユーザーが興味を持った分野の自己学習スキルを身につけることができるといます。

・出典:教えて!AIウィー子ちゃん
https://www.kidsweekend.jp/portal/explore

■ 音声でChatGPTを使えるサービスも

 ChatGPTはテキスト入力が基本となっているため、目の見えない人にとっては使うことが困難。また、スマホでの入力に慣れない方も少なくありません。

 そんな方のために、自動電話応答サービスを手掛ける株式会社IVRyが、音声でChatGPTと会話できる「電話GPT」を開発。2023年3月13日より無料体験デモの番号「050-1807-3316」を公開しました。

音声でChatGPTと会話できる「電話GPT」

 固定電話やスマホなどから無料体験デモ番号にかけると、質問を音声で伝えるだけでChatGPTによる回答を音声で受け取ることができるというもの。通話料はユーザー負担となるものの、会員登録やアプリのダウンロードといった手間が必要ないのは魅力です。

 あくまでも試験的な公開ということで、予告なく終了することもあると告知されていますが、公開後1週間で利用件数は1万件を突破。累計利用時間は350時間を超えたといいます。

・出典:株式会社IVRyリリース
https://ivry.work/

■ プラグイン解禁で広がる可能性

 OpenAIでは2023年3月23日、ChatGPT用にプラグインの初期サポートを実装したと発表。これまでにExpediaやSlackなどによるプラグインがアルファ版として作られたとしています。

ChatGPT用プラグインの告知(スクリーンショット)

 外部のツールに接続することで生じるリスクについては慎重に対処するとし、すでに保護手段の実装も進めているとのこと。プラグインでカスタマイズ可能となることで、よりサービスの特性に応じた使いやすい言語モデルが、将来的に作られていきそうです。

・出典:OpenAI「ChatGPTプラグインについて」
https://openai.com/blog/chatgpt-plugins

※掲載画像は各種サービスのスクリーンショット、もしくはリリースから引用しています。

(咲村珠樹)