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【うちの本棚】第百三十二回 川崎のぼる傑作漫画集

【うちの本棚】第百三十二回 川崎のぼる傑作漫画集今回の「うちの本棚」は『川崎のぼる傑作漫画集』をご紹介します。まさに傑作揃いの短編集。機会があればぜひお読みいただきたい作品ばかりです。


  • 【関連:第百三十一回 キャプテン五郎/川崎のぼる】

     

    川崎のぼるというと『巨人の星』『荒野の少年イサム』『いなかっぺ大将』『てんとう虫の歌』といった長編作品が思い浮かび、短編作品にこれといった代表作が見当たらない印象があるのだが、本書のタイトルはそんな印象を裏付けているようだ。

    すでに『巨人の星』も完結して『てんとう虫の歌』を連載中の時期に刊行された思うのだが、作品タイトルを表題として単行本のタイトルにするよりも「川崎のぼる」という作家の名前の方がセールスが見込めると考えたのだろう。
    『浪人丹兵衛絶命』は人のいい浪人を主人公にした時代劇、『百笑亭イモ助』は『いなかっぺ大将』の大左ェ門を大人のしたような噺家の卵の物語、『野生馬ハクライ号』は北海道の牧場を舞台にした馬の登場する物語だが、川崎作品初期の西部劇の匂いも感じる。

    ストーリーの読みごたえ、作画の充実感、それぞれ作者が充分に力を注いでいる印象があり、まさに「傑作漫画集」といえる内容なのだが、それだけにそれぞれのタイトルが独立して川崎のぼるの代表短編作という位置にないのが残念でもある。

    川崎は自ら「劇画家」と名乗ってもいたが、劇画とマンガを融合した中間的な印象が個人的には強い。雑誌に進出したのが早かったことがそういう作風の確立を後押ししたのだと思うが、同時に年少者の読者を意識した作品が多かったことも劇画的マンガに向かった理由なのかもしれない。

    書 名/川崎のぼる傑作漫画集
    著者名/川崎のぼる
    出版元/講談社
    判 型/新書判
    定 価/280円
    シリーズ名/KCコミックス
    初版発行日/昭和48年10月20日
    収録作品/浪人丹兵衛絶命、百笑亭イモ助、野生馬ハクライ号

    (文:猫目ユウ / http://suzukaze-ya.jimdo.com/

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  • 猫目 ユウWriter

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    フリーライター。ライター集団「涼風家[SUZUKAZE-YA]」の中心メンバー。
    『ニューハーフという生き方』『AV女優の裏(共著)』などの単行本あり。
    女性向けのセックス情報誌やレディースコミックを中心に「GON!」等のサブカルチャー誌にも執筆。ヲタクな記事は「comic GON!」に掲載していたほか、ブログでも漫画や映画に関する記事を掲載中。
    本コラム「うちの本棚」は作者・テーマ別にして「ブクログのパブー」から電子書籍として刊行しています。
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