イギリス空軍の将兵が勤務中に撮影した写真を対象に行われる、毎年恒例の「イギリス空軍フォトコンペティション」の結果発表が9月20日(現地時間)に行われました。
今年のグランプリは、ハルトン空軍基地に勤務するティム・ローレンス伍長の「Remembarance」。本稿最初に掲載している写真です。イギリス空軍の「バトル・オブ・ブリテン・メモリアルフライト(BBMF)」で動態保存されている第二次大戦中の爆撃機、アブロ・ランカスターを撮影した作品。戦争当時の夜間爆撃に出撃する様子を思い起こさせるような、夜の飛行場にたたずむランカスターと、当時の服装をした乗組員たち。モノトーンの抑制した画面が、静かな祈りを感じさせます。
1000枚以上の応募作品から、プロカメラマンらで構成された審査員たちによって選ばれた作品は、最終的にネットを通じた一般投票でグランプリが選ばれます。9月20日に入賞作を集めた写真展がロンドン郊外にあるイギリス空軍博物館・ベントレー・プライオリー(第二次大戦中の空軍総司令部)で開かれ、ネットによる一般投票で選出されるグランプリ「ピープルズ・チョイス」の発表が行われました。
グランプリを受賞したローレンス伍長には、ブラッドショウ准将から記念のトロフィが授与されました。
このほかにも、最終審査に勝ち残った13の部門の上位作は素晴らしいものばかり。プロのカメラマン以上の芸術作品もあります。先ほどのティム・ローレンス伍長は「Selfie(自撮り)」と題した別の作品も入賞。ホークT.2練習機の訓練飛行で、後部座席に乗っている自分の姿を撮影したもの。軽く首を傾げてポーズをとっているのが、余計に自撮りっぽさを感じさせます。
イギリス空軍の写真家、ハンナ・スモーカーさんの「Parallels(平行)」という作品は、クウェートで行われたエアショウで、イギリス空軍のレッドアローズが飛ぶ姿を真上から撮影したもの。滑走路と編隊のラインが平行に重なった瞬間を捉えています。
グラハム・テイラー伍長の作品「Wings Overhead(頭上の翼)」は、エアショウでのひとコマ。バトル・オブ・ブリテン・メモリアルフライト(BBMF)でスピットファイアのパイロットを務めるアンディ・プリース大尉が、自分の愛機であるスピットファイアPR Mk.XIXの主翼の下で寝転びながら、スペイン空軍のディスプレイチーム「パトルーラ・アギラ」の展示飛行を眺めている姿を写しています。
1000枚以上の応募作品から選ばれただけあって、入賞作は本当に素晴らしいものばかりです。
自衛隊でも内部でこのような写真コンテストが行われているのですが、イギリスのようにグランプリを一般投票で決める、というのもあると面白いですね。
Image:Crown Copyright 2018
(咲村珠樹)