カプコンの人気ゲームシリーズ「戦国BASARA」初のミュージカル作品が、宝塚歌劇団 花組によって公演されている。6月15日(土)からの東急シアターオーブでの東京公演初日に先駆け、14日(金)、報道陣向けに公開舞台稽古(ゲネプロ)が行われた。
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当日は記者がざっと数えたところ、約200名の報道陣が集結。こうした舞台稽古にはこれまで何度も参加したことはあるが、ここまでの数が集まるのは初めての経験。改めて、作品の注目度の高さが覗えた。
「戦国BASARA」はこれまで何度か、宝塚以外で舞台化されているが、先にも紹介したとおりミュージカル化はこれが初。
今回主人公となるのは、作品タイトル『ミュージカル・ロマン「戦国BASARA」 -真田幸村編 - 』にもあるとおり真田幸村。
タイトルロールを演じるのはもちろん、花組トップスターの蘭寿とむ。
蘭寿とむはこれまで、カプコンと宝塚歌劇団のコラボレーション作品第1弾「逆転裁判」で2度主演のフェニックス・ライト(成歩堂龍一)を演じている。(宝塚版「逆転裁判」は、第1弾が2009年2月に、そして続編が2009年8月に2度公演されている。)
そのため、カプコン作品に主演するのはこれが3度目。
そして脚本・演出を担当したのは宝塚歌劇団所属演出家・鈴木圭。鈴木はこれまで宝塚で公演された「逆転裁判」シリーズ全て(3公演)の脚本・演出を手がけている。
さて、今回の宝塚版「戦国BASARA」。まだ公演中の作品のため、あまり内容については詳しく紹介できない。そのためざっと紹介させていただくと、冒頭は真田幸村がオリジナルヒロインいのり(蘭乃はな)を戦場で救うところから始まる。
その後いのりは幸村の住む村で生活し、幸村を陰に日向にと支え続ける。
そんな折、戦が始まる。幸村つかえるお館様・武田信玄(華形ひかる)、対抗するのは宿敵 上杉謙信(明日海りお)。
物語では、姿は見せない織田信長の策略に、幸村やいのり、そして謙信が巻き込まれていく――。
もともと、ゲーム原作の作品。今回のミュージカル化では、「どこまで宝塚が原作イメージを損なわずに宝塚らしさを出してくるか」という部分に大きく注目が集まっていた。
注目される戦闘シーンでは舞台上に3箇所設置された巨大スクリーンを用いて、映像と舞台上の出演者を見事に融合。
特に、幸村と謙信、そして幸村と政宗の戦いのシーンは圧巻の一言。これまでこうした映像技術との融合は宝塚の舞台でも何度も行われてきているが、ここまでの大規模な映像と出演者との融合演出は恐らくこれが初。
こうした大劇場(宝塚では本公演という)以外での公演の場合には、それまでにない様々な挑戦が行われる。後、大劇場公演にそれが持ち込まれることもしばしば。
今回披露された斬新な演出方法が、今後大劇場公演にどう持ち込まれるのかも、ファンにとっては後の楽しみの一つになったのではないだろうか。
各出演者については、蘭寿とむ演じる真田幸村は戦乱の中成長を求められる一人の男性(戦士)としての微妙な心理を見事表現。ゲームでは描かれなかった、幸村の人となりを蘭寿なりに表現してみせた。
そして月組から花組に組み替えをして、花組生としては初舞台となった明日海りお(上杉謙信)。その美しさは神々しいばかりで、また“静”のイメージを持つ謙信そのもののクールな演技は見る者を圧倒。
他にも今回注目したいのが、ゲーム「戦国BASARA」ではシリーズ通しての主人公・伊達政宗を演じた春風弥里。今回は幸村主人公という設定のため、登場シーンこそ少なかったが、登場する度には妙な存在感と余韻を残していった。セリフはゲームシーンそのまま。英語のセリフが各所に散りばめられ、時折原作を知る報道陣の笑いを誘った。
これは記者個人の感想になるが、先に紹介した宝塚版「逆転裁判」シリーズでは、シリーズ3作目で「逆転裁判3 検事マイルズ・エッジワース」(一般にいう逆転検事)が別の主人公で公演されたように、伊達政宗を主人公にした宝塚版「戦国BASARA」も大いに有りなんじゃないかと思った。もうちょっとこの政宗を見てみたい。最後にはそんな余韻と期待を残してくれた。
『ミュージカル・ロマン「戦国BASARA」-真田幸村編-』は、7月1日まで東急シアターオーブで公演。チケットは既にほぼ完売となっているが、是が非にも見たいファンには朗報がある。株式会社宝塚クリエイティブアーツからDVDの発売が9月17日に決定している。
価格は8400円。宝塚歌劇団公式サイトを通じて案内されているので、どうしても!という方はそちらをチェックして欲しい。
―『ミュージカル・ロマン「戦国BASARA」-真田幸村編-』出演者
真田幸村:蘭寿 とむ
いのり:蘭乃 はな
上杉謙信:明日海 りお
山本勘助:高翔 みず希
武田信玄:華形 ひかる
伊達政宗:春風 弥里
真田昌幸:月央 和沙
猿飛佐助:望海 風斗
夢 :芽吹 幸奈
小山田信茂:冴月 瑠那
宇佐美定満:鳳 真由
直江兼続:大河 凜
かすが:桜咲 彩花
小助:こと華 千乃
幸村(少年) :春妃 うらら
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(文・写真:宮崎美和子)
※文中の出演者表記に誤りがありました。訂正してお詫びいたします。花形⇒華形