現在、様々なエコカーが走っていますが、この流れは軍にも及んでいます。アメリカ空軍では、水素を使ったさまざまな燃料電池車をハワイで試験運用中です。

 ハワイにあるパールハーバー・ヒッカム統合基地。ここではアメリカ空軍の第647輸送中隊とハワイ州空軍が共同で、水素を使った燃料電池バスを運行する試験を行なっています。

 これは、アメリカ空軍研究所とハワイ先進交通技術センターとの共同研究の一環。ハワイは再生可能エネルギーのうち、風力や太陽光などが大部分を占めており、供給が必ずしも安定的なものではありません。このような場所で充電を必要とする電気自動車を普及させようとすると、どうしてもインフラが足りなくなる恐れがあります。水素燃料を使用した燃料電池車は、電力需要に負担をかけることなくエコカーを普及させる有力な候補なのです。

 ハワイにおける水素製造は、石油など炭化水素からではなく、水を電気分解することで行われます。電気分解に使用される電力は、風力や太陽光などの再生可能エネルギーによる余剰電力を使用しています。

 ハワイにおける水素エネルギー活用の実験は、2006年に水素製造・貯蔵・供給施設を建設したところから始まりました。施設は2010年に更新され、国防総省の水素エンジン車と、燃料電池車実験に供されています。パールハーバー・ヒッカム統合基地では、人員輸送用のバスだけでなく、戦闘機用の武器ローダーMJ-1E、U-30E大型機用トーイングカーも含まれています。

 空軍では国内に先駆けて、2045年までにハワイにおける使用車両のエコカー率を100%にし、石油使用量を削減する目標を立てています。

 Image:USAF

(咲村珠樹)