BAEシステムズは2019年7月15日(現地時間)、アメリカ陸軍と共同開発している次世代型長射程自走砲ERCA(Extended Range Cannon Artillery)の試作を4500万ドル(約48億5000万円)で受注したと発表しました。これは既存のM109A7をさらに長砲身化するものです。
ERCA(Extended Range Cannon Artillery)は、現在アメリカ陸軍で旧型からの改修が進んでいる155mm自走砲M109A7の性能向上を狙ったもの。M109A6で39口径長(約6m)に延長された砲身をさらに約3m延長し、58口径長(約9m)とする改修がメインとなります。
砲身長は1.5倍ですが、これにより最大射程はおよそ倍になるといいます。このERCAは現在M109シリーズを生産するBAEシステムズと、アメリカ陸軍戦闘能力開発コマンド(CCDC)とが共同で開発を進めてきました。
BAEシステムズの戦闘車両部門責任者、スコット・デイビス氏は「ERCAは陸軍の火砲ポートフォリオにおいて、大きな技術的前進となる存在です」と語ります。というのも、小さな車体に長射程の砲を装備するには、移動時はもちろん、射撃時のバランスを取らなければならないという難題があるためです。
歩兵の進軍を後方から火力支援する火砲は、射程距離が長ければそれだけ、相手からの反撃を受ける火力範囲から遠ざかることができ、より効果が高まります。そしてコンパクトであれば、迅速な展開が可能となり、歩兵の進攻を幅広い範囲で支援できます。
今回の試作発注とは別に、GPS誘導の砲弾が相手方の電子戦(妨害電波)を受けても性能を落とさない誘導装置(PGK-AJ)の開発に関する発注も行われています。より長射程で妨害電波に強く、確実に火力支援ができる自走砲システムの開発は、陸軍のピカティニー・アーセナルと、BAEシステムズのペンシルバニア州ヨーク、ミシガン州スターリングハイツ、ミネソタ州ミネアポリスの事業所で行われるとのことです。
<出典・引用>
BAEシステムズ プレスリリース
Image:U.S.Army
(咲村珠樹)