おたくま経済新聞

ネットでの話題を中心に、商品レビューや独自コラム、取材記事など幅広く配信中!

【うちの本棚】159回 鋼鉄ジーグ(松本めぐむ版)/松本めぐむ(尾瀬あきら)

『鋼鉄ジーグ』表紙「うちの本棚」、今回は松本めぐむ(尾瀬あきら)によるコミカライズ作品『鋼鉄ジーグ』を取り上げます。

孤独なヒーローとして人間ドラマを主軸に描かれた本作は、ロボットアニメのコミカライズ作品の名作として、ぜひ読んでいただきたい作品です。


  • 【関連:158回 大空魔竜ガイキング(松本めぐむ版)/松本めぐむ(尾瀬あきら)】
     
    本作は東映動画(現東映アニメーション)制作、NET系(現テレビ朝日)系放映のテレビアニメーション『鋼鉄ジーグ』のコミカライズ作品である。初出は秋田書店の「冒険王」で、同時期には講談社の「テレビマガジン」で、原作コミックにあたる安田達矢版が連載されている。

    本作は原作コミックともテレビアニメーションとも異なった展開を見せ、全体的に孤独なヒーローとしてジーグ(というよりジーグとなる宙(ひろし))が描かれている。

    この時期の「冒険王」といえば桜多吾作の「マジンガーシリーズ」があり、こちらもテレビアニメーションとは違うストーリー展開でのちのち注目されることになった。

    1975年前後は「ノストラダムスの大予言」や「日本沈没」などがブームとなり、いわゆる世紀末的な雰囲気が社会を包んでいて、ヒーローも自身の内面を掘り下げていくようなストーリーが多く描かれた時代でもある。本作においては主人公が自ら望む形ではなくサイボーグ化され、鋼鉄ジーグとなってハニワ幻人との闘いに投入されるという設定から、闘いの意味やヒーローの孤独を描きやすい作品だったともいえるだろう。松本はさらに、脳だけを残した強化をジーグがすることとなる展開で「感情などいらない」という意味のセリフを主人公に吐かせている。

    『鋼鉄ジーグ』という作品そのものの特徴といえば、主人公である宙が人間体から機械的な外見へと「変身」し、さらに巨大なジーグの頭部へと変形したあと、手足などのパーツをマグネットパワーでドッキングするところにある。この磁力の力を使ったロボットというのは、もともと玩具メーカーの発案で、商品展開を前提とした企画であったが、本作のあと『マグネロボ ガ・キーン』などシリーズ化もされた「マグネロボ」というジャンルへと発展していく。

    ジーグ自体は手足のパーツを状況に応じて交換しながら闘うというマシンとしての魅力もあったわけだが、松本版のコミカライズではメカニック的な魅力については描写こそあれ言及されることはなく、あくまでも人間ドラマとして『鋼鉄ジーグ』を描ききっている。またそれこそが松本版の魅力といえるのであるが。

    「冒険王」連載作品は秋田書店の「サンデーコミックス」シリーズで単行本されることが多かったが、本作はその路線に乗ることはなく98年の双葉社版が刊行されるまで忘れられた作品となっていた。

    初出/秋田書店「冒険王」1975年11月号~1976年6月号

    書 名/鋼鉄ジーグ
    著者名/松本めぐむ(尾瀬あきら)
    出版元/双葉社
    判 型/A5判
    定 価/1200円
    シリーズ名/ACTION COMICS スーパーヒーロークラシックス
    初版発行日/1998年8月16日
    収録作品/鋼鉄ジーグ

    (文:猫目ユウ / http://suzukaze-ya.jimdo.com/

    あわせて読みたい関連記事
  • コラム・レビュー

    【うちの本棚】158回 大空魔竜ガイキング(松本めぐむ版)/松本めぐむ(尾瀬あき…

  • 猫目 ユウWriter

    記事一覧

    フリーライター。ライター集団「涼風家[SUZUKAZE-YA]」の中心メンバー。
    『ニューハーフという生き方』『AV女優の裏(共著)』などの単行本あり。
    女性向けのセックス情報誌やレディースコミックを中心に「GON!」等のサブカルチャー誌にも執筆。ヲタクな記事は「comic GON!」に掲載していたほか、ブログでも漫画や映画に関する記事を掲載中。
    本コラム「うちの本棚」は作者・テーマ別にして「ブクログのパブー」から電子書籍として刊行しています。
    また最近は小説の執筆に力を入れています。
    仮想空間「Second Life」やってます^^

    ▼こちらのライターの最新記事▼

  • コラム・レビュー

    複数社から発売された『墓場鬼太郎(ゲゲゲの鬼太郎)』を振り返る

  • コラム・レビュー

    【うちの本棚】262回 こいきな奴ら/一条ゆかり

  • コラム・レビュー

    【うちの本棚】261回 ティー・タイム/一条ゆかり

  • コラム・レビュー

    【うちの本棚】260回 5(ファイブ)愛のルール/一条ゆかり

  • コラム・レビュー

    【うちの本棚】259回 デザイナー/一条ゆかり

  • コラム・レビュー

    【うちの本棚】258回 わらってクイーンベル/一条ゆかり

  • トピックス

    1. 火も包丁も使わない ヒガシマル公式「丸ごとソーセージの炊き込みご飯」が背徳的なおいしさ

      火も包丁も使わない ヒガシマル公式「丸ごとソーセージの炊き込みご飯」が背徳的なおいしさ

      ヒガシマル醤油のロングセラー商品「うどんスープ」。うどんだけでなく様々な料理に使える万能調味料として…
    2. 「遊☆戯☆王」公式、ホワイトハウス投稿動画に声明 無許諾使用を指摘

      「遊☆戯☆王」公式、ホワイトハウス投稿動画に声明 無許諾使用を指摘

      米政権のホワイトハウス公式Xアカウント「@WhiteHouse」が3月6日に投稿した動画をめぐり、ア…
    3. オレンジ不使用なのにオレンジ味?カゴメ新ジュースを飲んでみた

      オレンジ不使用なのにオレンジ味?カゴメ新ジュースを飲んでみた

      カゴメは3月10日から、新商品「Beyond オレンジを使っていないオレンジ味の100%ジュース」の…

    編集部おすすめ

    1. 「貴姫さまの憂鬱~あやかし探偵事件簿~」キービジュアル

      いのまたむつみキャラ原案、氷栗優作画「貴姫さまの憂鬱」連載へ 楊貴妃が現代京都で“あやかし探偵”

      Gakkenは、Webサイト「コミックノーラ」にて新作コミック「貴姫さまの憂鬱~あやかし探偵事件簿~」の連載を、3月26日10時から開始する…
    2. 「ウルトラエッグカツ丼」は税込979円(券売機店舗は税込980円)

      かつや「ウルトラエッグカツ」登場 「こういうのでいいんだよ」なおかずを全部のせ

      とんかつ専門店「かつや」が、期間限定メニュー「ウルトラエッグカツ定食」と「ウルトラエッグカツ丼」を、3月13日から販売すると発表しました。ロ…
    3. 「涼宮ハルヒの憂鬱」再放送 2006年と同じエピソード順で全14話

      「涼宮ハルヒの憂鬱」再放送 2006年と同じエピソード順で全14話

      テレビアニメ「涼宮ハルヒの憂鬱」が、放送開始20周年を記念して再放送されることが3月9日に発表されました。TOKYO MXとBS11での放送…
    4. 自衛官の足の悩みから生まれた「自衛隊向け靴下」 反響を受けラインナップ拡充

      自衛官の足の悩みから生まれた「自衛隊向け靴下」 反響を受けラインナップ拡充

      陸上自衛隊員の足トラブルを前提に設計された、タクティカルソックス「IMPACT LOCK FORCE」に、新サイズ27~29cmと総丈19c…
    5. ドラマ「フードファイト」

      「俺の胃袋は宇宙だ!」草彅剛主演の伝説的ドラマ「フードファイト」がHuluで一挙先行配信決定

      草彅剛さんが主演を務め、2000年と2001年に日本テレビ系列で放送されたドラマ「フードファイト」シリーズが、3月6日よりオンライン動画配信…
    Xバナー facebookバナー ネット詐欺特集バナー

    提携メディア

    Yahoo!JAPAN ミクシィ エキサイトニュース ニフティニュース infoseekニュース ライブドア LINEニュース ニコニコニュース Googleニュース スマートニュース グノシー ニュースパス dメニューニュース Apple ポッドキャスト Amazon アレクサ Amazon Music spotify・ポッドキャスト
    支援