お母さんは1000年代生まれと息子に言われたというツイートが話題になり、「スケールが大きい」「着眼点がすごい」「この発想はなかった」とネットでも大きな反響を呼んでいます。

 YouTubeをよく視聴しているという今どき小学生の二男さんの発言を投稿したのは、編集・ライターのお仕事をされている高川朋子さん(@darkmatter_tomo)。高川さんのお家はご主人とふたりの息子さん(小6と小1)の4人家族です。

 若い人の間で使われているらしい「1000年代の人」というワードについては、2015年にもTwitterで話題になったことがありました。このときは若者たちの会話の中で言われている言葉として、「1000年代の人」という言葉とともに「昭和専」(昭和生まれの異性を好むという意味)という言葉も登場。どちらも若者から「古い世代」と揶揄された感があり、ここでいう「1000年代の人」たちを大いに脱力させたのです。

 しかし、少々ネガティブに使われてきたワードも小学生がお母さんに対して使ったことで受ける印象がガラッと変わりました。まったく同じ言葉のはずなのに高川さんのツイートでは広がりすら持っていて、まるで魔法がかかってしまったかのようです。「源頼朝も20代の人もみんな仲間な気がして壮大な気分になります」と、高川さんは結んでいます。まだ幼いといってもいい若さの二男さんは、まだまだお母さんが大好きな年代です。高川さん母子の絆が1000年代をポジティブで素敵な言葉に変えてしまったというのは言いすぎでしょうか。

 歴史上の人物と感じていた人たちを、身近に感じさせてくれる1000年代という言葉。高川さんによれば、同世代でうれしい偉人はキュリー夫人で同じ世代と再認識して親しみを感じたのはボニファティウス8世とのことです。1000年代生まれのみなさんには高川さんのように歴史上の人物に思いをはせるいい機会になるかもしれません。

 高川さんは日ごろから息子さん達へ20世紀末の体験を何度も話してきたそうです。Y2Kチェックの表示が様々なものに入っていたことやノストラダムスの大予言を多くの小学生が恐れたこと。色々なものの名前に21という数字が使われていたから、おそらく21世紀末には22が多用されるのではないかということ。そして「21世紀には、チューブ状の道路の中を浮いた車が飛び回っているはずだったのにまだそうなっていないからぜひ長生きして見届けてほしい」。1000年代(20世紀)を生きた高川さんの思いが2000年代を生きていく息子さん達へと繋がっていきます。

 見方を変えれば感じ方も変わります。もうすぐ元号も変わる平成最後の冬に1000年代という言葉が再注目されたというのは面白いタイミングだったと思います。平成生まれの人も数か月後にはひとつ前の世代ということになってしまいます。昭和生まれの筆者が小さい頃は明治生まれの人は眉毛やお髭が長くて厳めしいおじいちゃん世代のイメージでしたし、大正生まれの祖母は現実にもおばあちゃんでした。そんな筆者も大河ドラマや映画で自分が生まれる少し前の日本の風景を見かけるとわくわくしてしまいます。世代間ギャップは簡単には埋められないかもしれませんが、これからもたくさん残っていくであろう映像資料などを観ながら世代のちがう人たちと過去を共有していけるなんて本当にいい時代がきましたね。

<記事化協力>
高川朋子さん(@darkmatter_tomo)

(山口さゆり)