おたくま経済新聞

ネットでの話題を中心に、商品レビューや独自コラム、取材記事など幅広く配信中!

【名作映像案内】第11回 ミスター味っ子

update:

今回ご紹介するのは昭和62年に放送が開始されたテレビアニメ『ミスター味っ子』です。

【関連:第10回 忠直卿行状記】

ミスター味っ子

  • 本作は、主人公・味吉陽一(声・高山みなみ)が、悪の料理人グループである味将軍グループと味勝負を繰り広げる番組です。味将軍グループは、個人経営の飲食店を強引な手法で廃業に追い込み、グループに所属する料理人の店の勢力を広げようとするグループで、それに対するのが、陽一が属する味皇料理界というグループでした。

    そんな中、第74話「日本一のスキヤキ勝負!思い出の味を探せ」で、衝撃の事実が判明します。何と、味皇(声・藤本譲)と味将軍(声・銀河万丈)は兄弟だったのです。

    その昔、味皇(本名・村田源二郎)と味将軍(本名・村田源三郎)は、長兄・源一郎(声・小林清志)と3人で村田食堂という店を営んでいました。
    そして、戦後間もない頃、腹を空かした子供達が辺りには沢山おり、村田食堂は、子供達に食べ物を分け与えていたのです。このことが、後の味皇と味将軍の歩みを決定付けました。
    味皇は、心のこもった料理を振る舞うことが大事だと考えたのに対し、味将軍は、量が多いことが大事だと考えるようになったのです。
    その結果、味将軍は量に固執するあまり、料理に心を込めることを忘れてしまったのです。この味将軍の態度に対し、味皇は、「お前が間違っていた訳ではない」と語りかけます。確かに、食べ物が乏しい時代の人にとっては、食べ物を沢山食べることが、何よりも嬉しかったに違いありません。しかし、心を置き去りにし、量のみを追い求めた味将軍の考えは、まるで戦後日本のあり方そのもののようでありました。

    味将軍が、心を置き去りにしていたことに気付き、態度を改めたのは、戦後40年以上も経ってからでした。果たして、それは遅過ぎたのか。それとも、遅くはなかったのか。そして、現実の日本はどうなのか。現実の日本人は心の豊かさを取り戻したのか。昭和62年と言えばバブル景気が始まった年であり、そういう点でも『ミスター味っ子』は、実に考えさせられる作品でした。そして筆者は、『ミスター味っ子』の主人公は村田兄弟だと信じて疑わないのです。
     
    (文:コートク)

    あわせて読みたい関連記事
  • 60分の動画を1.5倍速で観たら何分で終わる? 深水英一郎
    エンタメ, 音楽・映像

    動画は倍速派のせっかちさん向け情報 「動画の倍速視聴とその使いこなし方」(深水英…

  • エンタメ, 映画

    「本当のあなた」は、どこ? 映画「裏アカ」のポスタービジュアルと予告映像が解禁

  • 企業・サービス, 経済

    「究極のパンダ着ぐるみ」がレンタル開始 特殊造型スタジオが制作

  • コラム, 雑学

    【名作映像案内】第15回 第三次世界大戦 四十一時間の恐怖

  • エンタメ, 音楽・映像

    田村ゆかり姫(17才と7611日)、来年発売のライブBlu-ray&DVD第1弾…

  • おたくま編集部Editor

    記事一覧

    おたくま経済新聞・編集部による監修or執筆

    ▼こちらのライターの最新記事▼

  • 嵐・四宮社長が偽アカウント多発に注意喚起 「来年のツアー用新アカウントの予定もなし」
    エンタメ, 芸能人

    嵐・四宮社長が偽アカウント多発で注意喚起 「来年のツアー用新アカウントの予定も現…

  • カレーシチューに、フレンチサラダ、本当にまずかった脱脂粉乳他(2300円)
    イベント・キャンペーン, 経済

    昭和の“たのしい給食”が期間限定で復活 脱脂粉乳まで再現した「絶滅危惧食フェア」…

  • 新商品「うまかっちゃん<濃厚新味 あごだしとんこつ>」
    商品・物販, 経済

    焼きあごの香ばしさと細カタ麺の共演 「うまかっちゃん<濃厚新味 あごだしとんこつ…

  • 北海道産のチーズを2種類使った秋冬限定フレーバー「かっぱえびせん 北海道Wチーズ味」
    商品・物販, 経済

    北海道産チーズのW使い!「かっぱえびせん 北海道Wチーズ味」がこの秋登場

  • クリスプ のりしおバター味
    商品・物販, 経済

    カルビー、「クリスプ のりしおバター味」発売 レアな“ホシ型クリスプ”も登場

  • 特別災害対策本部車(国土交通省)
    社会, 経済

    消防車も自衛隊車もNERVも! 防災車両がずらり「ぼうさいモーターショー2025…

  • トピックス

    1. 仕事をする妻が武器商人にしか見えない?とあるXユーザーの自宅の“秘密”が最高だった

      仕事をする妻が武器商人にしか見えない?とあるXユーザーの自宅の“秘密”が最高だった

      数え切れないほどの銃や剣が並ぶ部屋の中で、ノートパソコンに向かう1人の女性。クライム系映画の1シーン…
    2. 「クリームソーダみたいなオムライス」が爆誕 インパクト抜群の喫茶店風アレンジ

      「クリームソーダみたいなオムライス」が爆誕 インパクト抜群の喫茶店風アレンジ

      子どもから大人まで人気のメニュー「オムライス」を大胆にアレンジして見せたのは、Xユーザー・盛り塩さん…
    3. ガシャポンの魅力&世界観を全身で体感!「ガシャポンに超夢中展2025」内覧会レポ

      ガシャポンの魅力&世界観を全身で体感!「ガシャポンに超夢中展2025」内覧会レポ

      10月31日から11月2日までの3日間、池袋・サンシャインシティにて「ガシャポンに超夢中展2025」…

    編集部おすすめ

    1. 嵐・四宮社長が偽アカウント多発に注意喚起 「来年のツアー用新アカウントの予定もなし」

      嵐・四宮社長が偽アカウント多発で注意喚起 「来年のツアー用新アカウントの予定も現時点なし」

      人気グループ「嵐」の公式SNSをめぐり、偽アカウントの出現が相次いでいることを受け、所属する株式会社嵐の四宮隆史社長が11月4日、自身のX(…
    2. ヒャダイン氏おすすめ 「ブロッコリー×ごはんですよ×ねぎ油」レシピ作ってみた

      ヒャダイン氏おすすめ 「ブロッコリー×ごはんですよ×ねぎ油」レシピ作ってみた

      音楽クリエイターのヒャダイン(前山田健一)さんが、Xで紹介した超手軽レシピ。それは「ブロッコリーを桃屋『ごはんですよ』と『ねぎ油』で和えたら…
    3. カレーシチューに、フレンチサラダ、本当にまずかった脱脂粉乳他(2300円)

      昭和の“たのしい給食”が期間限定で復活 脱脂粉乳まで再現した「絶滅危惧食フェア」

      昭和50年代までの学校給食を忠実に再現した「絶滅危惧食フェア」が、11月7日~9日までの3日間、東京都八王子市にある「給食のおばさんカフェテ…
    4. まるで洗車機?「理想の風呂」イラスト動画がまさしく理想すぎる

      まるで洗車機?「理想の風呂」イラスト動画がまさしく理想すぎる

      お風呂に入るのが面倒な日、ありますよね。そんな気持ちに寄り添いながら「こうだったら最高!」という理想を描いたイラスト動画がXに投稿され、大き…
    5. 集英社、生成AIによる権利侵害へ厳正対応を表明 Sora2公開後の「類似映像大量発生」を受け

      集英社、生成AIによる権利侵害へ厳正対応を表明 Sora2公開後の「類似映像大量発生」を受け

      集英社は10月31日、生成AIを利用した権利侵害への対応について声明を発表しました。今秋、OpenAI社の生成AIサービス「Sora2」が公…
    Xバナー facebookバナー ネット詐欺特集バナー

    提携メディア

    Yahoo!JAPAN ミクシィ エキサイトニュース ニフティニュース infoseekニュース ライブドア LINEニュース ニコニコニュース Googleニュース スマートニュース グノシー ニュースパス dメニューニュース Apple ポッドキャスト Amazon アレクサ Amazon Music spotify・ポッドキャスト