2018年12月23日(アメリカ東部時間)、スペースXはフロリダ州のアメリカ空軍ケープカナベラル基地からファルコン9ロケットで新しいGPS衛星を打ち上げ、軌道投入に成功しました。スペースXとしては初めてのGPS衛星打ち上げミッションであり、ロッキード・マーティンが作った最初の次世代型GPS「GPS III」の第1号機の打ち上げでもありました。
これまでのものより3倍精密な位置測定が可能で、電波妨害にも8倍強いとされる次世代型GPS衛星のシリーズがGPS IIIです。ロッキード・マーティンは総額1億2800万ドルで10機の衛星を作ることになっており、コロラド州にある工場で生産されています。
現在主力として使われているGPS衛星は、2005年から打ち上げが始まった「GPS IIR-M」というシリーズ。1997年~2004年に12機が打ち上げられたGPS IIRの性能向上型で、2009年までに計8機が打ち上げられています。こちらの設計寿命は7年半とされており、最初に打ち上げられたものはすでにその寿命を超過しています。このため、世代交代の時期がやってきていました。
GPS IIIシリーズは設計寿命が従来の倍となる15年。そして位置測定精度は3倍、電波妨害にも8倍強いという性能を持っています。第1世代となるSV01~10に加え、第2世代(GPS IIIF)となるSV11からの22機は、捜索救難の際に精密な位置測定ができるよう、衛星本体にレーザー光を反射する装置も装備される予定です。
SV01からSV10は2011年から生産が始まり、最初のSV01の打ち上げに関する契約は2016年にスペースXとの間で締結されました。当日はフロリダ州のケープカナベラル空軍基地の第40発射施設(SLC-40)から、ファルコン9ロケットでアメリカ東部時間の午前8時51分に打ち上げられ、打ち上げから1時間56分17秒後に衛星を切り離し、初期の軌道に投入しました。
軌道に投入されたGPS III SV01は、衛星の立ち上げ作業や性能確認が行われる予定。それに続き、2019年には2号機(SV02)の打ち上げが予定されています。GPS IIIシリーズが運用状態に入れば、今までよりもカーナビの精度も向上するので、近々私たちもその恩恵にあずかれることになりそうです。
Image:Lockheed Martin/SpaceX
(咲村珠樹)